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輸入粗飼料情勢

 

 

 

(令和5年11月10日発表)

<購買生産指導部 購買推進課>

北米コンテナ船情勢 北米西海岸航路は主要の乗継航路を含めて船積みは安定しています。今後、年末商戦に向けた貨物の増加により港湾混雑や労働者不足による作業効率の低下が懸念されています。太平洋北西部(PNW)では、降雪が原因で輸出業者の工場から港までを結ぶ道路の通行止めや、内陸からの貨車の遅延などスケジュールの遅れが多くなる時期のため動向には注視が必要です。

また、一部の船会社は、以前より貨物の物量が低下しているため10月上中旬で中国から出航する多くの船の運行を中止しています。運行の中止に加え、北米西海岸出し中国向けの輸出も活発化していることから米国内でのコンテナ不足も懸念されています。

ビートパルプ <米国産>

23―24年産ビートは一部の地域を除き収穫が終了し、製糖作業が進められています。収穫されたビートは播種の遅延により生産量の減少が懸念されていましたが、その後天候に恵まれたこともあり例年以上の豊作となりました。

米国産ビートの需要については米国内からの動向に変化はなく、例年並みの在庫水準となっていますが、欧州への需要が上昇している状況です。

アルファルファ <ワシントン州>

主産地であるコロンビアベースンでは4番刈の収穫作業が終了しています。23年産は例年に比べ春先の冷涼な気候により2~3週間遅れて収穫作業が開始されましたが、2番刈以降、天候に恵まれ収穫スケジュールの遅れを取り戻したことで多くの圃場で4番刈まで収穫されました。8月後半以降、定期的な降雨やカナダでの山火事の影響で日光が煙で遮られ通常以上に圃場での乾燥に時間を要したため、例年より3番刈、4番刈では上級品の発生が少なくなっています。

産地相場については年間を通して上級品の発生が限られたため、米国内酪農家や他国向け需要も上昇しており、23年産の開始時と比較しても堅調に推移しています。

<オレゴン州>

主産地であるオレゴン州クラマスフォールズでは3番刈の収穫作業が終了しています。23年産は春先の不安定な気候の影響と1番刈収穫時の降雨の影響で生産に遅れが出たことから一部の圃場を除き多くの圃場で4番刈の収穫ができず、3番刈で23年産の生産を終えています。

産地相場については引き続き、上級品を求める米国内馬糧向けや隣接州からの需要が衰えておらず、上級品の相場は2番刈比で堅調に推移しています。

 

 

<ネバダ州>

ネバダ州北部ウィナマッカでは3番刈の収穫作業が終了しています。3番刈の品質は8月下旬に発生したハリケーン「ヒラリー」や収穫期の不安定な気候により、上級品の発生は限定的となりました。一部発生した上級品についても米国内酪農家に高値で取引されており、産地相場は上昇しています。

<カリフォルニア州>

カリフォルニア州南部インペリアルバレーでは現在7番刈の収穫が終了し8番刈の収穫が行われています。産地では気温が冷涼になっていることから成分値は回復し始めています。

インペリアルバレー灌漑局の発表によると、10月15日時点でのアルファルファの作付面積は132,315エーカー(前年同期は123,617エーカー)で前年同期比107%と増加しています。

米国産チモシー 主産地であるワシントン州コロンビアベースンでは23年産の収穫作業が終了しています。23年産は作付面積減少に加え、収穫時期の不安定な天候により上級品の発生は限定的となりました。

産地相場について変化はないものの、依然として高水準で推移しているため今後の動向には注視が必要です。

スーダングラス 主産地であるカリフォルニア州南部インペリアルバレーでは2番刈の収穫作業が

終了しています。23年産の産地相場が低迷したことから2番刈を行った生産農家は例年の20%~25%程度で3番刈まで進んだ圃場は限定的となっています。ハリケーンや降雨、湿度の影響により収穫されたものは過成長で茎が固いものや茶葉を多く含む低級品が発生しています。

灌漑局の発表によると、10月15日時点での作付面積は4,150エーカー(前年同期は15,167エーカー)、前年同時期比27%となっています。収穫も終盤となり前年比で作付面積は減少していますが、日本の需要に対しては輸出業者も旧穀在庫を抱えているため供給力に懸念はありません。

クレイングラス (クレインは全酪連の登録商標です)

 

主産地であるカリフォルニア州南部インペリアルバレーでは、5番刈の収穫作業が終盤を迎えています。4番刈の品質はハリケーンや降雨の影響で収穫作業が遅れ、刈遅れ品質が発生したものの、一部の圃場では降雨が灌漑用水に変わり適切な水入れとなったため良品も発生しました。

インペリアルバレー灌漑局の発表によると、10月15日時点でのクレイングラスの作付面積は22,061エーカー(前年同期22,270エーカー)となっており、前年同時期比99%となっています。

バミューダ 主産地であるカリフォルニア州南部インペリアルバレーでは、バミューダヘイの5番刈の収穫作業が開始されています。引き続きバミューダヘイは米国内の馬糧向けの引き合いが堅調ですが、8月と9月の降雨により上級品の供給については限定的となっています。

インペリアルバレー灌漑局の発表によると、10月15日時点の作付面積は70,167エーカー(前年同期66,788エーカー)と前年同期比105%の作付面積となっています。

ストロー類(フェスキュー・ライグラス) 主産地であるオレゴン州ウィラメットバレーでは、23年産のストローの生産が終了しています。産地では旱魃の影響で生産量が減少したこともあり、引き続き韓国向けの需要は堅調に推移しています。
カナダ産チモシー 主産地であるアルバータ州南部レスブリッジ地区及びでは、23年産の収穫作業が概ね終了しています。23年産は収穫期の降雨も少なく天候に恵まれたことから上級品から中級品中心の発生となりました。

同州中部クレモナ地区でも、23年産の収穫作業が終了しています。山火事で煙による日照不足や乾燥に時間が掛かったことや旱魃の影響で中級品中心の発生となり上級品の発生は限定的となっています。

産地相場についてカナダ国内向け越冬用の牧草確保のため引き合いはあるものの、需要を見極める動きが続いています。

豪州産
オーツヘイ
<西豪州>
概ね収穫作業が終了しています。10月の生育状況は天候に恵まれたため見た目が綺麗な品質が多く発生しましたが、一部の圃場では生育期間中に安定した降雨がなく、土壌の養分が不足したことで成分値が不安定な品質も発生しています。

<東豪州>
刈取り作業は後半を迎えており、10%程度の圃場で集草作業を終えています。10月に入り降雨があったことで生産量は例年並みまで回復しています。この降雨による品質懸念もなく、良品の発生が期待されています。

<南豪州>
ほとんどの圃場で刈取りを終えており、30%程度の圃場で集草作業を終えています。10月に少雨がありましたが、新穀への影響は少なく、見た目、成分値が良好な品質の発生が期待されています。

市場については一部の東豪州で乾燥した気候が続いており、豪州内における放牧草不足の懸念から需要は増加しています。また、中国向けの輸出認可が更新されたことで輸出業者も積極的に新穀買付を開始しており今後の動向には引き続き注視が必要です。