MENU

輸入粗飼料情勢

 

 

 

(令和7年12月10日発表)

<購買生産指導部 購買推進課>

北米コンテナ船情勢 北米西海岸を中心とする航路では、年末商戦に向けた貨物の増加や船腹スペースの減少により滞船が発生し、本船スケジュールに乱れが生じています。11月下旬にロサンゼルス港停泊中の本船にて火災が発生した影響により、一部の貨物がスケジュールに間に合わず、船積の遅延も発生しています。

また11月上旬の台風の影響で東南アジア周辺の港で作業が遅れていることや、年末に向けて中国の主要港で船腹予約も増加していることもあり、船腹スペースは逼迫しており遅延に拍車を掛けています。

10月30日に韓国で行われた米中貿易協議では、追加関税停止措置を2026年11月10日まで延長することで合意しました。この措置により、短期的な運賃上昇は抑制される見込みで、2026年は貨物量に一定の動きが出てくる可能性があります。米中対立による世界市場の混乱は一時的に落ち着きを見せつつありますが、交渉の行方次第では駆け込み需要や市場の混乱が再び起きることが懸念されているため、注視が必要です。

ビートパルプ 主産地のミシガン州では、一部の地域に降雨被害がありましたが、25-26年産の収穫作業は終了しており、製糖の製造作業も終盤に差し掛かっています。依然として、欧州やメキシコ、米国内での需要も堅調に推移しています。
アルファルファ 【ワシントン州】

主産地であるワシントン州コロンビアベースンでは、25年産の収穫作業が終了しています。25年産を振り返ると、1番刈は春先の生育に適した冷涼な気候や好天に恵まれましたが、収穫期に降雨被害が発生したことで、上級品の発生は限定的となりました。2番刈については、好天に恵まれたことにより色目が良好な上級品の発生が中心となりました。3~4番刈は降雨被害や山火事による煙の影響を受け中~低級品が多く収穫されました。

産地相場については、低調な需要が続いておりましたが、中東や中国、韓国から引き合いが増えてきており堅調に推移しています。

【オレゴン州】

主産地であるオレゴン州クラマスフォールズでは25年産の収穫作業が終了しています。25年産を振り返ると、1~3番刈の収穫期に降雨が発生したことで、一部の圃場で雨あたりの被害がありましたが、降雨を避けて収穫した圃場では中級品中心、降雨被害前に収穫を終えた圃場では上級品が中心となりました。

同州中部クリスマスバレーでも25年産の生産を終えています。例年、7月上旬には1番刈の収穫作業が終了しますが、今シーズンは降雨の影響もあり、7月中~下旬まで収穫が続きました。全体を通して収穫時期に局地的な降雨や暴風雨があったことから上級品の発生は限定的となりました。

【カリフォルニア州】

カリフォルニア州南部のインペリアルバレーでは、DIP(休耕地政策)を行っていない圃場で収穫作業が続いています。現在までの収穫を振り返ると、1番刈は昨年のDIPの影響で、枯れきった茎が混入した圃場もありましたが、色目が綺麗な高成分な品質が多く収穫され、主に中東や米国内酪農家向けに出荷されました。

1番刈以降については、気温や湿度の上昇に伴い、成分値が下がり始めたことで、茎が細い過乾燥なサマーヘイの発生が中心となりました。

灌漑局の発表によると、11月15日時点でのアルファルファの作付面積は154,926エーカーとなっており、前年同期の149,964エーカーからやや増加しています。

米国産チモシー 主産地であるワシントン州コロンビアベースンおよびエレンズバーグでは25年産の収穫作業が終了しています。1番刈は上級品の発生が中心となり、中~低級品の発生は限定的となりました。2番刈についても天候に恵まれたことで、上級品の発生が中心となりましたが、収穫が進むにつれ降雨も発生し、中~低級品も発生しました。

カナダ産チモシーの上級品が限定的となったことから産地在庫の売約も進み、需要は堅調に推移しています。

スーダングラス 主産地であるカリフォルニア州南部インペリアルバレーでは、25年産の収穫作業が終了しています。一部の輸出業者が保有していた旧穀在庫も解消されたことにより、25年産の作付面積は増加しましたが、産地相場の低迷が続き、生産農家の作付意欲が低下したため、2番刈を行わず1番刈で収穫を終了し、秋野菜の生産に備える圃場が多く見られました。収穫された1番刈は好天に恵まれたため、上~中級品の発生が中心となりました。2番刈については夏のモンスーン(季節風)による降雨もあり、影響を受けた牧草は輸出向けには適さないため、米国内向けに出荷されました。

灌漑局によると、11月15日時点でのスーダングラスの作付面積は6,423エーカーで、前年同期の1,233エーカーから増加しています。

クレイングラス (クレインは全酪連の登録商標です)

主産地であるカリフォルニア州南部インペリアルバレーでは、25年産の収穫作業が終了しています。昨年のDIPの影響により、雑草が混入した中~低級品も一部の圃場で発生しましたが、年間を通して、葉付きが良く、色目が綺麗な上級品が多く収穫されました。DIP終了後に収穫された圃場では、茎が固く茶葉が多い低級品の発生が中心となりました。26年産でも継続してDIPが実施される見込みのため、作付面積はやや増加し、生産量は減少すると予想されています。

灌漑局の発表によると、2025年11月15日時点でのクレイングラスの作付面積は25,021エーカーとなっており、前年同期の22,834エーカーから増加しています。

韓国では先月に引き続き自給飼料が不足していることに加え、日本からの需要も旺盛のため、堅調に推移しています。

バミューダ 主産地であるカリフォルニア州インペリアルバレーでは25年産の収穫作業が終了しています。2025年11月15日時点での作付面積は87,841エーカーとなっており、前年同期の78,087エーカーから増加しています。先月に引き続き、安価な繊維源として需要は堅調に推移しています。
カナダ産チモシー 主産地であるアルバータ州南部レスブリッジ地区では、2番刈の収穫作業が終了し、25年産の収穫作業が終了しています。25年産の1番刈は8月下旬に収穫が終了しましたが、断続的な降雨の影響を受け、上級品の発生は限定的となりました。2番刈についても不安定な天候の影響もあり圃場での乾燥に時間を要していたことで、輸出に向かない品質も発生しています。そのため、産地では馬糧向けとの買付競争も激化しており、需要は堅調に推移しています。
豪州産オーツヘイ・ウィートストロー 西豪州:

西豪州の収穫作業は終了しています。収穫作業中に降雨の影響を受けた圃場もあり低級品の発生もありますが、生育期間中の好天や適度な降雨に恵まれたことにより、上級品~中級品の中心となっています。ウィートストローについては収穫作業が中盤を迎えています。

南豪州:

南豪州の収穫作業は終了しています。昨年は干ばつの影響を受け、輸出向けに適さない品質が大半となりました。今年は適度な降雨もあり順調に生育が進んでおりましたが、収穫終盤に降雨があり、中級品が発生しています。降雨を逃れた収穫の前半では見た目が綺麗で分析値が高い品質も多く収穫されています。収量については昨年対比で大幅に増加しましたが、例年と比較するとやや下回っています。

東豪州:

例年では収穫作業が終了している時期ですが、断続的な降雨の影響で、収穫作業が遅れています。収穫期序盤の降雨を逃れた圃場では見た目が綺麗な上級品が発生していますが、現在も収穫出来ていない圃場については輸出向けに適さない低級品となる見通しです。

今後も断続的に降雨予報も出ており、豪州国内の酪農家からの需要も堅調に推移しているため動向には注視が必要です。