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輸入粗飼料情勢

(令和3年4月12日発表)

<購買生産指導部 購買推進課>

北米コンテナ船情勢  PSWのロサンゼルス・ロングビーチ港では現在も25隻近いコンテナ船が沖合で滞船しており、衰えないアジアからの輸入貨物の増加がターミナルの保管スペースを逼迫させ荷役効率を落としています。直近ではロサンゼルス港から出港する日本向けの本船は沖合到着後、滞船を経て出港までに20日前後の時間を要しており大幅なスケジュールの遅延が続いています。またロングビーチ港から発表があった2月の輸出向け取り扱いコンテナのうち空コンテナの回漕率は昨年2月が51%であったのに対し、今年2月は69%と引き続き多くのコンテナがアジアやヨーロッパ向けに回漕されている状況です。このため、いまだに船腹確保は難しい状態です。
PNWのシアトル・タコマ出しについては大きなスケジュール遅延の要因となっていた経由地バンクーバー港での滞船は天候が穏やかになり始め、直近では5日ほどの滞船となっています。しかしシアトル・タコマ港でのターミナルの混雑と逼迫した船腹の状況は相変わらずで不安定な船積みが続いています。
多くの船会社で3月及び4月のGRI(海上運賃一斉値上げ)を実施しており、海上運賃が上昇しています。船社によっては5月もGRIをアナウンスしており1コンテナあたり$100~$200程度の更なる海上運賃上昇が見込まれております。また一部の船会社では、コンテナの長期滞留を防ぐためデマレージやディテンションのフリータイムを短縮する動きを見せており、輸入牧草を取り巻く環境はより一層厳しくなっています。
ビートパルプ <米国産>
20-21年産は各産地、冷涼な気候のなかビートの保管状況は良好で順調に砂糖の製造が進められています。ミシガン州では3月中旬に製糖作業が終了しています。ノースダコタ州ミンダック地区でも例年よりも順調に製造が進み4月下旬までに製造を終了する予定です。クリスタル地区では4月中旬に、ミネソタ州サザンミネソタ地区では5月中旬頃にそれぞれ製造を終了する予定です。
産地では4月に入り気温が上がっており、21-22年産の作付け準備が進められています。各地で作付面積の微増減はあるものの、概ね昨年並みになることが見込まれています。一方モンタナ州では、旱魃により圃場が乾燥しており、作付け開始にはもう少し土壌水分が必要な状況です。状況の好転がなければ、4月下旬にも灌漑用水による土壌の水分調整が行われ、作付けが開始される見込みです 。
アルファルファ   ワシントン州
主産地であるコロンビアベースンでは21年産の作付面積は昨年並みと予想されています。このまま順調な生育が続けば1番刈の収穫作業は、南部で5月上旬から開始されます。産地にある20年産上級品在庫はほぼ成約済みとなっていますが、低級品は若干の供給余力があります。トウモロコシと大豆の相場が良いため、1番刈の価格次第では、2番刈の収穫は行わず、大豆やトウモロコシへ転作される可能性があります。
(3月末撮影 コロンビアベースン パスコ周辺 )
 カリフォルニア州
カリフォルニア州南部インペリアルバレーでは、1番刈の収穫が終盤を迎えており、圃場によっては2番刈の収穫が開始されています。見た目は綺麗で、色の鮮やかな上級品が発生しており、内需及び中国、中東に向けた買付が輸出業者によって行われています。トウモロコシの相場が高いため、内需の酪農家によっては飼料中のアルファルファ給与割合を増やしているため国内需要は旺盛で、去年と比べ高い価格水準で取引されています。 カリフォルニア州北部では、4月上旬から1番刈の収穫が開始される予定です。
米国産
チモシー
 20年産は発生量が限定的であった上級品の相場は高騰したものの、発生の中心となった中~低級品は相場低迷したまま現在も推移していることから21年産の作付面積は昨年並みから輪作の関係で微増になると予想されています。
スーダングラス  多くの生産者で早播きスーダンの播種を開始しています。産地灌漑当局発表によると4月1日時点での作付面積は天候不順で播種の進捗が悪かった昨年同期比では127%の13,773エーカーと2,942エーカー増加していますが、過去5年平均の作付面積である、およそ17,000エーカーに比べると低い水準です。現在も早播きスーダンの播種作業は続けられているため、今後の作付面積に注視が必要です。
一方で産地では人件費や、燃料、肥料などの資材費用が上昇し生産コストを押し上げており、新穀相場への影響が懸念されています。
クレイングラス (クレインは全酪連の登録商標です)
産地灌漑当局発表によると4月1日時点での作付面積は19,683エーカーと昨年同期比89%の作付けとなっています。20年産の取引価格が他の作物に比べ魅力的でなかったことから換金性の高い他の作物へ転作されています。
現在産地では多くのクレイングラスの圃場で水入れが開始されています。春先が冷涼な気候であったため、生育が遅れており1番刈の収穫は例年よりも遅い、4月後半から開始される見込みです。
ストロー類 (フェスキュー・ライグラス)
ペレニアル種ライグラスストローについては年明け以降、産地における余剰在庫は限られており産地相場は上昇しています。十分に在庫を確保できていなかった輸出業社の買付コストは上昇しており、直近のオファーは輸出業者の買付ポジションにより差が出ています。
カナダ産チモシー  ターミナルへのコンテナ搬入の締切日変更や、確保していた船腹予約の取り消しが頻発しており、輸出業者は対応に追われています。既存オーダーが予定通り出荷できていないため、トラックの確保に苦慮し製造スケジュールも逼迫しています。輸出業者によっては、各顧客向けに1週間ごとの出荷制限を設けるなど対応しています。
豪州産
オーツヘイ
 3月24日~26日にかけてタグボート(本船の港到着後にターミナルへの接岸を誘導、補助する曳船)を運営するSvitzer会社が西豪州フリーマントル港を除く各港でストライキを行いました。一部の本船でターミナル寄港できなかったため数日の遅延が発生しています。
全豪的に不安定な船積みが続いており、多くの本船で2~3週間の遅延が発生しています。また引き続き船腹は逼迫しているため、輸出業者は船腹の確保に苦慮しており、海上運賃が高く普段敬遠するような船社も活用し船腹確保に努めている状況です。
中国向けの輸出
について
  中国政府はこれまで豪州全域の牧草加工工場28か所に対し中国への輸出を認可していました。しかしながら今年2月末に25か所の工場で輸出許可が期限切れとなり、多くの輸出業者で3月以降中国向け輸出が滞っています。
輸出許可を更新するために各輸出業者は6ヶ月以上も前から中国当局に申請を行っていましたが、豪州はコロナウィルス感染拡大を受け昨年3月より外国渡航者に対し入国制限を掛けているため、中国当局が訪豪し直接的な現地視察ができない状況となっています。この結果、25の牧草輸出工場で輸出許可が更新されず失効となっています。豪州農務省はGACC(中華人民共和国海関総署)と更新方法について協議を行っていますが進展は見られない状況です。豪州、中国とのあいだで、緊張した政治関係が続く中、産地の生産者は今後オーツヘイの需要が弱まることを懸念し21年産で何を作付けするか、頭を悩ます時期が続いています。