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輸入粗飼料情勢

 

 

 

 

 

(令和3年6月10日発表)

<購買生産指導部 購買推進課>

北米コンテナ船情勢  シアトル港・タコマ港を中心とするPNWからの船積みは一時の大きな混乱から改善傾向にあります。ロサンゼルス港、ロングビーチ港のあるPSWでは引き続き沖合でのコンテナ本船の滞船が続いていますが、ピーク時に30隻前後あった滞船数は現在では15~19隻前後まで減少しています。両港への輸入量は引き続き例年を上回るなか、米国全土でコロナウィルスのワクチン接種が進み、港湾作業員が荷役に復帰したことで、ターミナルの稼働率が向上し滞船数減少に寄与したとみられています。
一方でPSW発の本船は、滞船の影響を受け現在もスケジュールが遅延した状況での運航が続いています。一部の船社では本船スケジュールの正常化を図るため、7-9月にオークランド港の抜港を発表しています。
海上運賃については多くの船会社が6月にもGRI(海上運賃一斉値上げ)を発表しています。
ビートパルプ <米国産>
ミシガン地区(ミシガン州)では5月初旬に夜間の気温が急激に低下したため、凍霜害の影響を受けました。これにより作付面積のおよそ12%で再播種が必要となりました。ミンダック地区(ノースダコタ州)では、5月の平均気温が低く、乾燥気味な気候で土壌水分が不足していますが、今のところ問題なく生育しています。サザンミネソタ地区(ミネソタ州中南部)は5月下旬に適度な降雨があったため、良好な土壌水分を保ちながら、生育を続けています。
西海岸における旱魃について  西海岸全域では深刻な旱魃に直面しています。カルフォルニア州の一部とネバダ州及びユタ州では旱魃レベルが「最も深刻な旱魃状況」に引き上げられています。
各地における昨冬の降雪不足が今回の旱魃の主要因とされており、カルフォルニア州では、これまでに41郡で非常事態宣言が発出されており、農業を含む各分野での節水が呼びかけられています。
この旱魃の影響で、当該地域の酪農家及び肥育農家は自給飼料不足に陥っており、例年以上に周辺地域の生産者から牧草を調達する動きが活発化しています。

(西海岸における20年と21年の旱魃状況の比較 左:21年6月、右:20年6月 出典:National Drought Mitigation Center)

アルファルファ <ワシントン州>
主産地であるコロンビアベースン南部では例年より若干早い、5月上旬より1番刈の収穫が開始されました。南部では一部で降雨被害があったものの、概ね順調に進捗し、現在では収穫作業を終えています。成分の高い上級品も発生しましたが、多くが内需向けに成約されています。
コロンビアベースン中部と北部では1番刈の収穫作業が終盤を迎えています。5月下旬に広範囲で降雨があり、およそ40%程度で雨当たり被害が出ていますが、その後は大きな天候の崩れはなく収穫作業が進行しています。長雨の影響で多くの雨当たり品が発生した20年産と比べると、21年産の品質は期待ができます。
一方で産地相場は昨年同期比で上昇しています。穀物相場の高騰を受け、アルファルファの給与量を増加させている米国内からの需要は強く、昨年よりも高値で取引されています。
 <カリフォルニア州>
カリフォルニア州北部では、1番刈の収穫が終了し2番刈の収穫が開始されています。旱魃の影響を受けた地域では農業用水の使用が制限されており、生産者によってはアルファルファの生産縮小を余儀なくされている状況です。
南部インペリアルバレーでは3番刈が終盤を迎えており、圃場によっては4番刈の収穫が開始されています。産地では連日、最高気温が40℃を超えており、成分が低下しています。この成分の低下に伴い中国からの需要は減少していますが、サウジアラビアは引き続き旺盛に買付を行っているため産地相場は堅調です。

<ユタ州>
ユタ州は厳しい旱魃で水不足となっています。生産者によっては公共水道だけでなく自前の地下水(井戸)設備を用い灌漑が行えるため、問題なく栽培ができますが、地下水設備を持ち合わせていない生産者は減産する見込みです。
1番刈の収穫は6月上旬から始まっています。アルファルファの需要は自給飼料が不足している内需及び輸出向けに旺盛な状況です。

          (ユタ産1番刈アルファルファの写真 6月上旬撮影)

ネバダ州  ネバダ州西部イエリントン地区では5月下旬から1番刈の収穫作業が開始されています。同州では各地で旱魃の影響を受けており、例年の約20―30%程度の水しか農業用水として活用することができず、大きな減産の可能性があります。また冬季用の肥育生産者向け自給飼料が不足することが考えられており、下級品の相場上昇も懸念されています。
オレゴン州  カルフォルニア州との州境にあるオレゴン州南部クラマスフォールズでも、深刻な旱魃に悩まされています。生産者は現地当局から河川からの農業用水向けの引水を制限されています。このため産地での生産量の減少が懸念されています。1番刈は6月上旬から収穫作業が開始される見込みです。
米国産
チモシー
 主産地であるコロンビアベースンでは南部で6月上旬より1番刈の収穫が開始されています。天候もよく順調に生育しており、比較的よい状況で収穫作業が進められています。今後コロンビアベースン中部および北部でも収穫が本格化し、もう一つの主産地であるエレンズバーグでは6月中旬から下旬にかけて収穫作業が開始される見込みです。
21年産1番刈の作付面積は、20年産と近い数字になることが予想されていますが、アルファルファと同様に直近の穀物相場の高騰により、1番刈収穫後に他の換金性の高い穀物への転作が予想されており、2番刈の作付面積減少が予想されています。

 


(ベーリングされたチモシー 6月上旬コロンビアベースンにて撮影)

スーダングラス  主産地であるインペリアルバレーでは、5月下旬より収穫作業が開始されています。21年産は生育期の天候の影響を受け例年よりも若干遅いスタートとなっています。
これまで収穫されたものは、茎の細い上級品を中心に発生しています。産地では今後収穫が本格化する見込みです。
産地灌漑局から発表された6月1日時点のスーダンの作付面積は、昨年同期比10%程度減少の37,230エーカーとなっています。今後ビートや小麦の収穫を終えた圃場へのスーダンの作付けが予想されており、21年産の作付面積のピークは昨年と同様の40,000~42,000エーカーとなる見込みですが、過去5年平均の作付面積である43,845エーカーと比べると低い水準となります。
クレイングラス (クレインは全酪連の登録商標です)
4月下旬から1番刈の収穫が開始されています。20年産の1番刈は生育期の長雨の影響で雑草の混入が多くみられましたが、21年産は生育期と収穫期の天候に恵まれたため、上級品が多く発生しています。一部では2番刈の収穫が開始されています。産地相場は安定していますが、生産者によっては3番刈で栽培を止め、他の換金性の高い作物への転作を示唆しています。
バミューダ  産地では2番刈の収穫が行われており、上級品が多く発生しています。
産地灌漑局から発表された5月15日時点の作付面積は前年同期比2,462エーカー少ない、62,117エーカーとなっています。21年産の産地相場は作付面積の減少や20年産からの繰り越し在庫が少なかったことから、高値で取引が開始されています。
カナダ産チモシー   アルバータ州南部レスブリッジでは、5月下旬に降雨がありました。産地では旱魃の心配がされていましたが、この降雨で土壌水分が回復しており、生育状況も持ち直しています。1番刈の収穫は7月上旬頃からの開始が予想されています。
アルバータ州中部クレモナでも5月下旬に降雨がありました。こちらも今のところ順調に生育しています。
豪州産
オーツヘイ
 21年産の作付作業は豪州全体で8割以上完了しています。3月から中国向けの出荷が鈍化しているため、産地の生産者は相場低迷を懸念し、21年産はオーツヘイの作付けを減らし菜種をはじめとする他の換金性の高い作物の作付けを増加させる動きが各地で見られました。このため、21年産の作付面積は前年比で30%~50%程度減少すると予想されています。
この状況下、各地域の生育状況について西豪州は、非常に良好な土壌水分のなか作付作業が完了しており、順調に生育しており、圃場では発芽が見られています。
南豪州・東豪州は多くの生産者で旱魃気味な土壌水分のなか、播種が進められました。両産地では播種完了後の5月上旬と下旬にまとまった降雨があったため、土壌水分は回復しており、西豪州同様に発芽が見られております。
 
(左:西豪州の圃場、 右東豪州の圃場 5月下旬撮影)