Career01

購買生産指導部 購買推進課

稲葉 晃良 Inaba Akiyoshi

自らの経験と学びの先にある
酪農業の未来を見つめて。

入会のきっかけ

学生生活のなかで特に印象深いのは、3年間続けたラジオ局でのアルバイトでした。プロ野球のナイター中継のスタッフの一人として球場に入り、出場選手の下調べから試合中のスコア記録のほか雑務全般を担当しました。アナウンサーやディレクター、機材調整担当などのプロフェッショナルたちが活躍する様子を間近に見て、それぞれがプライドをもって仕事をしている姿に憧れ、専門性の高いプロフェッショナルを目指すことのできる業種に絞って就活を行いました。

新卒採用サイトで全酪連の存在を知り、説明会に参加しました。それまでにも数多くの業種を見てきましたが、第一次産業に関わる事業と接するのは、はじめてのことでした。会場で観たビデオ映像には、酪農家を訪ね、一人ひとりと寄り添いながら、何ができるのかを考える先輩職員の姿が映し出されていました。この映像によって、独自のスタンスで事業に臨む本会の専門性を理解し、酪農業を支えるという理念に共感して、入会を決めました。入会後の自分が働く姿をイメージできたことが大きかったと思います。

どのようなキャリアを積んできたのか

釧路工場での4か月の研修を経て、札幌支所 購買推進課に配属されました。釧路工場では、製造担当者に準備が足りないと一喝され、先輩たちのプロ意識に刺激を受け、矜持をもって仕事に臨む姿勢に感銘しました。札幌支所 購買推進課では受発注や帳票関係の事務作業を担当し、帳票を見ながらそれぞれの数字の持つ意味を理解し、本会の事業がどう動き、どのように成り立っているのかを知ることができました。その後、輸入粗飼料(牧草や草を元に作られた餌)の仕事に携わることになり、北海道エリア内で生産された牧草の需要に応じて不足分を補う、輸入粗飼料を手配し供給する役割を担いました。エリア内のマーケットシェアをいかにして高めていくかを考え、その醍醐味を感じながら、高いモチベーションをもって業務に取り組むことができました。

2013年8月には、グループ会社のゼン・トレーディングに出向し、輸入粗飼料に関する国内の需要動向を把握し、米国内で輸入業務を担うサンフランシスコ事務所との橋渡しの業務を担当しました。翌年2月にサンフランシスコ事務所に赴任することになりますが、東京勤務の時代から英語の必要性を感じていたので、終業後に母校の図書館に通い、英語の習得に努めました。サンフランシスコで過ごした5年間は、それまで3社で行ってきた牧草の輸入業務を、ゼン・トレーディング1社で担うという仕入体系の大きな変更があり、その立ち上げや新たなサプライヤーや船会社との調整業務に力を注ぎました。

2020年2月に日本に戻り、購買生産指導部 購買推進課に配属となりました。輸入粗飼料に対する国内の実需を把握し、その動向をゼン・トレーディングと共有し、輸入品目ごとにサプライヤーとの交渉価格帯を設定するなど、良質な粗飼料を、より安価に買付け、かつ在庫切れのないよう安定的に供給することを目指して活動しています。

Career path

  • 2009年

    札幌支所
    購買推進課

  • 2013年

    株式会社
    ゼン・トレー
    ディング出向

  • 2020年〜

    購買生産
    指導部
    購買推進課

  • それぞれの数字の持つ意味を理解し、事業の成り立ちについて知る。

    受発注や帳票関係の事務作業を担当し、それぞれの数字の持つ意味を理解し、本会の事業がどう動き、どのように成り立っているのかを知ることができました。この経験は、その後のキャリア形成にも大きく役立っています。また、輸入粗飼料の取り扱いについて学んだこの時期は、その後のキャリアの、まさにスタート地点であったと振り返ることができます。全酪連の職員としての基礎を固め、意欲をもって業務に取り組むモチベーションを得た時期だったと思います。

  • はじめての海外赴任。対外交渉力とその重要性を認識する。

    はじめての海外生活では、業務上も、そして日常生活においても、交渉力の大切さを痛感することになりました。輸入業務の統合によって取扱量が増えたことで、サプライヤーや船会社との交渉力が高まりましたが、その恩恵をいかにして酪農家のみなさまに還元していくのかという本会特有の使命についても考えさせられました。

  • 川上から川下までの経験を生かして、事業推進のエンジンとなる。

    これまで、輸入粗飼料の調達について、その川上から川下までを経験してきました。それらの経験を生かして、酪農業の発展のために何ができるのかを考え、自ら新たな提案や戦略について発信することによって、事業を前へ前へと推進するエンジンとなることが求められているのだと感じています。

自らの存在感を示すために大切にしていること

2020年に発生した新型コロナウイルスによる全世界的な感染拡大は、海上輸送に大きな混乱をもたらしました。コロナ渦で一時的に停滞していた中国経済は、他国に先駆けて回復し、巣ごもり消費の増大によって中国から米国に向けた輸出が拡大しましたが、都市のロックダウンや感染拡大に伴う港湾作業員の不足によって、コンテナ貨物が港湾内に滞留することになったのです。

あまり知られていないのですが、私が出向していたゼン・トレーディングは、北米から日本へのコンテナ輸出量では少なくとも5本の指に入る取扱量を誇り、粗飼料については日本トップクラスです。その交渉力を生かして付き合いの深い船会社との交渉にあたり、国内の需要を満たす粗飼料を確保し、在庫を切らすことなく酪農家に届けることができました。

私はゼン・トレーディング時代の実務経験を生かして、自分なりのアイデアを持って、ゼン・トレーディングと一体となって対応策を打ち出し、実施することができました。また、国内の需給調整について、採算を度外視したトラック輸送を提案したところ、上司も酪農家のためならと快諾してくれました。危機に際して、それまでの経験や学びを生かして、交渉の糸口を見出せたことを誇りに思うと同時に、本会ならではの立ち位置を再確認できました。今後も与えられた機会を自らの成長につなげることで、酪農業界の発展に貢献したいと思っています。

今後に向けた目標

現在の担当している輸入粗飼料を、より多くの生産者に活用していただけるようになることが当面の目標になります。私たちが推進する事業は、会員である全国の酪農家のみなさんの購買力を集約し、その購買力によって米国、豪州、欧州などのサプライヤーや船会社と交渉にあたっています。全国には粗飼料を取り扱う競合が60社以上あり、購買力の維持拡大は供給戦略上の重要な課題です。同時に、先人が築き上げてきた本会とサプライヤーとの協力関係を活かしながら、毎年の作況に応じた仕入戦略を構築しなければなりません。

そうした役割を全うするためには、実務を通して得られる経験値に加えて、自ら学習して知識を積み上げていくことが大切だと考えています。サンフランシスコ事務所への着任前にはじめた英語学習は今も継続していますし、会計の知識を得るための学びも自らに課しています。実務経験と学んだ知識を掛け合わせて、酪農業界にどう貢献できるのかを考えたいと思います。自らの経験と知識の先に、どのような付加価値が生み出せるのかをつねに模索しながら、酪農業の将来を見据えたいと思うのです。

Next

品質管理

八木 小百合
Yagi Sayuri

Career02