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輸入粗飼料情勢

 

 

 

(令和7年6月10日発表)

<購買生産指導部 購買推進課>

北米コンテナ船情勢 北米西海岸を中心とする航路では、本船スケジュールに乱れが生じており、主要な乗継航路を含め、混雑が続いています。特に北米航路の一部が寄港するシンガポール、中国、釜山などのアジアの主要港で滞船が長期化しています。

また、トランプ大統領就任後、各国へ関税引き上げ策を打ち出し続けており、中でも米中間の動向は懸念が高まっていましたが、5月14日より、4月初旬以降に引き上げた関税率を一時的に停止する措置を発表したことで、中国から米国への輸出貨物の船積予約が増加しています。また、北米から中国への空コンテナ輸送も相まって、主要港である、寧波、上海、青島では沖待ちが多く発生しており、港湾混雑とコンテナ不足が深刻化しています。

関税停止措置の期限は8月14日となっており、前倒しで出荷する動きも見られているため、更なる海運情勢の悪化が懸念されています。

また、日本国内では団体交渉が難航し4月から5月にかけて、港湾労働者による時限ストライキが行われていましたが、5月14日の仮協定を持って合意となりました。

ビートパルプ 主産地であるミネソタ州、ノースダコタ州では天候に恵まれたこともあり、2025年-2026年産の播種作業が完了しています。産地では乾燥した気候が続くと予想されており、今後の生育状況も危惧されています。

ビートパルプの市場については堅調な米国内需に加え、モロッコやメキシコといった各国からの引き合いもあり順調に出荷されています。

アルファルファ 【ワシントン州】

主産地であるコロンビアベースンでは、1番刈の収穫作業が終盤を迎えています。冷涼な気候が続き、生育も順調でしたが、中~南部の地域では半数近くで、降雨被害が発生し、収穫スケジュールが2~3週間遅れています。降雨を避けて収穫した圃場では刈遅れの品質となっています。一方、北部では、良好な気候が続いており、今後の天候次第では良品が多く発生することが期待されています。

産地相場は未だ形成されていませんが、中東向けで高成分の引き合いが堅調であることや、降雨被害により上級品が不足する可能性もあるため、今後の動向には注視が必要です。

【オレゴン州】

オレゴン州南部クラマスフォールズでは1番刈の収穫作業が開始されており、スケジュールに遅れもなく、例年並みの収穫時期となる見通しです。

同州中部クリスマスバレーでは6月末頃から収穫作業が開始される見込みですが、春先の気候が、例年よりも冷涼だったため、収穫作業に遅れが出る可能性があります。しかしながら、両地域ともに生育期間中の天候には恵まれており、今後も好天が続けば、例年並みの良品が期待されています。

作付面積については、隣接のカリフォルニア州酪農家からの高成分需要があること、また、当地のアルファルファ生産農家にとって換金性が高い代替作物がないことから、前年とほぼ横ばいの見込みです。

【カリフォルニア州】

カリフォルニア州南部のインペリアルバレーでは、2番刈の収穫が終了し、3番刈の収穫作業が行われています。産地では、最高気温が40℃近い日が続いていますが、見た目が綺麗な良品が収穫されています。今後、収穫される品質は、成分値が低く、色褪せたサマーヘイが収穫される見通しです。

灌漑局の発表によると、5月15日時点でのアルファルファの作付面積は145,743エーカーとなっており、前年同期の144,365エーカーからやや増加しています。

米国産チモシー 主産地であるワシントン州コロンビアベースンおよびエレンズバーグでは、1番刈の収穫作業が南部の早い圃場で開始されています。暖冬の影響で、雑草が混入した圃場もありますが、春先に冷涼な気候が続いたこともあり、良品が収穫される見通しです。

もうひとつの主産地であり、非灌漑にて多くのチモシーが栽培されているアイダホ州でも、ワシントン州同様冷涼な気候のなか生育が続いており、生育状況は良好です。

今後の天候次第になりますが、産地相場は、作付面積増加に伴い軟化すると予想されています。

スーダングラス カリフォルニア州南部インペリアルバレーでは、5月中下旬から25年産の収穫が順次開始されています。

灌漑局によると、6月1日時点でのスーダングラスの作付面積は23,575エーカーで、前年同期の14,371エーカーから増加しています。当初、作付面積は20,000エーカー程度と予想されていましたが、産地での2022年産や2023年産の旧穀在庫が少なくなってきたことや、輸出業者が生産農家に対して作付を促したことで、予想を上回る作付面積となっています。しかしながら、多くの生産農家は産地相場低迷により、作付意欲が低いため、2番刈に進まず、1番刈終了後に秋野菜の生産に備えると予想されています。

クレイングラス (クレインは全酪連の登録商標です)

主産地であるカリフォルニア州南部インペリアルバレーでは、1番刈の収穫作業が終盤を迎えており、圃場によっては2番刈の収穫が開始されています。これまで収穫された品質は葉付きが良く、色目が綺麗な上級品が中心ですが、昨年のDIP(休耕地政策)の影響により、雑草が混入した中~低級品も発生しています。

灌漑局の発表によると、2025年5月15日時点でのクレイングラスの作付面積は22,857エーカーとなっており、前年同期の21,353エーカーから増加しています。

産地では24年産の繰り越し在庫も限定的となっており、輸出業者も新たに買付を開始していることから、産地相場は堅調に推移しています。

バミューダ 現在、カリフォルニア州南部インペリアルバレーでは、種子用の生産が中心となっており、一部の圃場で生産されているバミューダヘイの大半は米国内の馬糧向けに販売される見通しです。

灌漑局の発表によると、2025年5月15日時点での作付面積は77,416エーカーとなっており(前年同期の66,447エーカー)、生産農家にとってバミューダは、種子生産、ストロー生産、DIP補助金といった複数の収入が見込めるため、作付面積は大幅に増加しています。

ストロー類

(フェスキュー・ライグラス)

輸出向けストローの主産地であるオレゴン産北部ウィラメットバレーでは、順調に生育が進んでいます。25年産のライグラスストローの作付面積は他作物の相場が低調なこともあり、例年並~微増と予想されています。今後の天候次第ではアニュアル種とフェスキューが6月下旬から7月上旬にかけて収穫が開始される見通しです。

需要については、依然として韓国向けに堅調に推移しています。

カナダ産チモシー 主産地であるアルバータ州南部レスブリッジ地区では、昨年同時期と比較すると降雨量は減少しましたが、順調に生育しています。1番刈の収穫は6月下旬~7月上旬頃から開始される見込みです。

同州中部のクレモナ地区では、4月に25~27℃と暖かい日もあり、降雨不足が懸念されていましたが、5月に入り冷涼な気候や降雨もあり、生育は順調に進んでいます。6月に入り30℃近くなる予報が出ていますが、降雨予報もあり、生産農家は豊作になることを期待しています。1番刈の収穫は7月上中旬の見通しです。

豪州産オーツヘイ・ウィートストロー 豪州の各地域では降雨不足が顕著であり、5月の月間降水量は例年同月の10%以下となりました。

西豪州では大半の圃場で播種作業が完了しています。4月の降雨により発芽はしたものの今後の生育には降雨が必要な状況となっています。

南豪州では播種作業が継続して行われていますが、西豪州同様に降雨が不足しています。今後の降雨次第では、作付け計画を変更し、小麦や大麦を作付する生産農家もいることから、オーツヘイの収量の減少が懸念されています。

東豪州では播種作業が順調に進んでおり、地域によって異なりますが、広範囲での降雨も予測されています。今後、降雨が続けば生産に問題はない見通しですが、乾燥した気候が続くと収量への影響も危惧されることから注視が必要です。