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輸入粗飼料情勢

 

 

 

(令和3年9月10日発表)

<購買生産指導部 購買推進課>

北米コンテナ船情勢  ロサンゼルス・ロングビーチ両港での混雑は再び悪化傾向にあります。年末商戦に向け両港への輸入量は最盛期を迎える一方で、デルタ株の感染拡大に伴い港湾労働者が不足し、荷役処理が追いつかず、現在沖合には44隻を超えるコンテナ本船が滞船しています。沖合での滞船日数は10日程度になっており運航スケジュールに遅延が出ています。
また、北米全体で船腹予約が難しくなっています。背景としては中国から輸出される欧州及び北米向けの海上運賃上昇が続くなか、各船社、運賃の安い牧草よりも中国への空コンテナ回漕を優先していることが挙げられます。現地港湾当局の発表によると7月にロサンゼルス・ロングビーチ両港から出港したコンテナ船腹の75%を空コンテナが占めている状況です。今後年末年始に向け、さらに船腹予約取得が厳しくなることが予想されています。
海上運賃に関しては各船社、10月のGRI(海上運賃一斉値上げ)をアナウンスしており、1コンテナあたり100ドル程度の値上げが予定されています。今後も海上運賃の動向には注視が必要です。
ビートパルプ <米国産>
21-22年産の収穫は、地域により差はあるものの例年より1-2週間遅い8月中下旬より順次開始されています。生育状況も地域差があり降雨量が潤沢にあった地域では例年以上の単収が見込める一方で、降雨の少ない地域では例年よりエーカー当たり3トン前後、単収の減少が見込まれています。各産地の工場では製糖作業が開始されており、来年の5月頃まで続く見込みです。
ビートの産地相場は、堅調な穀物相場を背景に依然として内需及び欧州やメキシコなど海外からの引き合いが強く、高値で取引されています。
アルファルファ <ワシントン州>
主産地であるコロンビアベースンでは、3番刈を終え、4番刈の収穫が開始されています。7月下旬から8月上旬に掛けて、産地周辺で山火事がありベースン全域が煙に覆われました。この影響で通常以上に圃場での乾燥に時間を要したことから3番刈は過乾燥気味な品質が多く見られています。
また西海岸全域の旱魃の影響で自給飼料が不足するアイダホ州やモンタナ州といった近隣州の酪農家および肥育農家が産地で旺盛に買い付けを行っており、上級品から低級品まで1番刈以上の価格で取引されており相場は上昇を続けています。
 <ネバダ州>
ネバダ州北部ウィナマッカ地区周辺では3番刈の収穫作業が終盤を迎えています。3番刈は降雨被害もなく、天候に恵まれたため収穫作業は順調に進みました。一方品質面においては、ネバダ州特有の乾燥した気候の影響を受け、過乾燥な品質が多くなっています。

<オレゴン州>
オレゴン州南部クラマスフォールズでは2番刈の収穫作業が終了し、8月中旬から3番刈の収穫が開始されています。産地では厳しい旱魃のなか、河川由来の農業用水使用が制限されていましたが、8月上旬に70日ぶりに解禁されています。この影響で3番刈の生育は持ち直しており、収量回復が期待されています。
同州中部クリスマスバレーではでは2番刈の収穫が終了しました。産地では1番刈に引き続き2番刈も収穫期において降雨被害に遭い、多くの雨当たり品が発生しています。オレゴン州の産地相場については他産地同様に、内需の酪農家が高成分品を求め、旺盛に買い付けを行っており、産地相場は堅調に推移しています。

(クラマスフォールズ産2番刈アルファルファ 8月中旬撮影)

米国産
チモシー
  主産地であるワシントン州コロンビアベースンとエレンズバーグでは2番刈が収穫されています。穀物相場が堅調なため、多くの生産者で1番刈の収穫後、換金性の高いトウモロコシや豆類へ転作しており、2番刈の生産量は前年比で大幅に減少する見込みです。産地相場については発生量が減少するなか、2番刈は米国内のペット及び馬糧向けに引き合いが強く、引き続き高値で取引が行われています。
スーダングラス  主産地インペリアルバレーでは、2番刈の収穫が終盤を迎えています。8月中旬と9月上旬に降雨があったため、当時収穫中であったスーダンにおいて雨当たり被害が発生しています。このため、中級品から低級品の発生量が例年に比べ大きく減少しています。一部輸出業者によると21年産の中級品から下級品は作付面積減少に加え、今回の降雨の影響で生産量は例年の50%程度になると言われています。今回の降雨を受け、在庫を確保したい輸出業者及び自給飼料不足の内需の間で旺盛に買い付けが行われているため、産地価格は一段と上昇しています。輸出業者によってはこのような状況下、中級品以下のグレードを十分に確保できず、日本の各顧客に対し出荷制限を設ける動きも見られます。
またスーダンの競合作物であるデュラム小麦においても、今年の旱魃の影響で全米各地において生産量が減少しており、相場が急騰しています。この影響で来年22年産において産地では、各生産者がデュラム小麦の作付面積を大幅に増やす動きが見られ、スーダンの更なる減産の可能性が懸念されています。


(降雨直後の産地インぺリアルバレー:9月上旬撮影)

 

クレイングラス (クレインは全酪連の登録商標です)
 産地では3番刈の収穫が終盤を迎えており、生産者によっては4番刈の収穫を開始しています。スーダンで多くの降雨被害をもたらした8月中旬の降雨ですが、クレイングラスは幸い、多くの圃場で収穫前であったため、降雨被害を回避することができました。一方、3番刈の作況は高温多湿のなか収穫されたため、茎が固く、色目のぼやけた品質が目立ち、低級品が多く発生しています。
産地ではデュラム小麦の相場が急騰していることや肥料代を中心に生産コストが上昇しているため、生産者によっては4番刈で収穫を終え22年産の生産に向け転作準備を行う動きがあります。産地ではスーダンやアルファルファといった牧草の相場が上昇するなか、クレイングラスが比較的に手ごろであったこともあり、国内外からの引き合いが増えており、産地相場は上昇傾向にあります。
ストロー類  主産地オレゴン州ウィラメットバレーでは、21年産のストロー類の収穫作業は終了しています。旱魃の影響で例年よりも単収が大きく減少しましたが品質は良好です。
ペレニアル種のライグラスストローは、作付面積と単収の減少から生産量も例年に比べ減少することが見込まれていることから、産地相場は堅調に推移しています。
カナダ産チモシー   アルバータ州南部レスブリッジでは1番刈の収穫を終え、2番刈が収穫されています。1番刈は天候にも恵まれ、上級品中心の発生となりました。一方、6月に産地を襲った熱波の影響で、単収が減少しており生産量は例年比で30%程度減少しています。2番刈の収穫は開始されたばかりですが、収穫前の圃場の状態は良好で、上級品の発生が期待されています。
同州中部のクレモナ地区でも1番刈に収穫を終えています。多くの圃場で適期となる7月下旬から8月上旬にかけて収穫が行われ、天候にも恵まれたため、中級品以上の品質が多く生産されています。
産地相場はアルバータ州全体で熱波の影響を受け自給飼料不足しており、内需を中心に旺盛に取引されています。このため、産地相場は堅調に推移しており、特に発生量の少ない下級品の相場が大幅に上昇しています。


(21年産カナダ レスブリッジ産1番刈チモシー)

豪州産
オーツヘイ
 西豪州:21年産は多くの地域で例年以上の降雨量を記録しています。一部では大雨の影響で、水浸しになった圃場も発生しています。今後の天候にもよりますが、西豪州では例年以上の単収になることが予想されています。南豪州:当初、降雨が少なく生育が遅れていましたが、7月~8月にかけて降雨があり、持ち直しています。現時点では単収は例年並みになることが予想されています。

東豪州:7月~8月に降雨があった影響で、地域によって生育状況にバラつきがあるものの、東豪州全体として例年並みの単収を見込んでいます。

豪州海運情勢について  シンガポールや中国など豪州から日本向けの主要乗継港の混雑は深刻な状況です。このため乗継港で長期間滞留し日本への入船スケジュールが大幅に遅延するケースが増えています。一部の船社では、シンガポール及び中国各港の混雑が解消されるまで、豪州から日本向けの船腹予約の受付を中止しています。加えて、空コンテナを早期に中国に回漕するため、日本に輸入された実入りのコンテナが、空コンテナとして返却が確認できるまで次回の船腹予約を受け付けないという船社も出ており、豪州でも船腹予約が難しくなっている状況です。
この状況下、各船社9月のGRI(海上運賃一斉値上げ)をアナウンスしており、1コンテナ当たりおよそ250ドルの海上運賃の値上げが行われました。