(令和7年11月10日発表)
<購買生産指導部 購買推進課>
| 北米コンテナ船情勢 | 北米西海岸を中心とする航路では、混雑が緩和する傾向が見られていましたが、年末商戦に向けた貨物の増加や船腹スペースの減少により滞船が発生し、本船スケジュールに乱れが生じています。
欧州航路では、スエズ運河近くの紅海でイエメンの親イラン武装組織フーシ派による商業船への攻撃が相次いだことを受け、各船社はスエズ運河の航行を見合わせ、南アフリカの喜望峰経由へと航路変更をしていました。しかし、イスラエルとハマスの停戦合意が成立したことにより、一部の船社は紅海の通航を再開し始めました。現段階では試験的再開ですが、全面再開となれば、航海日数の大幅な短縮、船運賃の削減、接続港の混雑緩和が期待されます。 北米航路における船腹予約状況は8月11日に正式署名された関税停止の延長措置により市場は落ち着きを見せていましたが、10月下旬以降、年末商戦を見据えた前倒し出荷と北米西岸や東岸港湾での混雑の再燃により増加しています。 |
| ビートパルプ | 25-26年産ビートは各産地で製造が終盤に差し掛かっています。一部の地域では降雨被害が発生し、ペレットの生産量減少が懸念されています。欧州やメキシコ、米国内での需要も堅調に推移しており、新穀の大半が既に成約済となっています。 |
| アルファルファ | 【ワシントン州】
主産地であるワシントン州コロンビアベースンでは、大半の圃場で25年産の収穫作業が終了しています。25年産は春先の生育に適した冷涼な気候が続いていましたが、中~南部の地域では降雨被害が発生したことで1番刈は上級品が限定的となりました。2番刈は好天に恵まれたことで色目が綺麗な品質が多く収穫され、3~4番刈は降雨被害や山火事による煙の影響を受け中~低級品が中心の発生となりました。 輸出向けは低調な需要が続いておりましたが、徐々に中東や中国、韓国から引き合いが増えてきており産地相場は堅調に推移しています。 【オレゴン州】 主産地であるオレゴン州クラマスフォールズでは4番刈の収穫作業が終了しています。降雨の影響で1~3番刈の収穫スケジュールが遅れたことにより4番刈まで生産した圃場は例年より減少しています。4番刈は1~3番刈までの降雨で圃場が湿っていることで、原料草に多く水分を含み乾燥に時間を要したことから、葉付が悪いアルファルファも一部で発生していますが、大半は高成分の品質が中心で米国内酪農家向けに高値で取引されています。 同州クリスマスバレーでは3番刈の収穫作業が終了しています。クラマスフォールズ同様に収穫スケジュールが遅れましたが、収穫期の天候に恵まれたこともあり、上級品が中心となっています。 【カリフォルニア州】 カリフォルニア州南部のインペリアルバレーでは、DIP(休耕地政策)を行っていない圃場で6番刈の収穫作業が終盤を迎えており、7番刈の収穫作業が開始されています。産地では気温が冷涼になっていることから成分値は回復し始めています。 灌漑局の発表によると、10月15日時点でのアルファルファの作付面積は138,083エーカーとなっており、前年同期の139,302エーカーからやや減少しています。 |
| 米国産チモシー | 主産地であるワシントン州コロンビアベースンおよびエレンズバーグでは25年産の収穫作業が終了しています。1番刈は冷涼な気候の中、生育が進んだこともあり、上級品の発生が中心で中~低級品の発生は限定的となりました。2番刈についても天候に恵まれたことで、茶葉が少ない馬糧向けの上級品の発生が中心となりましたが、収穫が進むにつれ降雨も発生し、中~低級品も発生しました。上級品中心となった作柄により需要は堅調に推移しています。 |
| スーダングラス | 主産地であるカリフォルニア州南部インペリアルバレーでは、25年産の収穫作業が終了しています。一部の輸出業者が保有していた旧穀在庫も解消されたことにより、25年産の作付面積は増加しましたが、産地相場の低迷が続き、生産農家の作付意欲が低下したため、2番刈を行わず1番刈で収穫を終了した圃場も多く見られました。
灌漑局によると、10月15日時点でのスーダングラスの作付面積は10,613エーカーで、前年同期の3,947エーカーから増加しています。 |
| クレイングラス | (クレインは全酪連の登録商標です)
主産地であるカリフォルニア州南部インペリアルバレーでは、大半の圃場で25年産の収穫作業が終了しています。DIP終了後に収穫された圃場では、茎が固く茶葉が多い低級品の発生が中心となっています。 灌漑局の発表によると、2025年10月15日時点でのクレイングラスの作付面積は24,595エーカーとなっており、前年同期の22,624エーカーから増加しています。 韓国で自給飼料が不足していることに加え、オレゴン州でのストロー在庫も逼迫していることあり低級品の需要は堅調に推移しています。 |
| バミューダ | 主産地であるカリフォルニア州インペリアルバレーではDIP終了後の圃場で、種子生産とストロー生産が行われています。安価な繊維源としてストローの需要は堅調に推移しています。
2025年10月15日時点での作付面積は88,752エーカーとなっており、前年同期の78,842エーカーから増加しています。 |
| ストロー類
(フェスキュー・ライグラス) |
主産地であるオレゴン州ウィラメットバレーでは、収穫作業が終了しています。米国産チモシーの低級品が限定的となったことや韓国向けで自給飼料不足により需要は堅調に推移しています。 |
| カナダ産チモシー | 主産地であるアルバータ州南部レスブリッジ地区では、2番刈の収穫作業が終盤を迎えています。収穫された2番刈は良品も発生していますが、水分を多く含んだチモシーもあり輸出向けには適さないため、国内向けに出荷される見通しです。25年産の1番刈は8月下旬に収穫が終了しましたが、断続的な降雨の影響を受け、上級品の発生は限定的となったため、馬糧向けとの買付競争もあり、需要は堅調に推移しています。 |
| 豪州産オーツヘイ・ウィートストロー | 25年産オーツヘイの収穫作業が各地域で順調に進んでいます。
西豪州: 概ね収穫作業が終了しています。10月上旬に降雨がありましたが、例年と比較すると30%程度の降水量のため、収穫された品質に大きな影響は出ておらず上級品の発生が期待されています。収量については、生育期間中の天候に恵まれたことにより、多くの地域で例年並~例年以上の見込みとなっています。ウィートストローについては現在収穫作業が開始されています。
南豪州: 収穫作業は終盤戦を迎えています。10月は例年をやや上回る降水量となりました。昨年は記録的な干ばつで輸出向けに適さない品質が大半となりましたが、今年は生育期間中に適度な降雨もあり、見た目が良好な上級品も収穫される見通しです。収量は例年をやや下回ると予想されています。
東豪州: 収穫作業は中盤戦を迎えています。10月は例年を上回る降水量となりました。一部の圃場で降雨被害が出ていますが、生育期の天候に恵まれたこともあり、上級品も発生しています。今後も断続的に降雨予報も出ており、収穫や乾燥が遅れる可能性も出ているため、品質の懸念も出ています。
また、豪州航路においては、世界的なコンテナ需要の増加に伴い、本船スケジュールの遅延が継続しています。11月以降はサンクスギビングデーや、年末にかけてコンテナ需要が高まることも予想されており、スケジュールへの影響が懸念されているため注視が必要です。 |
全国酪農業協同組合連合会
