輸入粗飼料情勢 (平成29年5月8日発表)

<購買部 購買推進課>


北米コンテナ船情勢  海運アライアンス再編による新航路のサービスが4月よりスタートしました。日本向けの寄港地が減るアライアンスに加盟する船社は、日本へ寄港する航路が多い、別のアライアンスからスペースを確保するなどして、今のところ改編前と大きく変わらないサービスで対応しています。新たな航路においては、次々と大型船が投入されてきており、北米からアジアの主要港を回る航路などでは早くも貨物スペースが埋まるのかどうか心配する声も聞こえてきています。また、豪州航路でも航路の再編が行われており、寄航回数の減少を大型船で補う北米航路と同じ構図になりつつあります。
 上記の通り、各航路において、大型船の投入が増えていますが、日本に寄港できる最大の本船サイズは13,000TEU(20フィートコンテナで13,000個搭載可能)となっており、20,000TEU級の大きな船舶は日本に寄港していません。これは日本の各港の岸壁水深が大型船舶を受け入れるだけの十分な深さがないことが最も大きな要因と言われています。今後さらにコンテナ本船の大型化が進むと、日本の各港への寄港が減り、長期的には海上運賃の競争力が低下する懸念もあります。
ビートパルプ <米国産>
  2016年産の製糖及びペレット生産は間もなく終了の予定です。既報の通り、シーズン当初の見込みに比べて、ペレットの生産量は大幅な下方修正となっています。2か月ほど前には既に10%を超える大きな減少となっていましたが、その後春先の温暖な気候のために廃棄せざるを得ない原料大根も発生しており、減産幅は更に大きくなっている模様です。このため米国産の供給余力は一気に弱まることとなり、米国産を主力とする日本市場への影響も懸念されます。
 新穀については、4月初旬よりミシガン州、アイダホ州、中旬より日本向けの主力産地であるミネソタ州、ノースダコタ州で新穀の作付が始まりました。ミシガン州、ミネソタ州などの北部の地域では降雨が多く、昨年の同時期に比べ20−30%程度の作付の進捗となっており、今後の動向が注目されるところです。
アルファルファ ワシントン州
 今冬は非常に寒いシーズンとなりました。主産地コロンビアベースンでは、ようやく気温が15℃を超え、春らしくなってきました。このため、アルファルファの生育は、温暖な気候により過去にないほど早かった昨年と比較すると、2〜3週間程遅れています。1番刈の収穫は、例年並みから例年よりもやや遅い5月中旬以降から本格的にスタートする見込みです。
 産地の在庫の状況は、ほぼ成約済みで余剰はないようです。厳冬の影響で肉牛用の自給粗飼料が不足し、冬期の間に肉牛向け低級品の出荷が例年以上に多くなったことに加え、豪雪や雪解けの影響により、生産農家で保管している在庫に浸水のダメージが発生していることが主な要因で、さらには堅調な中国向けの出荷も余剰在庫の少なさに拍車をかけているようです。
 作付面積については、既報の通り16年産のアルファルファ相場の低迷の影響もあり、前年並みからやや減少するものと見込まれております。産地価格については、カリフォルニア州南部の新穀の相場上昇を受けて、特に上級品において昨年よりも強含みで取引が開始されると多くのサプライヤーが予想しています。

     
     (4月下旬 コロンビアベースン南部 アルファルファ1番刈り生育状況)

オレゴン州
 南部クラマスフォールズにおいても、他地域と同様、厳冬の影響を受けて昨年よりもアルファルファの生育は2週間程遅れていますが、例年並みかやや遅い、6月上旬から中旬にかけて収穫が開始される見込みです。作付面積については、ほぼ横ばいから微増と予想されています。
 中部クリスマスバレーも生育は昨年よりも遅れ気味です。1番刈の収穫は例年よりやや遅い6月中旬頃から始まる見込みです。当地域の作付面積に大きな変動はなく、昨年並みとなっていますが、堅調な中国向け需要や国内需要向けとして、ビックベールによる生産が近年増え続けており、スモールベールの生産が減少しています。

ネバダ州
 今冬は例年よりも降雨が多く、山間部への積雪が多かったことから近年続いていた水不足の懸念は解消されています。当地域では見た目がきれいな緑目のアルファルファが多く生産されるため、このような品質を求める中国向けに引き続き堅調な引き合いが見込まれています。

カリフォルニア州
 南部インペリアルバレーでは2番刈の収穫が進んでいます。米国乳価が徐々に回復の兆しを見せており、米国内の酪農家からの需要が増加していること、および中国、中東からの需要も引き続き堅調なことから、17年産の新穀価格は前年の同時期に比べ高値で相場が形成されつつあります。特に、高成分品に対する米国内酪農家からの引き合いは引き続き旺盛となっており、他産地や他地域の新穀価格にも波及する可能性があります。
 北部カリフォルニアにおいては、4月下旬から1番刈の収穫作業が開始されています。作付面積はナッツ類への転作によって減少していますが、冬期に降雨が多かったことから近年続いた水不足が解消し、生産数量自体は大きく減ることはないと予想されます。
米国産チモシー  16年産の産地在庫はほぼ成約済となっており、多くの需要家は新穀待ちの状況となっています。17年産は価格相場の回復を予想し、ワシントン州、オレゴン州、アイダホ州の各生産地では5〜10%程度作付が増えているようです。
 産地価格については、旧穀の在庫がないことから新穀スタート時には昨年比で値上がりが確実と言われています。しかしながら、過去にも見られたように、価格の高騰は需要の冷え込みを引き起こし、在庫過多となり、いずれ価格下落を招く可能性があることから、慎重に相場形成が進むものと思われます。
 今年は春先から冷涼な天候となっていますが、コロンビアベースンの多くの圃場では、例年並みの6月中旬から下旬に刈り取りスタートになると見込まれています。同様に、エレンスバーグ地域でも現時点では例年並みの収穫スケジュールで進むと思われ、7月上旬に刈り取りが開始される見込みです。

     
     ワシントン州 チモシー圃場 4月下旬撮影
カナダ産チモシー  アルバータ州南部レスブリッジでは旧穀の出荷は順調に推移し、2番刈りに関しても国内の酪農・畜産農家からの引き合いが強く、チモシーの生産農家は17年産の作付に関して、前向きな姿勢を示しています。
 一方、アルバータ州中部クレモナ地区は16年産では後継者不足から廃業が相次ぎ、作付けが減少しました。しかしながら、競合する作物等の価格は依然として相場が芳しくないため、このまま他の作物価格の低迷が続けばチモシーの作付は大きく変動しない可能性もあります。
スーダングラス  スーダングラスの17年産作付面積は5月1日時点で、約33,500エーカーと昨年同時期を上回る作付けとなっています。当初は作付面積の減少が懸念されていましたが、多くのサプライヤーが昨年並みの作付面積に落ち着くと予想しています。 ここ最近は気温も上昇しており、刈り取りは例年並みかやや早めにスタートする見込みで、今後の天候次第ではありますが、新穀の船積みは最速で6月上旬から中旬にかけて出荷可能な状況です。
 16年産の産地在庫は余剰なく、繰り越し在庫はほとんどないことから、17年産のスタート価格は強含みで展開すると予想されています。繰り越し在庫がない状況のため、日本から実需以上の引き合いが入りやすく、産地相場が過熱しやすい環境でもあることから、無用な価格高騰を抑えるために、産地側・日本側双方の慎重な対応が必要になります。

    
     インペリアルバレー スーダングラス圃場 (4月下旬撮影)



     インペリアルバレー スーダングラス作付面積(2017年5月1日時点)



     インペリアルバレー 小麦作付面積(2017年4月15日時点)
クレイングラス (クレインは全酪連の登録商標です)
 4月15日に発表された17年産の作付面積は前年比16%減となっており、生産量についても作付面積並みの減少が見込まれています。
 16年産の繰り越し在庫はほぼ無い状況で、新穀まではややタイトな状況が続きそうです。特に韓国からの需要は引き続き堅調な模様です。新穀の生育状況は良好で例年よりやや早めで、早い圃場では4月中旬から刈り取りを始めたところもあるようです。

     
     クレイングラス圃場(4月下旬撮影)

 17年産の産地相場はまだ明らかにはなっていませんが、韓国の堅調な需要、16年産の在庫がなく、作付面積が減少していることから、値上げは不可避な状況です。一方で品質面においては、16年産は相場の低迷より、生産農家の利益は無く、品質を重視する動機が低かったと言えますが、生産農家に利益が残る価格帯になることで、17年産はより安定した品質が期待できる環境になるとも言えます。収穫のスケジュールもやや早めの進捗であることから、今後の天候次第とはいえ、気温が上がり湿度が出る時期までに良品が発生する機会が例年に比べ高まるといった見方もできます。



     インペリアルバレー クレイングラス作付面積(2017年4月15日時点)
ストロー類 (フェスキュー・ライグラス)
  主産地オレゴン州ウィラメットバレーでは、新穀の収穫は7月から開始される予定です。16年産の産地在庫の状況は変わらず、ほとんどのサプライヤーで余剰玉はなく出荷可能な在庫は極めて限定的となっています。日本、韓国からの追加買いの問い合わせは続いていますが、対応は難しく状況は大きく変わっていません。
豪州産オーツヘイ  2月の豪州からの牧草輸出量は82,359トンと単月過去最高を記録しています。その要因は中国向けで、2月単月では25,340トンとこちらも過去最高の輸出量となっています。加えて、日本向け韓国向けも堅調であることから、各サプライヤーの工場はフル稼働が続いています。



     豪州産牧草輸出数量実績(単位:トン 2016年4月から2017年2月まで)

  乾牧草の輸出は活発な状況ですが、豪州経済の減速から、豪州へのコンテナ貨物の輸入が減ってきています。この影響で、西豪州を中心として空コンテナの不足が散見され始めました。西豪州から日本直行の航路はないため、空コンテナの不足が続くと船積みのスケジュールがさらに不安定になりやすく、より一層注意が必要になると思われます。

 西豪州、南豪州では1〜3月までは降雨が多く、5月から始まる新穀の播種を前に十分な土壌水分があると見込まれていましたが、4月は一転して降雨がほとんどない状況となっています。

     
     豪州気象庁データより引用 4月の降雨量

 東豪州は4月以降も例年並みの降雨があり、こちらは順調に作付けが進むと見 込まれていますが、今夏のエルニーニョ現象の発生確率は50%と言われています。エルニーニョ現象が発生すると、東豪州では旱魃傾向になることから、今後の播種に向け、その動向が気になるところです。