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輸入粗飼料情勢

 

 

 

(令和7年8月12日発表)

<購買生産指導部 購買推進課>

北米コンテナ船情勢 北米西海岸を中心とする航路では、本船スケジュールに乱れが生じており、主要な乗継航路を含め、慢性的な混雑が続いています。

特に日本の主要港では、混雑が深刻となっているため、抜港や寄港予定地の変更、迂回ルートを臨時で増設していますが、根本的な解決となっておらず、状況は好転していません。そのため、一部の船会社はコンテナ搬出の催促や蔵置場所の確保のために荷揚げした貨物をオフドック(本船着岸岸壁から離れた場所)へコンテナを移送して置場所の確保を行っています。

また、今後は台風が多く発生する時期となることから、荷役作業の遅れや本船の滞船も見込まれるため、更なる港湾混雑も懸念されています。

北米航路では米中追加関税の一時停止措置により関税引き上げ前の船積みが急増しましたが、前倒し需要の反動と増便による供給過剰によって徐々に船舶のスペース不足は収まっています。

ビートパルプ 主産地であるミネソタ州、ノースダコタ州では6月に2025年-2026年産の播種作業が完了しており、8月下旬~9月上旬より収穫が開始される見込みです。

ミネソタ州では、6月に豪雨があり生育に懸念が出ていましたが、7月に入り、生育に適した気候が続いたことで順調に進んでいます。現時点で生産量は例年並と予想されています。

ビートパルプの市場については米国内需に加え、欧州からの引き合いも増加しており、産地相場は引き続き堅調に推移しています。

アルファルファ 【ワシントン州】

主産地であるワシントン州コロンビアベースンでは、25年産2番刈の収穫が終了し、3番刈の収穫作業が開始されています。2番刈の品質は、天候に恵まれたこともあり、色目が良く葉付きが良好な上級品が多く収穫されています。

輸出向けの買い付け交渉は継続して行われていますが、1番刈取引開始の際と同様に、産地では高値で販売したい生産農家と、安価で購入したい輸出業者の間で折り合いがつかないケースが多く、取引は十分に進んでいない状況です。

【オレゴン州】

オレゴン州南部クラマスフォールズでは1番刈の収穫作業が終了し、2番刈の収穫作業が開始されています。6月中旬~下旬にかけて降雨が発生したことで、一部の圃場で雨あたりの被害がありましたが、降雨被害前に収穫を終了した圃場では良品が発生しています。2番刈でも、収穫序盤に刈取した圃場で一部降雨被害が発生していますが、8月は好天が続く見通しのため、良品の生産が多く見込まれています。

同州中部クリスマスバレーでは、例年、7月上旬には1番刈の収穫作業が終了しますが、今シーズンは降雨の影響もあり、7月中~下旬まで収穫が続きました。収穫時期に局地的な降雨や暴風雨があったことから収穫された1番刈の30~40%で雨当たりの被害が発生したため、上級品の発生は限定的となっています。

また、ワシントン州同様に生産農家は輸出向けに販売するより、米国内酪農家に販売する方が高値で取引出来るため、輸出向けには売り渋りが多く発生しています。

【ネバダ州】

ネバダ州では2番刈の収穫作業が終盤を迎えており、早い圃場では3番刈に向けた収穫作業が開始されています。1番刈及び2番刈は収穫期を通して、降雨も少なかったことから収穫された品質は葉量が多く葉付きのよい良品が発生しています。

ワシントン州やオレゴン州で高成分の発生が限定的となったことで、米国内向けで需要は堅調に推移しています。

【カリフォルニア州】

カリフォルニア州南部のインペリアルバレーでは、4番刈の収穫が終了し、5番刈の収穫作業が行われています。産地では連日40℃を超える高温が続き、成分値が低く、色褪せたサマーヘイ中心の発生となっています。

灌漑局の発表によると、7月15日時点でのアルファルファの作付面積は145,187エーカーとなっており、前年同期の142,463エーカーからやや増加しています。

中国向けの出荷は再開されていますが、依然として不透明な状況が続いていることで需要は停滞しています。一方で、中東向けは馬糧向けを中心に堅調に推移しています。

米国産チモシー 主産地であるワシントン州コロンビアベースンおよびエレンズバーグ、アイダホ州では1番刈の収穫作業が終了しています。昨年同様に、春先は冷涼な気候で収穫期には好天に恵まれたこともあり、収穫された1番刈の多くは上級品となっており、中~低級品の発生は限定的です。

輸出業者は23年産、24年産の繰り越し在庫を保有しておらず、昨年同様に低級品の発生が限定的なことから買付は旺盛に進んでおり、産地相場は堅調に推移しています。

スーダングラス カリフォルニア州南部インペリアルバレーでは、1番刈の収穫が最終盤を迎えており、2番刈の収穫作業が開始されています。しかしながら、産地相場低迷により生産農家も作付意欲が低いため大半の圃場では1番刈で生産を終了し、秋野菜の生産に備えています。これまでに収穫された1番刈の品質は好天が続いたこともあり、上~中級品の発生が中心となっています。

一部の輸出業者が保持していた旧穀の繰り越し在庫も解消され、積極的に買付を再開しており、産地相場は堅調に推移しています。

灌漑局によると、7月15日時点でのスーダングラスの作付面積は23,986エーカーで、前年同期の13,879エーカーから増加しています。

クレイングラス (クレインは全酪連の登録商標です)

主産地であるカリフォルニア州南部インペリアルバレーでは、2番刈の収穫作業が終了しており、3番刈の収穫が開始されています。2番刈の収穫期間中は降雨もなかったことから柔らかく葉付きが多い良品が中心となっています。

3番刈を行わず、既にDIP(休耕地政策)を実施している生産農家もいることから、例年この時期に生産される3番刈の生産量と比較して減少する見通しです。

灌漑局の発表によると、2025年7月15日時点でのクレイングラスの作付面積は22,984エーカーとなっており、前年同期の21,119エーカーから増加しています。

作付面積は増加しているものの、繰り越し在庫は限定的となっており、韓国向け需要や、今後の相場次第では生産量を需要が上回ることも考えられるため注視が必要です。

バミューダ 現在、カリフォルニア州南部インペリアルバレーでは、バミューダヘイ2番刈の収穫作業が終了し、DIPを実施しない一部の圃場では3番刈の収穫が開始されています。種子生産やバミューダストローの収穫も本格化しており、収穫後の8月以降で大半の圃場がDIPへ移行する見込みです。

2025年7月15日時点での作付面積は78,385エーカーとなっており、前年同期の68,543エーカーから増加しています。

ストロー類

(フェスキュー・ライグラス)

主産地であるオレゴン州ウィラメットバレーでは、7月下旬よりペレニアルライグラスストローの収穫作業が開始されており、8月下旬頃から25年産の出荷が順次開始される予定です。作付面積は昨年と比較すると20%程度減少していますが、ペレニアル種のライグラスストローの作付面積は昨年並となっています。需要も堅調に推移しており、繰り越し在庫も限定的となっていることから、今後の動向には注視が必要です。
カナダ産チモシー 主産地であるアルバータ州南部レスブリッジ地区では、断続的な降雨の影響を受けるなか、25年産1番刈の収穫作業が終盤戦を迎えています。降雨被害を逃れた圃場についても、天候回復を待って収穫したため、刈遅れ気味の品質となり、上級品の発生は限定的で中級品~低級品の発生が中心となっています。

同州中部のクレモナ地区では一部の圃場で1番刈の収穫作業が開始されていますが、断続的な降雨により収穫作業が例年より遅れています。レスブリッジ地区同様に天候を待って収穫作業を開始した圃場では、刈遅れの中級品が中心に発生しています。

豪州産オーツヘイ・ウィートストロー 7月は西豪州や東豪州では例年並、南豪州では例年を超える降雨がありました。

現時点では、西豪州や東豪州では例年並の収量、南豪州では、播種時期の降雨不足が影響し、収量は昨年を下回ると予想されています。

8月も各地域で降雨予報が出ているため、生育も順調に進むと予想されていますが、収穫期までの降雨量次第では収量へ影響を及ぼす可能性があることから引き続き注視が必要です。また、8月2日には豪州北東部のクイーンズランド州と南東部のニューサウスウェールズ州で、寒冷前線の影響により大雪に見舞われました。この雪により、市街では停電や車両の立ち往生が発生しましたが、今のところ国内の酪農家や、牧草生産への影響は出ていません。

夏季の需要減や米国新穀の供給開始の影響で、輸出需要は軟化していますが、豪州国内では依然として堅調に推移しており、一部では西豪州から南豪州へ牧草を移送して需要を補っています。