輸入粗飼料情勢 (平成29年2月7日発表)

<購買部 購買推進課>


北米コンテナ船情勢  2月1日付通知の海上運賃値上げ(GRI)はほとんどの船社で回避の判断に至りましたが、3月1日付で再度GRIを通知する船社も出て来ています。依然値上げの圧力は弱まっておらず、不透明な状況が続いています。
 今年7月に邦船3社が合弁会社を設立することが発表されていますが、海外でもコンテナ海運業界最大手のマースクラインが業界第7位のハンブルグ・スードの買収に入っており、今年12月には買収完了となる見込みです。 各船社、コンテナ部門においては、未だ厳しい経営を余儀なくされており、今後も生き残りをかけ同盟や買収・合併等が盛んに行われると思われます。
ビートパルプ <米国産>
 2016年産は既報の通り、一部地域を除き作柄は総じて良好で、ペレットの生産量も昨年並みになると予想されていました。しかしながら、ここにきて生産量が当初より大きく下方修正されそうな見込みです。現在、各製糖工場では能力以上のペースで工場を稼働しており、当初の想定よりも生パルプの発生が大幅に増え、ペレット生産量が減少しているようです。このため、今後のペレットの生産量を注視していく必要がありそうです。3月から4月にかけてスタートする新穀については、現状では作付面積の増減に大きな変動をもたらす要因は見当たらない状況です。
 1月20日に発足したトランプ政権が、早速NAFTA(北米自由貿易協定)の見直しを明言しています。これにより安価なメキシコ産砂糖の流通に何らかの制限が掛かると、米国内での砂糖生産が増加し、ペレットの生産量に影響が出てくる可能性もあります。

<他国の状況>
 米国産ビートパルプの中国向け輸出が徐々に始まっている模様です。現行では様子を見ながらコンテナでの出荷のみのようですが、中国におけるアルファルファや豪州産オーツの需要の伸びを見ると、ビートパルプについてもその市場は巨大と思われ、今後米国産以外の輸入許可が下りない場合、2017年以降の米国産の価格上昇が懸念されます。
アルファルファ  2016年のアルファルファの日本の輸入量は約374,000トン (前年比100.2%) と2015年と同程度となりました。過去5年間のPNW (シアトル/タコマ港、ポートランド港) 出しとPSW (オークランド港、ロサンゼルス/ロングビーチ港) 出しのアルファルファ出荷割合を比較すると、PNW出しの割合が年々減少し、PSW出しが増加しています。これまで、日本向けのアルファルファは葉付きが良く葉量が多い米国西海岸北部のワシントン産が中心でしたが、近年では産地が多角化してきていることが伺えます。

   
     米国西海岸北部(PNW)および南部(PSW)からの日本向けアルファルファ出荷割合

 ワシントン州では1月に入り降雪が増え、山間部には昨年並かそれ以上の積雪量があり、2017年産クロップに関しても今のところ水不足の心配はないと言われています。また、カリフォルニア州においても1月に入って降雨・降雪が続き、カリフォルニア州北部の主要な水源であるシエラ・ネバダ山脈周辺の1月の降雪量は、すでに例年の1年分とも言われ、1995年以降で最大の積雪量を記録しています。このため、これらの地域の牧草主産地で過去5年にも及んだ水不足の懸念は和らいでいます。

 南部インペリアルバレーでは、17年産向けの準備が進んでおり、一部の圃場では掃除刈りが始まっているようです。天候にもよりますが3月中には相場の一端が見えてくると思われます。産地相場に大きな影響を与える米国内の需要ですが、徐々に回復を見せる乳価を背景に需要は強まる見方と、引き続き低調との見方に分かれており、今後の動向に注目したいところです。
 一方、輸出向けについては、乳製品需要が高まっている中国からの需要は引き続き堅調で、高成分のアルファルファの引き合いがさらに強まることが予想されています。

 16年産の在庫については、西海岸各産地における高成分の上級品は限定的で、中級品から低級品在庫に対する引き合いも引き続き堅調です。2016年産は産地相場が前年に比べ軟調だったことから、アルファルファから他の作物に圃場を切り替える生産農家も出てきているようです。このため、2017年産の作付面積は総じて減少すると予想されています。
米国産チモシー  現地在庫はほぼ完売となっています。米国産ストローと同様に、韓国が自給粗飼料の不作により積極的に購入したため、12月末には低級品も含めた在庫がほぼ一掃されました。追加の買付は難しく、今後は契約済みの在庫を繋いでいくことになりそうです。産地価格は引き続き強含みで推移しています。
 主産地ワシントン州の17年産の作付面積は、横ばいからやや増加を予想しています。すでに16年産はほぼ完売の状況ですので、17年産の作柄・生産量次第では、 さらなる産地相場の上昇の可能性もあります。
カナダ産チモシー  米国産同様、日本や韓国向けの輸出が堅調なことに加え、カナダ国内での乳牛肉牛向けの需要も安定しており、どのグレードも完売となっているところが多くなっています。中部クレモナ地域ではここ3年の不作により、16年産の作付面積はやや減少しましたが、国内外の堅調な需要を受け、17年産の作付面積はやや回復すると思われます。レスブリッジ地区も16年産の在庫はほぼ完売の状況で、こちらも17年産の作付面積はやや増加する見込みです。
スーダングラス  2016年の輸入量は4年連続の減少で約250,000トン(前年比約1割減)となりました。16年産の産地相場は15年産に比べるとやや軟化しましたが、繰り越し在庫は少なく、16年産の生産量も減少したことから供給過多にはならず、全体の需給バランスは比較的均衡が取れている状況です。17年産については、デュラム小麦の相場も芳しくないため、スーダンの作付はやや上向くとの見方が強まっています。しかしながら、16年産の後半は産地相場の失望した生産農家が2番刈の生産を減らした傾向にあったことから、17年産のスタート価格は強含みでスタートする可能性があります。
クレイングラス (クレインは全酪連の登録商標です)
 2016年の輸入量は2年連続の減少で約66,000トン(前年比約6%減)となっています。15年産から16年産にかけて、生産農家が満足する相場ではなかったため、16年産期中から作付面積は減少しています。
 韓国向けの出荷は引き続き活発で、2016年の年間輸出量は日本向け並みかそれ以上になる見込みです。他のイネ科牧草に不足感があることから、今後の需要も堅調に推移するものと思われます。

   
     輸入通関統計2016年(1−12月)まで 単位:トン
ストロー類 (フェスキュー・ライグラス)
 主産地であるウィラメットバレーでは、品薄の状態が続き年末年始にかけて産地相場大幅に上昇しました。韓国の国内産稲ワラの不足は深刻で、年明け以降も強い引き合いが続いています。強烈な引き合いと過去2年の相場低迷の影響もあり、生産農家の各サプライヤーへの態度は強気で、一部では、意図的な価格の吊り上げや売りおしみが横行しています。このため、一部サプライヤーでは契約した数量を確保できず、期近の船積みができないケースが散見され、日本国内の品薄感が増しています。
豪州産オーツヘイ <西豪州>
 輸出向け需要は引き続き旺盛で、各工場フル稼働が続いています。上級品は全体のおよそ30%程度ですが、南豪州・東豪州の上級品の不足感からその需要が集中していると思われます。今年の収穫はストローも含め全て終了しており、現在はストローの集荷が進んでいます。しかしながら1月末に激しい降雨があり、倉庫搬入前のストローが降雨被害にあっている可能性があり、輸出向け品質の生産量は当初の予想よりも大幅に減少しているようです。

<南豪州>
 今年の収穫は終了しました。既報通り、当地域のオーツヘイの良品の発生は少なく、全体の15%前後と言われています。ストロー類についても収穫期の降雨により被害が生じています。収穫の進捗も未だ50%程度で、雨あたりや倒伏が多く発生しているようで、厳しい作柄になりそうです。
 また、現地1月27日の夜、南豪州大手サプライヤーのバルコ社ボウマンズ工場で火災が発生しました。牧草類の被害は小さかったものの、プレスマシンが消失したため、今後は他社へ製造委託することになりそうです。

   
     豪州気象庁データ:2016年11月−2017年1月の3か月間の降雨量

 2016年の豪州から世界各地へのアルファルファを除く乾牧草の輸出量は1〜12月で850,000トンを超え、過去5年で最大となりました。日本向けは398,000トンで前年比98%と微減していますが、中国は202,000トンと前年比137%と大幅に伸長しています。
 北米同様、今後豪州の市場においても中国の存在感は増していくものと思われます。

   
     豪州産牧草 輸出量推移(2016年1−12月)単位:トン

   
     豪州産牧草 年別輸出量推移(2011年−2016年)単位:トン