輸入粗飼料情勢 (令和元年10月7日発表)

<購買生産指導部 購買推進課>

北米コンテナ船情勢  前月号でも記載したとおり、2020年1月から重油に含まれる硫黄に関する環境規制が始まります。このため、各船社は10月以降Low Sulphur Compliance Charge(LSFCC)を導入し、規制への対応に伴うコスト増加見込み分を海上運賃に付加する動きを見せています。
 また、米中貿易摩擦により中国が米国産アルファルファにかけていた25%の追加関税が一定期間免除されることが決まりました。このため、中国からの需要が米国に回帰し各サプライヤーの出荷スケジュールも埋まり、北米を出港する本船も混雑することが予想されています。今後、年末・年始向けの貨物が増加するなかで日本向けのスケジュールが遅延・混乱する可能性もあり注意が必要です。
ビートパルプ <米国産>
 ミシガン州では、天候不順により生育が阻害され、収穫が3週間ほど遅れています。干ばつによりビート大根そのものの砂糖含有量は増加しているものの、春先の冷涼多雨な気候の後、長期に渡る水不足により単収は過去5年平均単収対比で10%弱の減少見込みとなっています。 
 ミネソタ州及びノースダコタ州の北部では、ここ数週間で土壌水分は改善されており、単収見込みは過去5年平均並みになると見込んでいます。また収穫面積は昨年比微増となりそうです。  
 ノースダコタ州中部では、砂糖大根の生育鈍化、病気や根腐れ病への懸念等が収穫上の課題となっており、単収は当初見込みより下方修正される可能性もあります。作付面積は昨年対比10%程度の増加見込みとなっています。  
 ミネソタ州中南部でも生育環境は徐々に回復しています。収穫は例年のほぼ1か月遅れの9月半ばより開始されています。収穫面積は昨年対比やや減少の見込みとなっています。  
 産地価格は世界的なビートパルプの需要増、堅調な他穀物相場の影響を受け、昨年同時期に比べ高値で取引されています。
アルファルファ ワシントン州
  主産地コロンビアベースンでは、現在4番刈が進行中です。9月上旬から断続的に降雨や雷雨などの天候不順が続いていたため、一部圃場では天候の回復を待って収穫作業に入っています。また当地では9月以降、気温が低下してきており、直近では最高気温は15℃程度、最低気温が4℃前後になっています。このため圃場で乾燥させる日数が通常よりも長くなり、変色(ブリーチ)が発生するなど仕上がり・見た目への影響が懸念されています。
 また前述のとおり、中国が米国産アルファルファにかけていた25%の追加関税を一定期間(2019年9月17日から2020年9月16日まで)免除することになりました。追加関税の免除期間中は従来の課税分7%のみが適用される予定です。 
  この動きを受け、米国側のアルファルファ生産農家は需要の回帰による高値を期待し在庫を抱え始めています。予想される中国からの需要増と生産農家の強気の姿勢から、今後さらに産地価格が上昇する可能性が高まっています。  
  オレゴン州
 南部クラマスフォールズでは、3番刈の収穫を終えており一部の圃場では4番刈が始まっています。ワシントン州と同様に、9月に入り気温が下がり始め、現在では最低気温が氷点下を下回る日もあります。9月下旬には天候不良の予報が出ていたものの、3番刈の品質は例年並みにまとまっているようです。
 産地価格は引き続き堅調に推移しています。米国内の乳価が徐々に回復していること、旧穀からの余剰在庫が少ないうえ西海岸全域で上級品の生産が限定的なことから、米国内の需要が強い状況です。低級品についても、米国内の肥育向けや中東、中国向け需要が引き続き旺盛なことから予想よりも高値で取引されています。  
 中部クリスマスバレーでは、3番刈の収穫は終盤を迎えています。クラマスフォールズと同様、収穫期間中の大きな降雨被害は報告されておらず品質は例年並みと言われています。産地相場は、他産地と同様に国内外からの需要が高く、引き続き高値で取引されています。
   カリフォルニア州
 南部インペリアルバレーでは、6番刈が終盤を迎えており、現在7番刈が進行中です。産地の気温は徐々に低下してきており、それに伴い成分も回復してきています。 夏場に収穫されたアルファルファは輸出向けとしては好まれない品質が多かったため、米国内肥育牛向けや一部酪農家向け中心の需要となっていますが、今後、冷涼な気候が続き、高成分品が発生すれば、中国を中心とした輸出向け需要が強まると予想されています。
米国産
チモシー
 主産地コロンビアベースン及びエレンズバーグでは2番刈を終了しています。2番刈は早刈りした圃場では降雨を避けられましたが、それ以外の多くは何らかの降雨の影響を受けているようで中級品から低級品が中心になっています。産地相場は昨年対比でやや軟化していますが、収穫期の降雨の影響もあり上級品は限定的で、多くは中級品になっています。 
カナダ産
チモシー
 アルバータ州南部レスブリッジ地区では現在2番刈の収穫作業が終盤を迎えています。同州中部クレモナ地区では、7月下旬より始まった1番刈の収穫作業がほぼ終了しています。
 南部レスブリッジ地区の1番刈は、収穫期の天候に恵まれたことから、上級品の発生が中心となっています。中部クレモナ地区では、8月中旬以降断続的に降雨があり、上級品の発生は限定的で、中~低級品の発生が中心となっております。
 産地相場については、US産チモシー相場の軟化に加え、カナダ国内の自給粗飼料の状況も改善されたことから収穫期前半まで軟化傾向にはありましたが、上級品の発生が期待よりも少なく、需給にやや逼迫感が出てきていることから上級品と生産量の多い中~低級品との価格差は昨年よりも開きつつあるようです。産地ではまだ各サプライヤーが原料草の買付を進めている段階であることから、産地相場の動向については引き続き注意を払っていく必要があります。
  
スーダングラス  19年産の輸出向けスーダングラスの生産はほぼ終了しています。9月15日時点の作付面積は前年同期比81%の約10,000エーカーとなっています。現時点で収穫されていないものについては、主に米国内の肥育牛向けに利用されます。19年産スーダンの総生産量は作付面積の減少に比例して旧穀よりも減少する見込みです。  
 産地相場については、チモシー相場の軟化を受けて、スーダン相場全体の傾向としては旧穀に比べやや弱含みで推移していますが、発生量の限られる色抜け品の細茎・上級品および産地周辺で増加する肥育向けから旺盛な需要がある低級品スーダンは旧穀並、もしくはやや強含みに推移しています。



              インペリアルバレー スーダングラス作付面積推移 9月15日時点(単位:エーカー)
クレイングラス (クレインは全酪連の登録商標です)
 インペリアルバレーでは4番刈の収穫作業が終了し、5番刈が進行中です。9月15日時点の作付面積は前年同期比113%となっており、好調な産地相場を背景に、来シーズンに向け作付面積が増加しています。産地の気温は徐々に低下しており、湿気も例年ほど高くなかったことから、9月中旬までは順調な生産が続いていました。  
  しかしながら、9月25~26日にかけて産地では大雨に見舞われ、ベーリング前の予乾中だった圃場では雨当たりの被害が出ているようです。
 日本および韓国からの需要は旺盛な状況が続いており、産地相場については大きな変動なく堅調なまま推移しています。


             インペリアルバレー クレイングラス作付面積推移 9月15日時点(単位:エーカー)
ストロー類 (フェスキュー・ライグラス) 
 主産地ウィラメットバレーでは、既報のとおり、アニュアルライグラスストロー及びフェスクストローの収穫中に度々降雨に見舞われ、地域によってばらつきはありますが、多くの圃場で雨当たりが発生しているようです。良品の発生は限定的になる見込みから産地価格は上昇傾向にあります。ペレニアルライグラスは作付面積の減少と天候不良により生産量が減少する見込みで、産地相場は輸出向け需要次第ではあるものの今後上昇していくと予想されています。 
豪州産
オーツヘイ 
 2019年産オーツヘイの生育が進んでいますが、当初見込みよりも全体的に収穫に遅れがでてきています。

<西豪州>
 西豪州では北部を皮切りに9月下旬から収穫が始まっています。
 9月の降水量は過去の平均降水量の30%以下と非常に少ない状況です。特に産地の内陸部では降水量不足の影響は大きく、収穫に十分なレベルまで生育が進まず、収穫をあきらめ放牧用に使用する生産農家もでてきています。生育期終盤での降雨不足により収穫量の予想は当初を下回り、現時点では例年の7割程度になる見込みです。
 西豪州の他の地域については今のところ例年並みの収量となる見込みです。


<南豪州>
 一部地域では、9月の観測史上最も少ない降水量を記録しました。このため、特に早播きした圃場の収量は少なく、3-4トン/ha程度になると予想されています。一方、遅播きした圃場では播種直後に降雨がなく初期生育が遅れ丈も伸びておらず、こちらも収量は期待できない状況です。多くの生産農家は10月上旬から収穫を開始する予定です。


<東豪州>
 東豪州では早播きの圃場については例年以上、遅播きの圃場については例年より若干低い収穫量になる傾向と見込まれています。新穀の収穫を始めている生産農家はまだ一部で、ほとんどの生産農家は10月中旬頃から収穫を始める予定です。今年の東豪州の生産量は例年の8-9割程度と見込まれています。

 各産地とも旧穀の繰り越し在庫が少なく10月後半から11月にかけて、すでに各サプライヤーに新穀のオーダーが殺到している状況です。加えて新穀の収穫が予定より少し遅れが出始めていることから、新穀のスタート当初の生産及び出荷が逼迫する する可能性があります。
 豪州国内では畜産農家の乾牧草在庫は少ないものの東豪州では例年に近い単収を期待できる状況から、国内からの引き合いは昨年に比べ弱まるものと予想されています。
 日本国内の状況としては、北米産イネ科牧草の価格軟化の影響により、オーツヘイの輸入量は減少傾向にあります。
 収穫直前までの生育状況から、豪州全体では旱魃の影響を受けた昨年よりもオーツヘイの生産量は増えることが期待できること、また、豪州国内の需要も先々弱まってくると予想されることから、今後収穫期の天候に恵まれれば新穀価格は旧穀に比べ軟化する可能性もあります。


          2019年1月~8月 豪州産オーツヘイ輸出先別数量(単位:トン)


                                 
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