輸入粗飼料情勢 (平成29年9月8日発表)

<購買部 購買推進課>


北米コンテナ船情勢  海運各社は10~12月の需要期を迎えるにあたり、海上運賃の修復に向け動いています。足並みは揃っていませんが、10月から北米発アジア向けの貨物に対し、GRI(海上運賃一斉値上げ)の実施を通知して来ているところもあります。日本からの輸出についても、10月からGRIを実施する船社もあり、海運各社の収支回復への動きが見え始めています。
ビートパルプ <米国産>
 日本向けの主力産地であるミネソタ州とノースダコタ州では、8月17日以降順次ニュークロップの製糖作業が開始されました。来春まで24時間体制での操業が続くこととなります。
 今クロップは春先の作付けはやや遅れ気味で5月中旬に終了、その後の生育期は乾燥傾向にありましたが、収穫前の7月下旬から8月上旬にかけて適度な降雨があり、総じて良好な作柄だったと言えます。
 作付面積は前年比で減少し、産地や地域によっては単収の増減はありますが、全体としては昨年並みの収量を確保できるものと予想されています。 また、旧穀は期首予想を10%以上下回る減産となった影響もあり、米国産の供給余力は低下しています。そのため、米国内及び日本を始めとする米国産輸入量が多い地域では需給がひっ迫し始めており、その影響で新穀の価格も上昇しています。
アルファルファ ワシントン州
 主産地コロンビアベースンでは、3番刈の収穫が終盤を迎えており、一部の圃場では4番刈の収穫が始まっています。3番刈の品質は、序盤で収穫されたものについては天候にも恵まれ、緑目の強い良品が多く生産されているようです。一方、8月中旬以降はワシントン州北部で発生した山火事による煙の影響で、圃場での予乾(ウインドロー)の時間が長くなり、色が抜け変色したもの(ブリーチ)が多く発生しているようです。
 産地価格については、今冬に低グレード品を肥育農家向けに多く供給したため、繰り越し在庫がなく、さらには米国内酪農家が積極的に高成分の上級品の買付を進めていることから、全てのグレードにおいて、昨年よりも強含みで取引が続いています。

オレゴン州
  南部クラマスフォールズでは2番刈の収穫が終盤を迎えており、一部の圃場では3番刈の収穫が始まっています。1番刈は、その大半が降雨被害を受けたもの、もしくは降雨を避けて収穫された刈遅れ品となっており、例年のような良品は非常に限定的となっています。2番刈については、1番刈の収穫の遅れを取り戻すために早刈りされた圃場では、降雨被害を受けることなく良品が多く発生しているようです。一方、1番刈の収穫遅れのまま、通常のペースで2番刈を迎えた圃場では収穫期に一部で降雨被害があったようです。
 今年は昨年とは異なり、春先の冷涼な気候と収穫期の悪天候による収穫作業の遅れにより、4番刈まで収穫可能な生産農家は例年並みで、全体の30~40%程度に留まる見込みです。
 中部クリスマスバレーでは2番刈が終了し、9月上旬から3番刈の収穫が始まる見込みです。2番刈の品質は収穫期の天候に恵まれたことから、例年並みの良品が発生しているようです。
 価格については、両産地とも米国内の酪農家および他国向けも含めた輸出業者からの需要が旺盛なため、1番刈同様に引き続き昨年比よりも高値で堅調に推移しています。

 
 (左 : クラマス産2番刈アルファルファ  /  右 : クリスマス産2番刈アルファルファ)

ネバダ州
 17年産のネバダ産1番刈は全体の50%以上が降雨被害を受ける厳しい作柄となりましたが、一部では良品が発生しているようです。2番刈は収穫期に高温となったことから中級品の発生が中心となりました。現在、3番刈の収穫が終了していますが、例年並みの品質のものが収穫されたようです。当地は米国最大の酪農州であるカリフォルニア州に隣接していることから米国内酪農家からの需要は特に堅調であり、また、輸出業者の需要も旺盛で、他産地と同様に価格は強含んだまま堅調に推移しています。

 
          (ネバダ産1番刈アルファルファプレミアム品  8月上旬撮影)

カリフォルニア州
 南部インペリアルバレーでは圃場では5番刈の収穫が終盤を迎えており、一部の圃場では6番刈の収穫が始まっています。当地では8月に入ってからも連日、日中の最高気温は100F(約38℃) を超えており、低成分のいわゆるサマーへイ発生が中心となっています。このような低級品の発生が中心ではありますが、産地価格は、引き続き堅調に推移しており、昨年の同時期に比べても20ドルから30ドル高値で取引が進んでいるようです。
米国産チモシー  ワシントン州では2番刈の収穫が順調に進捗しています。8月末時点で、コロンビアベースンで50%、キティタスバレーで20%のベーリングが終了しており、品質に関しては、今のところ良好なようです。産地相場は馬向けについては、全般的に不足していることから強含んで推移しています。酪農向けについても、低級品の発生量が限定的なこと、自給粗飼料が不足している韓国からの需要が引き続き旺盛なことから産地価格は上昇しています。
カナダ産チモシー  アルバータ州南部レスブリッジ地区では1番刈が終了しました。収穫された多くは上級品で、中級品以下の発生量が限定的となっています。収穫期の天候に恵まれたことに加え、収穫時期に風が強く乾燥した日が多かったことから、収穫に要する期間が例年より1~2週間短くなったことで、良品が多く発生しているようです。また、当地では16年産の繰り越し在庫はなく、すでに新穀の出荷が始まっています。
 中部クレモナ地区も7月下旬より収穫が始まっています。収穫の序盤はレスブリッジ地区と同様に天候に恵まれていましたが、8月中旬頃から天候が崩れる日もあり、雨あたり品の発生もあるようです。
 価格については、中国、韓国および米国の馬向け需要は引き続き堅調のため、産地相場は強含みで推移しています。特に、発生量が限定的な中級品の値上がり幅は、他のグレードより大きくなってきています。
スーダングラス  インペリアルバレーにおけるスーダングラスの作付面積は、8月15日現在で約29,357エーカーと昨年同期比184%となっています。これは、昨年に比べて今年の相場が生産農家にとって、良好だったため2番刈まで収穫する圃場が増えたことが要因と言えます。8月は湿気が高く、色抜け品(ライトカラー品)も発生していますが、湿気による茶葉の混入も増えています。色抜けの上級品については、その発生は限られており、他のグレードに比べて価格の上昇の幅は、非常に大きくなっています。
 北カリフォルニアでは収穫が始まっています。近年の水不足も解消されており、産作付面積は若干増えているようですが、収穫は9月中には終わる見込みです。産地価格はエルセントロ産と同様、やや強含みで推移すると予想されています。

 
左 : 北カリフォルニア産スーダン(8月中旬撮影)  /  右 : エルセントロ産スーダン色抜け品(8月中旬撮影)



     インペリアルバレー スーダングラス作付面積(2017年8月15日時点)
クレイングラス (クレインは全酪連の登録商標です)
 8月上旬から4番刈が本格化しています。今年は作付面積が大幅に減少しスタートしましたが、7月以降、急激に作付面積は回復しています。8月15日に発表された作付面積は14,875エーカーで、前年比106%、前月比プラス620エーカーと引き続き増加しています。生産量は回復していく可能性が高くなっていますが、産地価格は、日本および韓国からの堅調な引き合いにより、引き続き強含みで推移しています。



     インペリアルバレー クレイングラス作付面積(2017年8月15日時点)
ストロー類 (フェスキュー・ライグラス)
 主産地オレゴン州ウィラメットバレーではペレニアルライグラス、フェスキューともに収穫がほぼ終了しました。今年は品質面では特段問題がないといわれていますが、作付面積が減少しているため、旧穀の価格高騰の流れのまま、産地相場は堅調に推移していくと思われます。
豪州産オーツヘイ  西豪州では7月末まで降雨不足による単収減が懸念されていましたが、7月下旬から8月上旬にかけて十分な降雨があり、生育状況は回復し始めています。このため、一転して生産量の懸念が緩み、旧穀の一部を保管していた生産農家から各サプライヤーへ在庫が売り込まれており、中級品以下の価格が軟化し始めているようです。一方で、需要が堅調な上級品の価格に動きは見られません。


     豪州気象庁データ 6月-8月の降雨量(過去との平均雨量との比較)

 豪州からの輸出は6月まで依然として月間90,000トンを超える量が輸出されています。特に中国向け輸出は今年5月に30,000トン弱と過去最高の輸出量となりました。中国向けの主力である中級品以下の価格が軟化した場合、今冬の新穀まではこの状況が続いていくと思われます。


     2016年7月から2017年6月までの豪州産牧草輸出数量推移