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輸入粗飼料情勢

 

 

 

(令和7年7月10日発表)

<購買生産指導部 購買推進課>

北米コンテナ船情勢 北米西海岸を中心とする航路では、本船スケジュールに乱れが生じており、主要な乗継航路を含め、慢性的な混雑が続いています。特に北米航路の一部が寄港するシンガポールでは、船の同時入港によるバンチング(停泊場所の利用が集中して着岸待ちする状態)で、最大2週間の滞船が発生しており、積替船への接続が長期化し、アジア地域にもスケジュールの乱れが波及しています。

また、北米から中国への空コンテナ輸送も多くあることから、主要港である、寧波、上海、青島では沖待ちが多く発生しており、港湾混雑とコンテナ不足が深刻化しており、状況は好転していません。

日本の主要港でも、混雑が深刻となっているため、一部の船会社は蔵置場所の確保のために荷揚げした貨物をオフドック(本船着岸岸壁から離れた場所)へコンテナを移送して置場所の確保を行っています。

ビートパルプ 主産地であるミネソタ州、ノースダコタ州では2025年-2026年産の播種作業が完了しています。ミネソタ州では、6月の豪雨により、圃場に洪水の被害が出ており、25年産の生産量が懸念されています。

ビートパルプの市場については米国内需に加え、欧州からの引き合いも増加しており、産地相場は堅調に推移しています。

アルファルファ 【ワシントン州】

主産地であるコロンビアベースンでは、25年産1番刈の収穫が終了し、2番刈の収穫作業が開始されています。軽度な降雨も発生していますが、現時点で大きな被害は出ていません。

25年産の1番刈は、南部で降雨が続いたことで、色褪せた品質や、降雨を避けて収穫したことによる刈遅れの低級品が多く発生しています。中~北部では、南部と比較すると好天の日もありましたが、良品の発生は限定的となっています。

産地では高値で販売したい生産農家と、安価で購入したい輸出業者の間で交渉が進まず、取引は昨年よりも鈍化しています。米国内需要についても、酪農家が求めるような高成分な上級品の発生が限定的のため、引き合いは停滞しています。

【オレゴン州】

オレゴン州南部クラマスフォールズでは1番刈の収穫作業が終了しています。6月中旬~下旬にかけて降雨が発生しましたが、多くの圃場では、降雨前に収穫が完了したため、大きな被害は出ていません。同州南部クリスマスバレーでは、局地的な降雨があったことから一部の圃場では雨あたり被害が発生しています。

収穫された品質の多くは色目が綺麗な葉量が多い上級品ですが、生育期間中の気温の高低差により、ストレスが掛かり、生育不良の圃場もあったことから中級品も発生しています。

ワシントン州での上級品の発生が限定だったため、米国内酪農家はオレゴン州に上級品を求め、買付に入ることが予想されていますが、現時点では相場の動向を見極めている状況が続いており、注意が必要です。

【カリフォルニア州】

カリフォルニア州南部のインペリアルバレーでは、3番刈の収穫が終了し、4番刈の収穫作業が行われています。1~3番刈は成分値が高く色目が綺麗な品質が多く発生しています。4番刈以降は、気温が40℃を超える中での収穫となることから、成分値が低く、色褪せたサマーヘイが収穫される見込みです。

灌漑局の発表によると、6月15日時点でのアルファルファの作付面積は145,699エーカーとなっており、前年同期の144,432エーカーからやや増加しています。

中国向けの出荷は再開されていますが、先行き不透明の状況が続いており、輸出業者も慎重な姿勢で取引を進めています。

米国産チモシー 主産地であるワシントン州コロンビアベースンでは、1番刈の収穫作業が終了しており、同州エレンズバーグでは、終盤戦を迎えています。春先の冷涼な気候が続いたことや収穫期に好天に恵まれたこともあり、大半が上級品の発生で、低級品の発生は限定的となっています。

もうひとつの主産地であり、非灌漑地域で多くのチモシーが栽培されているアイダホ州でも、現在1番刈の収穫作業が進んでいます。

輸出業者は23年産、24年産の繰り越し在庫を保有しておらず、昨年同様に低級品の発生が限定的なことから買付は旺盛に進んでおり、産地相場は堅調に推移しています。

スーダングラス カリフォルニア州南部インペリアルバレーでは、収穫作業が本格化しています。収穫された品質は、茎が細く葉量が多い良品が発生しています。今後、夏場を迎え、更なる気温の上昇に伴い、茎が太い低級品の発生が見込まれています。

灌漑局によると、7月1日時点でのスーダングラスの作付面積は25,049エーカーで、前年同期の14,577エーカーから増加しています。依然、多くの生産農家は産地相場低迷により、作付意欲が低いため、2番刈に進まず、1番刈終了後に秋野菜の生産に備える見通しです。

クレイングラス (クレインは全酪連の登録商標です)

主産地であるカリフォルニア州南部インペリアルバレーでは、1番刈の収穫作業が終了しており、2番刈の収穫が開始されています。6月1日よりDIP(休耕地政策)が開始されていることもあり、一部の生産農家は生産を終了し、DIPへ移行していますが、大半は3番刈の収穫後に移行する見込みです。

灌漑局の発表によると、2025年6月15日時点でのクレイングラスの作付面積は23,059エーカーとなっており、前年同期の21,241エーカーから増加しています。

産地では24年産の繰り越し在庫も限定的となっており、生産コストの上昇相まって、産地相場は堅調に推移しています。 

バミューダ 現在、カリフォルニア州南部インペリアルバレーでは、バミューダヘイ1番刈の収穫作業が本格的に進んでおり、収穫された大半は米国内の馬糧向けに販売される見通しです。

灌漑局の発表によると、2025年6月15日時点での作付面積は77,830エーカーとなっており、前年同期の67,626エーカーから増加しています。

バミューダについても夏場までの生産後にDIPへ移行する圃場が多くなる見通しです。

ストロー類

(フェスキュー・ライグラス)

輸出向けストローの主産地であるオレゴン産北部ウィラメットバレーでは、25年産の播種作業が終了しました。25年産の収穫作業は7月中~下旬から収穫が開始される見込みです。

フェスキューは米国内の住宅用の芝需要向けの種子の販売が減少したため、作付面積は昨年と比較し20%程度減少していますが、ペレニアル種のライグラスストローの作付面積は昨年並となっています。産地では降雨が少なく、乾燥した気候が続いているため、収量が見込めず生産量は減少する見通しです。

カナダ産チモシー 主産地であるアルバータ州南部レスブリッジ地区では、25年産の1番刈の収穫作業が開始されています。

同州中部のクレモナ地区では、5月に降雨もありましたが、干ばつ傾向となっているため、生育状況が懸念されています。また、放牧用の生育にも影響が出ることも予想されており、カナダ国内酪農家からの需要も堅調に推移しています。

豪州産オーツヘイ・ウィートストロー 25年産のオーツヘイの播種作業は終了しています。降雨状況については、5月まで降雨不足が顕著でしたが、6月に入り地域によって異なる状況となっています。

西豪州では、一部で降雨に恵まれたものの、主要な生産地域での降雨量が、例年の30%~50%となっており、収量を確保するには降雨不足となっています。

南豪州でも降雨不足が続いており、例年の60%の降雨となっています。今後の予報も乾燥した日が続くことが予想されており、収量も大きく減少する見通しです。

東豪州では、例年の150%を超える降雨がありました。現時点で生育も問題ない見通しで、今後も定期的な降雨が続けば収量も前年を上回ることが予想されています。