酪農家一人ひとりが想い描く
理想の酪農業に寄り添い、
ビジョンの達成を支えたい。

Member 07

福岡支所 購買推進課

2012年度入会

馬場 祐生 Baba Yuki

スーパーマーケットの青果担当として、
レストランチェーンのスタッフとして、キャリアを重ねた。
そこで見えてきたのは、この国の「食」を支える
第一次産業の大切さ。その成長に貢献したいと思った。

牧場の「いま」を知り、
その「未来」を支え続ける。

全酪連の購買推進という仕事に就いて、最初に思ったことは「単に牛の飼料を販売する仕事ではないようだ」ということでした。
最初の赴任地、札幌支所 釧路事務所に着任した当初、先輩たちに同行して酪農家をまわりましたが、先輩たちが酪農家と熱心に語り合っていたのは、牛の状態や乳量・乳成分、将来の経営に関する課題などばかり。飼料営業の話はあまり行われず、「これでは思うように営業実績を残せないのでは?」と不安に思っていました。
その後、ひとりで牧場を訪ねるようになって、購買推進とは、「酪農家が必要とするものを調達する=購買する」ことが一番の目的であることに気づきます。
私たち推進担当は酪農家との対話を通じて、いまその牧場で何が起きているのか、酪農家・牛はなにを求めているのかを見極めます。そして、時には酪農家自身も気づいていないような提案をして酪農家に代わり飼料などの酪農生産資材を購買するスタンスで「安定供給」という重要な役割を担っています。
その一方で、全酪連の製品を積極的に推進していく場面もあります。しかし、これも単なる利潤追求ではありません。あくまでもその牧場が抱える課題に対して提案を行い、酪農家に貢献することが目的です。その延長線に全酪連の生産資材の推進があり、実績に結びつくのです。
難しい仕事ですが、「酪農業の未来を支え続ける」という想いが、いまも私の背中を押し続けてくれています。

酪農家一人ひとりと向き合い、
それぞれの想いに寄り添って、
何ができるのかを考える。

北海道で6年を過ごした後、福岡支所 購買推進課 沖縄駐在に異動となりました。購買推進担当としての役割は変わりありませんが、気候風土や酪農環境も大きく異なる地で、これまで通りにやっていけるのかという不安もありました。また、沖縄県酪農農業協同組合内に、全酪連職員として一人席を置くというのも、はじめての経験でした。それでも、自分なりに工夫をしながら、沖縄の酪農家との関係を築こうと積極的に牧場を訪ね、酪農家とのコミュニケーションを図っていました。そんなある日、一人の酪農家から厳しい声をいただきました。
「ここは北海道じゃない。沖縄だよ」
酪農の先進地である北海道の情報は、沖縄の酪農家にとっても有益な情報だと考えて、北海道での経験や事例などをお伝えしていました。しかし、それぞれの酪農家が抱える課題は異なり、いかに有益な情報であってもそのまま採り入れることができない背景があることにあらためて気づかされた一言でした。それからの私は、酪農家との対話を通じて、酪農家それぞれの人柄や将来への想いなどを理解するように努め、経営状況、作業従事者、後継者の有無、飼養管理形態、保有機械などを把握したうえで、それぞれの酪農家に適した話題提供や提案をするよう心がけています。
たとえば、飼料設計を行うときには、乳量・乳質・繁殖成績など改善のための飼料給与メニューを提案するだけではなく、給与する方法、回数、タイミングなどにも踏み込んだ提案をすることで、作業性やパフォーマンスの向上を図ることも意識しています。

酪農業における生産コストの低減のためには、酪農業界を飛び越えた着想も求められる。

2020年8月からの約2年間、駐在先の沖縄県酪農農業協同組合に出向し、生乳関連業務を中心に、組合の業務全般を経験することができました。この経験により、酪農業という産業の幅広さや奥深さに触れられたことは、私自身の今後のキャリア形成において大きな財産になっていくと感じます。
現在の酪農業を取り巻く環境は、世界情勢の影響から飼料や牧草などをはじめとした酪農生産資材の価格がかつてないほど高騰し、非常に厳しい状況下におかれています。
このような情勢のなか、酪農家により効率的な経営を行っていただくためには、生産コストを少しでも抑えていく必要があります。この点で、私は沖縄の地場産業に目を向け、酒造会社や製糖工場を訪問し、これまで地場で利用されてこなかった副産物を、飼料として利用できないか検討を進めています。
ひとつの新たな着想が、酪農経営の効率化や生産性の向上につながる道を拓くことになれば、これ以上の喜びはありません。

1日のスケジュール

  • 08:30

    出勤

  • 08:40

    沖縄県酪農農業協同組合の職員とともに朝礼、1日の予定と連絡事項を報告

  • 09:00

    メール確認、事務処理などを済ませ酪農家へと向かう

  • 09:30

    A牧場にて乳量・乳成分・牛群状態などを確認、飼料給与メニューの提案

  • 10:30

    B牧場にて飼料タンク設置に関する打ち合わせ

  • 12:00

    昼休憩(車内で愛妻弁当!午後の活力フルパワー)

  • 13:30

    C牧場にて規模拡大構想について相談対応、他県牧場への視察を打診

  • 14:30

    D牧場にて子牛の飼養管理方法を助言、優良事例の紹介、哺育製品の紹介

  • 15:30

    沖縄県酪農農業協同組合より、乳成分が低下している酪農家について連絡
    E牧場にて合流、各種聞き取り、状況確認

  • 16:30

    帰所、メール確認、乳成分が低下している酪農家への飼料給与メニュー提案のための
    飼料設計、飼料給与メニュー表の作成、乳成分関連資料の収集

  • 17:30

    翌日の訪問牧場の予定、週間業務報告書の作成、事務処理

  • 18:00

    退勤

就職を考える皆さんへ

酪農専門農協の全国連である全酪連の仕事は、酪農業における幅広い分野の知識と技術が求められる専門性の高い仕事だと思います。しかし、入会してみて感じたのは「学生時代や前職で牛に触れ、酪農業について学んできた人たちばかりではないんだな」ということでした。もちろん酪農や畜産、農業分野に深い知識を有する職員もいます。一方で、酪農業には直接関係のない分野を学んできた人や、私のように畑違いの業界から転職された方も数多くいます。また、酪農業界になじみがない方でも、安心して働くことができる研修環境が整っていますし、酪農家との出会いや対話を通じて、より実践的な多くの知識を得ることもできます。そして、「酪農業の未来を支え続ける」という想いは、酪農家や全酪連で仕事をする職員一人ひとりとのコミュニケーションを通じて、より強くなっていくことでしょう。