輸入粗飼料情勢 (平成29年7月7日発表)

<購買部 購買推進課>


北米コンテナ船情勢  ごく一部の船社から8月のGRI(海上運賃一斉値上げ)の通知が出ていますが、多くの船社では、年明けから今春のようなGRIの動きはありません。しかしながら、北米からの農産物の輸出が増える秋口に向け、海上運賃のさらなる修復の動きが出る可能性はあると考えられます。
 空コンテナの状況については、供給量が不安定になりやすいPNW(シアトル/タコマ港、ポートランド港)においても、今のところは一時的な不足に止まり、慢性的な不足にまで陥ってはいないようです。
ビートパルプ <米国産>
 新穀の作付は5月中旬で終了しています。作付後の生育状況は地域によってばらつきはありますが、総じて過去5年の平均程度の水準で推移しています。一方、作付面積は昨年比で34,000エーカー減少しています。
 主産地のミシガン州では作付面積は5%程度減少しています。春先の天候が不安定だったことから、作付が大幅に遅れ、再播種を余儀なくされた畑も多かったようですが、播種後の天候は良好で順調な生育を見せています。ミネソタ州およびノースダコタ州でも作付面積は減少しています。両州の北部では不安定な天候により作付が遅れ、さらに一部地域では6月初旬に雹が降りましたが、その後は適度な降雨もあり、徐々に例年の生育状況に回復しつつあります。

<中国情勢>
 米国産の輸入解禁後においても、減産の影響で米国からの輸出余力が少なく、極めて限定的な荷動きに留まっていましたが、新穀への引き合いは既に強まっています。このため、作柄が例年並みであれば、新穀年度における中国向けの荷動きは一気に活発化してくることが予想されます。中国の買付や出荷が進んだ場合、米国産全体の輸出余力や出荷スケジュール、価格などへの影響は避けられないため、その動向には引き続き注意が必要と言えます。
アルファルファ ワシントン州
 主産地コロンビアベースンでは1番刈の収穫が終了し、南部の一部圃場では2番刈の収穫が始まっています。
 1番刈は、多くの生産農家が収穫開始時に天候の回復を待って作業を開始したため、収穫期前半は降雨被害が少なく進捗しました。その後、5月末の降雨以降、3〜4日毎に降雨があったため、全体としては例年並みの50〜60%程度の雨あたりが発生しています。多くのサプライヤーは降雨被害が70〜80%に及んだ昨年、一昨年に比べると、今年の作況は良好と評価しています。
 1番刈の品質は、厳冬および冷涼な春季を経て緩やかに成長してきたことから、当初は茎太のものが多く発生することが期待されました。しかしながら、生育後期の気温が上がり切らず生育そのものが低調なものになったため、全体的に茎はやや細めのものが多く発生し、単収は総じて昨年よりも減少しました。品質面では収穫された時期によって、バラつきが見られました。天候の影響を受けず適期に収穫されたものは、葉量が多く、成分は高い傾向にありましたが、夜露の当たり方が不十分で強風の影響を受けたものは、葉離れや葉崩れが見られ、降雨を避けて刈り取られたものは刈遅れ気味のものも発生しています。
 産地価格については、カリフォルニア州南部の相場上昇および米国内酪農家が積極的に高成分の上級品の買付を進めている影響で、特に上級品において、昨年よりも強含みで取引が行われています。

    
     (左 : アルファルファ1番刈り3タイ   /   右 : コロンビアベースン 2番刈圃場)

オレゴン州
 南部クラマスフォールズでは気温が上がらず天候も不安定な期間が続きました。このため、収穫作業は昨年よりも2週間程遅れて6月中旬から始まりました。収穫期に入っても不安定な天候が続き、一部の地域では60−70%前後の圃場で降雨被害が発生しているようです。
 中部クリスマスバレーもクラマスフォールズ同様、6月中旬より収穫作業が開始されました。当地では雨あたりの被害は少なく、収穫は比較的順調に進捗しています。産地相場は国内酪農家に牽引され、他産地と同様に上昇している模様です。

   
     クラマスフォールズ2番刈圃場(7月初旬撮影)

ユタ州
 1番刈の収穫は5月下旬から始まり、6月中旬に終了しております。当地域は収穫期の天候に恵まれ、降雨被害の発生もなく順調に収穫が進捗しました。産地相場については、他産地と同様に上級品については米国内酪農家からの引き合いが強く、昨年よりも強含みで新穀の取引が開始されており、既に1番刈りは国内向けで完売になったサプライヤーも出てきています。

カリフォルニア州
 南部インペリアルバレーの早い圃場では4番刈の収穫が始まっています。当地ではすでに日中の最高気温が100F(約38℃) を超えており、いわゆるサマーヘイの発生が中心となってきています。現在、これら低級品の米国内酪農家からの引き合いはそれほど強くはないものの、乾乳牛向けや肥育向けとして堅調な需要があることから、産地相場は昨年に比べ強含みで推移しています。多くのサプライヤーは低級品中心のサマーヘイが多く発生する時期を迎えても、産地相場は下がらず推移すると予想しています。
 北部カリフォルニアについては現在3番刈の収穫が始まっています。作付面積は、引き続き高値で取引が続くナッツ類への転作が進んでいるため減少しています。一方で、今年は冬期の降雨や降雪が多かったことから農業用水は豊富であり、6番刈まで収穫できる見込みです。このため、この地域の全体の生産量は大きく変わらないと考えられています。昨年は1番刈のほとんどで降雨被害を受けましたが、今年も50%程度降雨被害が発生しています。2番刈については概ね良品が生産されているようですが、当地域周辺は大型酪農家が多く、これらの需要は堅調なため産地相場は他産地と同様に、上昇している状況です。
米国産チモシー  ワシントン州コロンビアベースンでは、6月上旬頃から刈り取りが開始されると見込まれていましたが、断続的な降雨に見舞われ、収穫のスケジュールが遅れました。5月末に刈り取りを開始した一部の圃場では、降雨の被害なく良品が収穫されましたが、これら良品に各サプライヤーの買い付けが集中し、産地相場は想定よりも大きく上昇しています。その後、刈り取りは本格化していますが、散発的な降雨も記録されており、全体の作柄傾向が定まっていない状況です。
 エレンズバーグ周辺では天候に恵まれ、予想よりやや早く刈り取りがスタートし、現在のところ大きな降雨被害もなく順調に収穫が進んでいる模様です。 産地相場については、特に上級品が高騰していますが、作柄の全容が見えていないため全体の傾向を把握するにはしばらく時間が掛かりそうです。
カナダ産チモシー  アルバータ州レスブリッジ周辺では、6月下旬から刈り取りが始まり、スタート当初に一部で雨あたりが発生した以降は、晴天が続き、現在概ね80%がベーリングまで終了しています。作柄は良好で、収穫されたものの多くは上級品に仕上がっているようです。一方、産地価格は他産地と同様、昨年に比べ上昇しています。新穀の船積みは7月中旬以降から随時始まる見込みです。
 アルバータ州中部クレモナ地区でも生育は順調なようです。早い圃場では7月初旬から刈り取りを開始する見込みとなっています。
スーダングラス  インペリアルバレーにおけるスーダングラスの作付面積報告によると、7月1日現在の作付けは約43,000エーカーと昨年同期比123%となっています。刈り取りは順調に進んでおり、6月末時点で早播きのスーダンは約80%が終了、小麦の収穫後に作付された圃場においても、刈り取りが開始されました。収穫の進捗が順調なうえ、産地相場も生産農家とっては魅力的なものに回復してきていることから、多くの圃場が2番刈まで収穫すると予想されています。
 産地では16年産の繰り越し在庫はほとんどないため、新穀が発生次第、良品を早めに買い付け出荷するサプライヤーが多くなっています。このため、買付競争も激化しており、相場は昨年に比べ大きく上昇している状況です。
 品質については、総じて安定していますが6月に高温の時期があったため、この時期に収穫されたものは、例年よりも茶葉の混入が多い傾向にあります。また、例年よりも湿度が上昇する時期が早まっており、今後発生してくる品質への影響が懸念されます。 北カリフォルニアでも早い圃場では収穫が始まるなど、今年の収穫進捗は総じて順調に推移しています。


     インペリアルバレー スーダングラス作付面積(2017年6月15日時点)
クレイングラス (クレインは全酪連の登録商標です)
 17年産は6月末時点で2番刈まで終了しています。全体の収穫進捗は例年よりやや早めで、一部の圃場では3番刈の収穫を開始しているところもあります。今のところ天候にも恵まれており、品質面では大きな問題はないようです。今後、湿度が上昇してくることから、品質への影響に注視が必要と言えます。
 作付面積は減少しており、6月15日に発表された作付面積は12,901エーカーと前年比85%となっています。このため、2番刈以降においても産地相場は軟化の兆しはなく、他の草種と同様、昨年に比べ高値で取引が進んでいます。自給飼料不足の韓国からの需要は引き続き旺盛で、韓国向けの出荷数量が多いサプライヤーは積極的に買付けており、産地相場に大きな影響を与えている状況です。



インペリアルバレー クレイングラス作付面積(2017年6月15日時点)
ストロー類 (フェスキュー・ライグラス)
 6月末頃からアニュアルライグラスやオーチャードグラスの収穫が始まっています。今後ペレニアルライグラス、その後にフェスキューの収穫が始まりますが、例年に比べて1-2週間遅いスケジュールとなっています。
 現地価格は16年産の不足による高騰の流れのままで推移する見込みです。今後は高騰した価格に基づいた需給バランスの動向が注目されます。
豪州産オーツヘイ  現在ほぼ全域で新穀の播種が終了していますが、西豪州の降雨不足が深刻化し始めています。特に西豪州北部、中部ではそれが顕著な状況です。例年では播種後、6月末頃には10〜15cmの草丈になりますが、今年は2cm程度までしか生育していません。サプライヤーによっては早くも新穀が不足を懸念し、繰り越し在庫を持つ動きを見せているところもあります。このため、生産農家が抱えている在庫は徐々に価格も上昇し、特に上級品については強含みとなってきています。

   
     6月下旬撮影 西豪州中部の圃場


     豪州気象庁データより引用 2017年4月から6月の降雨量(過去平均との比較)