輸入粗飼料情勢 (令和2年6月10日発表)

<購買生産指導部 購買推進課>

北米コンテナ船情勢  6月に各船社で予定されておりましたGRI(運賃一斉値上げ)は7月以降へと延期されています。また原油価格の下落に伴い、一部の船社ではLow Sulphur Fuel Compliance Charge (低硫黄燃料追加料金)などの各種サーチャージを減額していますが、この3ヶ月間で上がった運賃の値上げ幅はカバーできていません。
 中国から北米向けの輸出量は徐々に回復傾向にありますが、COVID-19発生前の水準には戻っていない状況です。船社によっては引き続き7-9月も中国-北米間のサービスの減便を発表しています。このため、運航を続けるサービスに予約が集中しています。特にシアトル・タコマ港からのサービスの船腹は引き続き逼迫しており予約の取得が難しい状況が続いています。
米国乳価状況   米国ではCOVID-19の影響で学校やレストランが閉鎖しており乳製品の需要は減退し在庫過多により操業を中止する乳製品工場も出ています。この状況下多くの生産者で生乳の減産を強いられています。USDA(米国農務省)の発表によると4月の全米平均クラスⅢ乳価は国内及び世界的乳製品の需要減少を受け100ポンドあたり$13.07と前月比20%下落しています。 


(出典:USDA 全米平均クラスⅢ乳価 単位:米国ドル/100ポンド)
ビートパルプ <米国産>
 北中西部では20年産ビートの播種は概ね終了しています。ミネソタ州では順調に播種が進み降雨や凍結のダメージを回避できました。ミシガン州では播種を終え通常通り生育しておりますが、ダムが決壊し一部の地域で洪水被害を受けており、ビート圃場では当該地域の約10%で被害が出ています。
 ノースダコタ州では霜による被害がありましたが影響は限定的で、現在では冷涼な気候から一転し徐々に暖かくなっています。生育は若干遅れていましたが、適度な降雨と気候の回復に助けられ現在では例年並みまで持ち直しています。
アルファルファ ワシントン州
 主産地コロンビアベースンでは5月に入り1番刈の収穫作業を開始しましたが、この1ヶ月断続的に降雨があり収穫作業の進捗に影響が出ています。
 コロンビアベースンの南部では、断続的な降雨により、収穫されたアルファルファには僅かな雨当たりのものから酷い雨当たりのものまで様々な品質のものが発生しています。降雨を避けられたアルファルファも刈遅れとなっており南部でのプレミアム品の発生は限定的です。中部から北部でも5月中旬から順次収穫作業が開始しています。こちらも南部同様不安定な天候により、雨当たりの被害が報告されています。産地ではまだ相場は出来上がっていないものの、プレミアム品の発生は限定的なため相場は堅調に推移しています。  

 (アルファルファ圃場と一番刈 コロンビアベースン中部 5月中旬撮影)

  オレゴン州
 オレゴン州南部クラマスフォールズでは1番刈の収穫が6月上旬から開始されています。産地は春先からの水不足で旱魃傾向にあり6月以降に農業用水の利用を制限される地域も発生する見込みです。
 オレゴン州中部クリスマスバレーでは多くの生産者で地下水を利用しているため、旱魃による水不足の問題は無くアルファルファを栽培しています。スケジュールの早い生産者では6月中旬頃から1番刈の収穫を開始する予定です。  
   ネバダ州・ユタ州
 ネバダ州西部のイエリントン周辺では現在1番刈の収穫が開始されています。
  一部の圃場ではベーリング作業も進んでいますが、同地域でもワシントン州と同様に断続的な降雨に見舞われており収穫作業に遅れがでています。 ユタ州では5月下旬から1番刈の収穫作業が開始されており順調に進捗しています。
 6月上旬に降雨の予報が出ているため注視が必要です。中国からの高成分品アルファルファに対する需要は旺盛であり産地相場は堅調に推移しています。  
   カリフォルニア州
  カリフォルニア州南部インペリアルバレーでは、3番刈の終盤を迎えており、一部の生産者では4番刈を開始しています。産地ではすでに気温が40℃前後まで上昇しているため、成分が下がっておりプレミアム品の発生は少なくなっています。
米国産
チモシー
 主産地であるコロンビアベースンでは比較的冷涼な気候が続いておりチモシーの生育は良好です。当初5月末から収穫の開始が予定されていましたが、天候の安定を待って、6月上旬から開始しています。エレンズバーグでは6月中旬から下旬にかけて収穫作業が開始する予定です。
 他方で今年1月に米国と中国との間で包括的な貿易協定の第1段階(フェーズ1)が署名されており、この中には米国産チモシーの中国への輸出解禁についても記載されています。1月以降、両国で協議が進められ5月に正式にチモシーの輸出について協定書が結ばれました。今後米国の各輸出業者は中国当局への申請とUSDA(米国農務省)からの承認を経て正式にチモシーの輸出を開始する予定となっています。
スーダングラス  主産地であるインペリアルバレーでは一部の生産者で20年産早播きスーダンの収穫が開始されています。春季の播種作業の遅れから早播きスーダンの収穫本格化は例年より約2-3週間遅い6月中旬から下旬になることが見込まれています。この収穫の遅れにより上級品の発生減少やブラウンリーフの混入したスーダンの発生が例年よりも多くなる可能性が懸念されています。
 産地灌漑局によると6月1日時点のスーダンの作付面積は昨年比95%の41,970エーカーとなっており今後42,000エーカーから45,000エーカーまで作付けされることが見込まれており、総作付面積は19年産並みになると予想されています。

  (スーダン圃場 インペリアルバレー 5月下旬撮影) 
クレイングラス (クレインは全酪連の登録商標です)
 多くの生産者で1番刈の収穫を終えており、現在2番刈の収穫が行われています。例年1番刈は良品多く発生する傾向にありますが、20年産は雑草の混入や収穫期の降雨により収穫を中断した圃場もあったため刈遅れ品が発生しており、良品の発生が少なくなっています。
 2番刈は乾燥した気候のもと順調に収穫が進んでおり多くの良品の発生が期待されています。スケジュールの早い生産者は2週間後に3番刈を開始する予定です。  


      (2番刈クレイングラス圃場 5月下旬撮影)
ストロー類 (フェスキュー・ライグラス) 
 日本からのストロー需要は引き続き堅調です。現地の19年産は完売となっております。20年産については順調に生育していますが、作付面積減少に伴い生産量の減少が予想されているため産地相場も堅調に推移しています。  
カナダ産チモシー   20年産の作付面積につきましては、19年産とほぼ同水準になると予想されています。アルバータ州中部のクレモナでは、生産効率向上と人件費削減のため、これまで活用していたスモールベールのベーリングマシンからビッグベールマシンへ移行する生産農家が増えています。
豪州産
オーツヘイ
 /ウィートストロー
 播種は順調に進み多くの地域でオーツヘイの作付けを終えています。
 東豪州を中心に播種前の良いタイミングで降雨があったため、適度な土壌水分を含み作付することができました。西豪州では当初降雨の不足が心配されていましたが、5月下旬に降雨があったため状況は好転しています。全豪的に理想的なタイミングで作付けが出来ており、且つ雨にも恵まれたため収穫期に向け順調な生育が期待されています。20年産の生産が順調にスタートしていることから、国内需要は年始に比べると落ち着いています。
 豪州コンテナ船情勢  COVID-19の影響及び政治的背景もあり、引き続き中国-豪州間の本船が減便されています。このことから豪州各港で空コンテナが不足しています。特に南豪の空コンテナ不足は顕著で、産地の輸出業者は出荷に合わせ他の港から空コンテナを横持ちして対応しています。現在のところ空コンテナ不足による大幅な遅延は発生しておりませんが、徐々に確保が難しくなっていることから、今後の状況に注視が必要です。