(令和7年9月10日発表)
<購買生産指導部 購買推進課>
| 北米コンテナ船情勢 | 北米西海岸を中心とする航路では、本船スケジュールに乱れが生じており、主要な乗継航路を含め、慢性的な混雑が続いています。
日本の主要港では、依然として混雑が深刻化しており、抜港や寄港予定地の変更、迂回ルートを臨時で増設し混雑改善に向け取り組んでいますが、状況が改善するまでは時間を要する見通しです。 米中両国は7月末の貿易協議で24%分の追加関税停止措置を90日間延長することに合意しました。その後、8月11日には米国トランプ大統領が更に相互関税の適用停止期限を延期し11月10日までとすることを発表しました。この停止措置の延長により、前倒して輸出する動きも抑制されており、北米航路の船腹予約は軟化しています。11月の交渉次第では、追加関税が発動し貨物量の急増による混乱が発生することも考えられるため、動向には注視が必要です。 |
| ビートパルプ | 米国の各産地では25年産の収穫作業が開始されており、米国内では既にペレットの出荷も開始されています。ビートパルプの市場については米国内需に加え、欧州からの引き合いも増加しており、産地相場は引き続き堅調に推移しています。 |
| アルファルファ | 【ワシントン州】
主産地であるワシントン州コロンビアベースンでは、3番刈の収穫作業が終盤を迎えており、早い圃場では4番刈の収穫作業が開始されています。3番刈は収穫期の降雨を避けたことによる刈遅れや、冷涼な気候が続き、乾燥に時間が掛かったことで色褪せた品質が中心となっており、上級品の発生は限定的です。 産地では高値で販売したい生産農家と、安価で購入したい輸出業者の間で折り合いがつかないケースが続いておりましたが、現金化を優先する生産者もいることから取引は進んでいます。しかしながら、取引価格への不満も強く出ていることから、来年の作付面積は減少すると予想されています。 【オレゴン州】 主産地であるオレゴン州クラマスフォールズでは、2番刈の収穫作業が終了しており、3番刈の収穫作業が開始されています。収穫された2番刈の品質は一部の圃場で降雨被害が発生しており、降雨を避けて収穫した圃場では中級品中心、降雨被害前に収穫を終えた圃場では上級品が発生しています。降雨の影響で収穫スケジュールが遅れたこともあり、4番刈まで収穫できる圃場は限定的な見通しです。 同州中部クリスマスバレーでも2番刈まで終了しており、3番刈の収穫作業が開始されています。ワシントン州の1番刈と3番刈の収穫期において降雨被害が発生したため、上級品を求め一部の輸出業者が産地での買い付けに参入しています。 【ネバダ州】 ネバダ州では3番刈の収穫作業が終了し、早い圃場では4番刈の収穫作業が開始されています。収穫された3番刈の品質は高温地域であることからやや過乾燥傾向ではあるものの、葉付きが良く色目が綺麗な良品が多く発生しています。同州では近隣の肥育農家向けから引き合いが強く、需要は堅調に推移しています。 【カリフォルニア州】 カリフォルニア州南部のインペリアルバレーでは、5番刈の収穫作業が行われています。産地では高温多湿な気候となっており、成分値は低く、茎細で色褪せたサマーヘイ中心の発生となっています。灌漑局の発表によると、8月15日時点でのアルファルファの作付面積は142,037エーカーとなっており、前年同期の135,219エーカーからやや増加しています。 米国内向けや輸出向け需要は低調に推移していますが、中東向けは馬糧や小動物向けで順調に出荷されています。 |
| 米国産チモシー | 主産地であるワシントン州コロンビアベースンおよびエレンズバーグでは2番刈の収穫作業が中盤を迎えています。1番刈の多くは上級品となっており、中~低級品の発生は限定的となりました。収穫が進んでいる2番刈についても、生育期の状態が良好であったことから上級品の発生が多く、大半は馬糧向けに出荷される見通しです。一部の圃場では、降雨を避けて収穫したことで、刈遅れによる中級品も発生していますが、米国内からの需要もあり産地相場は堅調に推移しています。 |
| スーダングラス | カリフォルニア州南部インペリアルバレーでは、2番刈の収穫が最終盤を迎えていますが、産地相場低迷により大半の生産農家は1番刈で生産を終了し秋野菜の生産に備えています。1番刈で生産を終了した圃場があることや8月下旬に降雨も発生したことで、生産量が需要を満たせるのか懸念も出てきています。
また、一部の輸出業者が保有していた旧穀の繰り越し在庫も解消され、積極的に今年度産の買付を再開しており、産地相場は堅調に推移しています。 灌漑局によると、8月15日時点でのスーダングラスの作付面積は20,432エーカーで、前年同期の10,814エーカーから増加しています。 –カリフォルニア州南部の降雨について- 8月下旬と9月上旬、カリフォルニア州南部インペリアルバレーでは夏のモンスーン(季節風)による降雨が発生しました。この影響で、一部のタープ(収穫した牧草を覆う防水シート)が強風で吹き飛ばされ、浸水する被害が見られましたが、甚大な被害には至っていません。降雨の影響を受けた牧草は輸出向けには適さないため、米国内向けに出荷される見通しです。 |
| クレイングラス | (クレインは全酪連の登録商標です)
主産地であるカリフォルニア州南部インペリアルバレーでは、3番刈の収穫作業が終了しており、DIP(休耕地政策)を行っていない圃場で4番刈の収穫が開始されています。DIP終了後に再度生産を実施する圃場もある見通しですが、中~低級の発生となる見込みです。灌漑局の発表によると、2025年8月15日時点でのクレイングラスの作付面積は23,341エーカーとなっており、前年同期の21,067エーカーから増加しています。 作付面積は増加しているものの、繰り越し在庫は限定的となっており、韓国向け需要や、今後の相場次第では生産量を需要が上回ることも考えられるため注視が必要です。 |
| バミューダ | 主産地であるカリフォルニア州インペリアルバレーでは現在、大半の圃場でDIPに入り節水を実施しています。DIP実施前に収穫されたバミューダヘイの品質は上~中級品となっており、産地相場は米国内を中心に堅調に推移しています。
2025年8月15日時点での作付面積は80,859エーカーとなっており、前年同期の71,426エーカーから増加しています。 |
| ストロー類
(フェスキュー・ライグラス) |
主産地であるオレゴン州ウィラメットバレーでは、収穫作業が終了しており、25年産の出荷が開始されています。日本や韓国で稲ワラの不足が予想されていることから、輸出業者の買付競争が激化しており、需要は堅調に推移しています。 |
| カナダ産チモシー | 主産地であるアルバータ州南部レスブリッジ地区では、25年産1番刈の収穫作業が終了しています。断続的な降雨の影響を受け、収穫作業が大幅に遅れました。序盤で収穫された1番刈の中には、一部で上級品も発生しましたが、大半が降雨の影響を受けた中~低級品となっています。
また、同州中部のクレモナ地区でも、断続的な降雨の影響で収穫作業が遅れており、収穫された品質は刈遅れの中~低級品が中心で、上級品は限定的です。 産地では上級品の発生が限定的となったため、買付競争が激化しており、需要は堅調に推移しています。 |
| 豪州産オーツヘイ・ウィートストロー | 8月は各地域で降雨に恵まれ、例年並となりましたが、西豪州の一部の地域では例年を大幅に超える降雨量となりました。収量についても、各地域で例年並になる見通しですが、南豪州では、播種時期の降雨不足が影響し、収量は昨年を下回ると予想されています。
産地では、今後、収穫期を迎えますが、オーストラリア気象庁の予報では東豪州で降雨、西豪州では乾燥が見込まれています。この気象条件により、東豪州では中〜下級品の発生が増え、西豪州では上級品が中心となる見通しですが、今後の天候の推移には引き続き注意が必要です。 夏季の需要減や米国新穀の供給開始の影響で、輸出需要は軟化していますが、豪州国内の引き合いは依然として堅調に推移しています。 |
全国酪農業協同組合連合会


