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輸入粗飼料情勢

 

 

 

(令和4年6月10日発表)

<購買生産指導部 購買推進課>

北米コンテナ船情勢  北米西海岸のロサンゼルス港・ロングビーチ港沖合では、依然として30隻前後のコンテナ船が滞船しています。滞船数は年始より減少しており、5月上旬より一時期、減便していた日本向け直行便のスケジュールも毎週の運航に戻り、年末年始の最悪期に比べ状況は改善傾向にあります。

他方で日本向けの直行便が寄港するターミナルでは、引き続きターミナル内での混雑や、人員不足から輸出向けコンテナのターミナルへの返却日数が2日程度しかないため、各輸出業者、対応に苦慮しています。

シアトル港・タコマ港では、本船の沖待ち状況は改善しつつありますが、経由地であるバンクーバー港で引き続き1か月近い滞船となっており、タコマ港を出港してからバンクーバー港を経由し日本到着まで45日程度の航海日数を要している状況です。加えて船社より6月下旬から3週間タコマ港から出港する東京、大阪港向け直行便の抜港が発表されており、引き続きPNW(タコマ港・シアトル港・バンクーバー港)から出港するコンテナ本船の混乱が予想されています。

北米西岸港湾労組(ILWU)と船社・ターミナル会社の使用者団体(PMA)との労働協約の交渉は5月10日から開始されています。5月下旬より10日程度の中断を挟み6月1日より再開されていますが、交渉の進展はない状況です。今後も経過に注視が必要です。

米国乳価について  USDA(米国農務省)の発表によると、4月の全米平均クラスⅢ乳価(チーズ向け乳価)は100ポンドあたり$24.42と昨年8月以来9カ月連続で上昇しています。世界の主要産地では、生乳生産量が減少傾向にあるなか、昨年の夏場以降、米国産乳製品の価格が国際的に優位性を持ったことで、脱脂粉乳だけでなく、チーズやバターなどの輸出も増加傾向にあり乳価を押し上げています。

昨年8月のクラスⅢ乳価15.95ドル/CWT=40.8円/KG(為替130円で試算)から上昇をはじめ、今年4月の乳価は24.42ドル/CWT=62.5円/KGとなっており、9カ月で21.7円/KG上昇したことになります。この乳価上昇のインパクトは大きく内需の購買力を増進させ、西海岸ではアルファルファ相場を牽引しています。米国では毎月乳価の変動があるため、乳価が好調なうちに高品質な上級品牧草の確保と危惧される旱魃への備えとして、牧草の在庫を積み増したい思惑から牧草の買付が進められています。

ビートパルプ <米国産>

産地では天候不良により遅れていた22-23年産ビートの播種作業が終盤を迎えています。一方で一部の地域で播種前に洪水に見舞われたため、播種作業が大幅に遅延した圃場や、作付けそのものを断念した圃場も発生しており、豊作であった21-22年産に比べると生産量の減少は避けられず、今後の天候次第では前年比10万トン近くのビートパルプの生産減少が見込まれています。

ビートパルプの市場については、堅調な内需に加え、海外からの強い引き合いから、産地相場は上昇しています。特にヨーロッパからの引き合いが強い状況です。背景にはビートの主要生産国であるフランスでの旱魃の影響や、これまでヨーロッパの多くの需要を満たしてきた世界最大の生産国であるロシアから調達ができなくなったことで代替産地として米国への引き合いが強くなっています。

アルファルファ <ワシントン州>
主産地であるコロンビアベースンでは、5月中旬から南部で22年産1番刈の収穫作業が開始されています。産地では生育期である4-5月に降雪を伴う寒冷な気候が続き、生育は例年よりも3週間程度遅れている状況です。産地では5月中旬以降、断続的な降雨に見舞われており、雨当たり品が多く発生し輸出向けの上級品の発生は限定的です。また産地及び、近隣州の酪農及び肥育農家の牧草在庫率が低いことから、雨当たり品であっても高値で取引されており、産地相場は内需に牽引され昨年同期比で大幅に上昇しています。

また生産スケジュールが大幅に遅れていることから、2番刈以降の生産に影響を及ぼす可能性もあり、例年産地では4番刈まで収穫されますが、22年産は3番刈の生産で終える可能性があり、生産量の減少が懸念されています。

<オレゴン州>

オレゴン州南部クラマスフォールズ及び、中部クリスマスバレーでもワシントン州同様、冷涼な気候が続いており生育は遅れています。22年産1番刈の収穫はクラマスフォールズで例年よりも1-2週間遅い6月中旬頃から、クリスマスバレーでは6月中下旬から開始される見込みとなっています。

産地では昨年より旱魃が解消されておらず、牧草の在庫率の少ないカリフォルニア州の酪農家及び肥育農家から収穫前にも関わらず22年産の引き合いが来ており、相場上昇が懸念されています。

<カリフォルニア州>
カリフォルニア州南部インペリアルバレーでは、現在3番刈の収穫が終盤を迎えており、圃場よっては4番刈の収穫が開始されています。3番刈は1番刈、2番刈同様多くの上級品が発生しましたが、直近では連日最高気温が40℃を超えているため、成分は低下しており中級品から低級品の発生が中心となっています。加えて4番刈からは牧草の収穫から種子の生産に切り替える圃場も増えています。産地相場は引き続き堅調で、中級品及び下級品も上級品同様大きな幅で上昇しています。

米国産チモシー  

主産地であるワシントン州コロンビアベースンでは例年より冷涼な気候が続いており、ゆっくりとした生育となっており、圃場での見た目は良好で、葉付きの良い、柔らかなチモシーの収穫が期待されています。今後の天候次第では、南部で6月中旬頃から1番刈の収穫が開始される予定です。

もうひとつの主産地であり、非灌漑にて多くのチモシーが栽培されているアイダホ州でも、ワシントン州同様冷涼な気候のなか生育が続いています。産地では5月上旬に適度な降雨があった事から、生育状況は良好です。

また多くの輸出業者の工場が位置する、エレンズバーグでは例年、気温が温暖になる6月上旬より、チモシーは屋外燻蒸となり出荷されますが、今年は直近でも最高気温が20℃を下回る日が続いているため、いまだに屋内での燻蒸作業が続いており、6月下旬から屋外燻蒸となる見込みです。

スーダングラス  主産地であるカリフォルニア州南部インペリアルバレーでは、5月中旬より22年産の収穫が順次開始されています。

一部の生産者では、他の牧草や穀物の相場を鑑み、ベーリング前にも関わらず、既に22年産を輸出業者に向け高値で提示しています。肥料や燃料費、人件費等の生産コストが上昇し、21年産比で高値になることが予想されるなかで、どの程度の相場になるか引き続き相場には注視が必要です。

なお産地灌漑局から発表された5月12日付時点の作付面積は35,0303エーカー(前年31,647エーカー)と、前年同期比110%程度で推移しています。

クレイングラス (クレインは全酪連の登録商標です)

主産地であるカリフォルニア州南部インペリアルバレーでは、1番刈の収穫は終盤を迎えており、圃場によっては2番刈の収穫が開始されています。これまで収穫された1番刈の品質は良好で柔らかな上級品の発生が中心となっています。一部で刈遅れや雑草混じりの品質が発生したものの、上級品と変わらない値段で内需向けに販売されています。

産地のクレイングラスに対する需要は非常に旺盛で、21年産の繰り越し在庫のない日本及び韓国の顧客向けに買付を進める輸出業者と、粗飼料の在庫率が低く、旱魃の懸念から早期に粗飼料を確保したい内需の引き合いから、産地相場はアルファルファ同様、21年産よりも大幅に上昇しています。今後クレイングラスの生産量も増え、スーダングラスや小麦ストローも発生することから、産地相場の沈静化が望まれている状況です。

バミューダ  主産地であるカリフォルニア州インペリアル群灌漑当局から発表された、5月12日付時点のバミューダグラスの作付面積は61,718エーカー(前年同期62,117エーカー)と、前年同期比99%となっています。

直近のバミューダ種子の相場が良いことから、ほとんどの圃場で種子の生産が行なわれており22年産バミューダヘイの生産量は例年に比べ減少することが懸念されています。また一部の圃場で生産されているバミューダヘイも大半が、米国内の馬糧向けに販売される予定で、種子の生産が終了しバミューダヘイの生産が本格化する、夏場まで輸出向けの供給は限定的になる見込みです。

ストロー類(フェスキュー・ライグラス  輸出向けストローの主産地であるオレゴン産北部ウィラメットバレーでは、4月から5月にかけて適度に降雨があったため生育状況は良好です。22年産の作付面積は前年比で微増しており、この地域では昨年よりも旱魃が改善していることから、単収は21年産よりも増加する見込みです。今後の天候次第ではアニュアル種とフェスキューが6月下旬から7月上旬にかけて収穫が開始されます。
カナダ産チモシー  主産地であるアルバータ州中部クレモナ地区では、冷涼な気候のなか、生育は例年よりも遅れています。一方4-5月にあった降雨は非灌漑で栽培するクレモナ地区にとって土壌水分の回復に寄与しましたが、例年に比べ降雨量が少ないことから、今後収穫期に向け更なる降雨が望まれています。

同州南部のレスブリッジ地区でも例年に比べ生育は遅れています。5月に数回の降雨があったものの、旱魃の改善には至っておらず、地域によっては牧草の生育が芳しくないため、例年6月から開始される放牧が、今年は7月まで延期しています。レスブリッジ地区においても7月の収穫に向けまとまった降雨が望まれています。

豪州産
オーツヘイ
 22年産オーツヘイの播種作業は概ね終了しました。5月は全域で十分な降雨があったため、土壌水分が回復しており順調なスタートとなっています。一方で高騰する穀物相場を背景に、産地の生産者は換金性の良い小麦や菜種などの作付を増加させており、22年産オーツヘイの作付面積は地域により21年産比で10-20%程度減少する見込みで、20年産と比較すると少なくとも30%程度減少することになります。この22年産の作付面積減少を受け、オーツヘイの先高を期待し、21年産の在庫をすぐに売却せず、売り時を待つ生産者も出始めています。

豪州からのオーツヘイの輸出は、多くの輸出業者で、いまだに中国向けの輸出免許更新が滞るなか、日本、韓国を中心とする出荷量は増加しています。オーツヘイを主とする豪州からの牧草の輸出量は中国向けの輸出が減少した直後の21年3月以降、一時は月間およそ6万トンまで落ち込んだものの昨年末以降、日本、韓国向けの出荷数量は、中国向けで減少した数量を補っており、直近は月間9万トンの輸出量で推移しています。