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輸入粗飼料情勢

 

 

 

(令和6年4月10日発表)

<購買生産指導部 購買推進課>

北米コンテナ船情勢 現在も北米西海岸航路は乗継航路を含めて主要な本船スケジュールに乱れが発生しており、状況は好転していません。また、一時的に中国発着貨物の流通量が旧正月の影響で低下し、スケジュール調整を行うために間引き運航をしたことで、米国西海岸へ到着する本船が少なく、空コンテナ不足が発生しています。今後はゴールデンウイーク需要に向けて貨物の増加が見込まれており、船腹予約の難航や慢性的な空コンテナ不足が発生する可能性もあるため、注視が必要です。

降水量不足の懸念があるパナマ運河では引き続き通行する船舶の隻数の制限を行っていますが、パナマ運河庁(ACP)は段階的に緩和する措置を発表しています。

スエズ運河近くの紅海ではイエメンの親イラン武装組織フーシ派による商業船への攻撃が続き、状況は好転しておらず、物流の混乱による影響で世界経済にも打撃を与えています。

また、3月26日には米国メリーランド州のボルティモア港付近に位置するフランシス・スコット・キー・ブリッジにコンテナ船が衝突する事故が発生しました。各船社はボルティモア港を寄港する航路において今後1ヶ月間は抜港(本船が寄港する予定を取りやめる)することを決定しています。ボルティモア港で扱う貨物は石炭や自動車が中心のため、北米西海岸への輸出入や航路変更は限定的であり、輸入粗飼料への影響はない見通しです。

ビートパルプ <米国産>

主産地であるノースダコタ州やミネソタ州では4月に入り製糖作業を終了する工場が出始めています。産地では3月に冷気が流れ込み気温が一時的に下がりましたが、4月は例年より温暖な気候になることが予想され、品質劣化により屋外で保管されている砂糖大根の廃棄量が増加する可能性もあり、生産量の減少が懸念されています。

アルファルファ <ワシントン州>
主産地であるコロンビアベースンでは、冷涼な気候が続いていますが生育は順調で、5月中旬から南部で24年産1番刈の収穫作業が開始される見込みです。

一部の生産農家では降雨や降雪により品質が劣化した輸出向けには適さない低級品在庫を抱えています。生産農家は23年産の価格が軟化したことにより期待していた利益を確保することが出来ず作付意欲が低下していますが、年間を通して上級品不足であったことから、24年産の作付面積は前年比で同水準程度の見通しです。

<カリフォルニア州>
カリフォルニア州南部のインペリアルバレーでは、降雨の影響で1番刈の収穫作業に遅れが発生しています。降雨の影響で刈取り適期を逃した中級品中心の発生となったため、高成分品質を求める中国や中東からの引き合いも弱く、米国内の乳価も低迷していることから需要は停滞しています。

産地当局から発表された、3月15日付けのインペリアルバレーにおけるアルファルファの作付面積は前年同期比95%となる145,569エーカーとなっています。

米国産チモシー 23年産の産地相場は22年産高値の影響で下落しましたが、農作物全般の価格も低水準で推移しているため、主産地であるワシントン州コロンビアベースン及びエレンズバーグでの作付面積は前年並になることが予想されています。23年産の産地での在庫状況は悪天候により上級品の発生が限定的だったこともあり未成約在庫はなく、低級品については輸出に不適合な在庫のみある状況です。
スーダングラス カリフォルニア州南部のインペリアルバレーでは早播きスーダンの播種を開始しています。産地当局の発表によると4月1日時点での作付面積は4,366エーカー(昨年同時期10,678エーカー)、前年同時期比41%と大幅に減少していますが、競合作物である小麦の作付面積は増加しています。23年産価格の軟化や日本の需要減少により、生産農家の作付意欲が低下していることが要因と考えられますが、23年産の在庫に加え、未だに22年産の旧穀在庫を抱えている輸出業者もいるため作付面積減少による供給力に懸念はありません。今後の相場次第ではスーダンの作付面積も増加する可能性もあるため注視が必要です。

産地在庫の多くは昨夏のハリケーンや降雨による雨当たり品や日焼けにより茎が固くなってしまった輸出向けには適さない米国内肥育農家向けです。

 

 

クレイングラス (クレインは全酪連の登録商標です)

現在産地では多くのクレイングラスの圃場で水入れが開始されています。順調に生育すれば、新穀の収穫作業は4月末から5月上旬に開始される見込みです。

主産地であるカリフォルニア州南部インペリアルバレーにおける3月15日時点の作付面積は21,438エーカー(前年同期22,033エーカー)となっており、先月に続き、前年同期比97%と減少しています。作付面積は今後の相場次第ですが、昨年並みから微減の見込みです。

日本や韓国向けは低水準ではあるものの安定的に出荷されています。米国内ではミード湖の水位上昇による水不足の解消や、干ばつ状況も緩和され価格は軟化しましたが、乳価が低迷していることから引き合いは少なく推移しています。

 

バミューダ 主産地であるインペリアル郡灌漑局の発表によると、3月15日時点での24年産の作付面積は65,715エーカー(前年同期:64,722エーカー)と前年比102%と前年より増加しています。例年春先は種子向け中心の収穫が行われ、牧草の収穫は夏場から本格化します。種子価格は依然高止まりで推移しており、今後の相場次第で、生産農家は牧草生産か種子生産のどちらで利益を多く得られるかを選択する可能性があるため、動向には注視が必要です。
カナダ産チモシー 主産地であるアルバータ州中部クレモナ地区、南部レスブリッジ地区では降雨も少なく温暖な気候が続いています。一部では土壌の水分状態を危惧する声も出ています。

23年産は干ばつの影響によりカナダ国内の乾草も不足したことで需要は堅調に推移しましたが、暖冬の影響で採食量の増加も緩やかなため、引き合いは例年より少なくなっています。カナダ国内と輸出向け需要の減退により作付面積は減少する見通しです。

豪州産
オーツヘイ・ウィートストロー
豪州では高温な気候が続き、強風や山火事が発生した影響で、輸出業者の工場への原料草の搬入や出荷作業の遅延が発生しています。現在、24年産の播種前に輸出業者と生産農家の間でオーツヘイ買付けにおける仮契約の交渉が進められていますが、作付面積は昨年と同程度の見通しと予想されています。

輸出向け需要について韓国や台湾向けは安定しています。中国は旧正月の影響で一時的に輸出量が減少しましたが、輸出認可が更新されて以降、月を重ねるごとに増加している状況です。

下図は豪州の気象庁による4月から6月の例年の降水量と24年4月から6月の降水量予測ですが、夏場の乾燥した気候の影響もあり今後3ヶ月を通して北部地域では2mm以下の降水量予測も多く、平年を下回る降水量になることが予想されています。播種時期に降雨が少ないとその後の生育に影響を与えることから今後の動向を注視する必要があります。

 

豪州コンテナ船情勢 Maritime Union(港湾労働者組合)と DP World terminal(港湾施設)間での労使交渉は終了し豪州の各港は通常運転となっていますが、スエズ運河近くの紅海問題によりアジア各地の乗継港における遅延は続いています。