輸入粗飼料情勢 (平成30年10月9日発表)

<購買生産指導部 購買推進課>

北米コンテナ船情勢  ロサンゼルス/ロングビーチ港におけるピアパス制度は、現在、港周辺の混雑を緩和するため日中のみ港への搬出入時に課金される仕組みですが、新制度では終日適用されることになります。新制度の導入は当初予定から延期され10月1日施行の見込みでしたが、さらに延期されることになっています。新制度の開始時期は今のところ未定ですが、施行された際は輸出業者のコストアップは不可避と見られ、品代に転嫁されると思われます。
 米国西海岸では多くの農作物が収穫期を迎え、西海岸各港からの農産物の輸出が増加しています。また、11月以降は米国の大型連休が控えているため、輸出向け本船の船腹は早い段階から埋まり始めています。  
北海道胆振東部地震・台風21号神戸港高潮被害の影響   北海道胆振東部地震の影響で、苫小牧港では一時的な停電、断水および液状化現象により短期間ではありますが港湾施設が閉鎖となりました。この影響で、フィーダー船が苫小牧港に着岸できず入船スケジュールは一時混乱しました。現在は寄港できる状況となっていますが、本船は度々遅延しています。
 神戸港では、関西地方を襲った台風21号の高潮被害により、未だに一部のターミナルでは本船が着岸できず、復旧は完了していません。現在は神戸港内の他のターミナルを代替として順次着岸していますが、代替ターミナルの許容量を超えているため、植物検疫が間に合わず通関作業が遅れるケースが散見されます。
 台風21号襲来前に、コンテナヤードに蔵置していた多くのコンテナでは、高潮や強風によりコンテナ内への海水の浸水被害が確認されています。浸水した海水を吸い込んだことで搬出可能な総重量を超えたコンテナも出ています。このように、港で在庫していたコンテナに大量のダメージが発生したうえ、台風後の入船や通関も不安定なことから神戸港全体で品薄感が広がっています。現在、不足分については名古屋及び博多からの陸送で賄っている状況です。  
ビートパルプ <米国産>
 新穀の収穫はミネソタ州及びノースダコタ州を皮切りに8月中旬からスタートしています。今のところ、各地の収穫は順調に進んでいる模様です。収穫が予定される面積は前年比19,000エーカーほど減少する見込みですが、一部の地域を除き、単収、糖度ともに非常に高く、全体としては良好なスタートを切っています。
 新穀の需要は堅調で、特にヨーロッパから旺盛な引き合いが来ています。ヨーロッパの旱魃によるビートを含む飼料や牧草の減産がビートパルプの相場を支える構図となっています。後述の中国の情勢を除いても世界的な需要は堅調なため、新穀の価格は旧穀と比べ大幅に上昇しました。
   <中国>
 米中貿易戦争の影響でビートパルプも関税付加の対象となっています。このため、米国産の中国向け輸出に関する商談は進んでいない模様です。
アルファルファ ワシントン州
 主産地コロンビアベースンでは3番刈の収穫作業が終了し、4番刈の収穫も終盤を迎えています。3番刈は収穫期間を通して、7月下旬以降ワシントン州や周辺地域で発生した山火事の煙の影響を受けました。その結果、圃場での乾燥期間が長引き、全体的に変色(ブリーチ混じり)が多く、鮮やかな色目のものは少なくなっています。
 産地相場については、米中貿易摩擦の影響による中国向けアルファルファの輸出量の鈍化および山火事の影響による品質低下により、上級品以外はやや軟化傾向にあります。
 
   オレゴン州
 南部クラマスフォールズでは3番刈の収穫が終了し、4番刈も例年並みのスケジュールで進捗しています。3番刈は、2番刈に続いて収穫期の天候に恵まれたことから特に品質面での問題なく、良品が多く発生しているようです。産地相場については、米国内酪農家や馬向けの需要が引き続き強く、昨年の同時期よりも高値で推移しています。 中部クリスマスバレーでは3番刈の生産は終了しています。当地の3番刈も収穫期に大きな問題は発生しておらず、品質は例年並みのようです。産地相場については、米国内酪農家および韓国からの引き合いが強く、引き続き高値のまま推移しています。
   カリフォルニア州
 南部インペリアルバレーでは主に7番刈の収穫が進行中です。産地の気温が徐々に穏やかになって来ていることから成分は回復傾向にあります。
 中国からの需要は米中貿易摩擦の影響で鈍化しています。米国農務省のアルファルファ乾草の輸出統計では、7月の中国向けアルファルファ乾草の輸出量は前年同月比85%となっており、需要が減退していることが伺えます。しかしながら、サウジアラビアからの需要は引き続き旺盛であり、米国内酪農家からも定期的な買付は続いているため、産地相場は堅調に推移しています。  
米国産
チモシー
 主産地コロンビアベースンおよびエレンズバーグでは2番刈の収穫は終了しています。一部の圃場では3番刈の収穫も行われており、ごくわずかではありますが輸出向けに使用されるようです。2番刈の品質については、収穫初期に産地周辺で発生した山火事による煙の影響で、茶葉の混入割合が目立つものが多く、煙が引くのを待って収穫した圃場では、刈り遅れ傾向になっています。上級品の発生は限定的で、中~低級品が中心となっています。 産地相場は、発生量が少なく輸出向け需要が強い上級品は昨年と同等レベルの高値で推移しています。一方、発生量が多い中~低級品の相場は新穀のスタート当初に比べて大きな変化はありません。
カナダ産
チモシー
 南部レスブリッジ地区では、2番刈の収穫までほぼ終了しています。1番刈の品質面は、収穫期の天候に恵まれたことから、上級品の発生が半数以上を占めています。単収については例年並みで、生産量全体は例年並みと見込まれます。品質は例年並みで、作柄の良かった17年産の1番刈と比較すると、茶葉はそれぞれのグレードなりに混入しています。韓国からの引き合いは引き続き強く、また、米国産チモシーの作柄から日本からの引き合いも上級品を中心に増えているようです。このため、産地相場は旧穀価格に比べ大幅に上昇しています。 中部クレモナ地区では新穀の収穫は終了しています。当地では収穫初期の天候が不安定であったことから、上級品の発生は非常に限られており、中~低級品の発生が中心となっています。単収については、生育期の5~6月の降水量が例年よりも少なかったことから例年の半分以下となっています。 産地では生産量が例年よりも少ない中、各サプライヤーが強い引き合いを背景に積極的に買付を行っています。また、昨冬は雪解けが遅かったため、カナダ国内の酪農家、肥育牛農家および馬用からの需要も強い状況です。このような背景から、産地相場はレスブリッジ地区同様、昨年に比べ大幅に上昇しています。


  左:レスブリッジ産上級品 (9月中旬撮影)       右:クレモナ産中級品 (9月中旬撮影)

スーダングラス  9月15日付の作付面積は前年同月比112%となっています。18年産スーダンの生産も残すところわずかとなっており、今後収穫されるものについては主に米国内肥育牛向けの低級品の発生が中心となります。
 テキサス州およびコロラド州の旱魃の影響から産地周辺では、自給粗飼料が不足しており、代替として肥育農家や酪農家からスーダンの低級品への引き合いが強く、産地相場を下支えしています。
 また、豪州の旱魃の影響で豪州産オーツヘイの相場が上昇していることから、日本以外の国からも中級品以下のスーダンへの引き合いが増えているようです。



        インペリアルバレー スーダン作付面積(2018年9月15日時点)単位:エーカー
クレイングラス (クレインは全酪連の登録商標です)
 9月15日付のクレイングラスの作付面積は前年同月比119%となっています。好調な産地相場を背景に、新播の作付も昨年に引き続き順調に進んでいるようです。 クレイングラスの収穫は5-6番刈まで進んでいます。3番刈は降雨の影響により一部の圃場で収穫がやや遅れましたが、4番刈は例年並みの時期に収穫を開始しており、夏場の高温・多湿の影響を受けて変色が見られる圃場もありましたが、総じて良品の発生が中心となっています。
 産地では日本および韓国からの需要は引き続き堅調で、新穀の収穫が終盤を迎え生産量全体が見えていく中、旺盛な需要に応えたい各サプライヤーの買付意欲は増しており、産地価格はここに来てさらに上昇しています。


         インペリアルバレー クレイングラス作付面積(2018年9月15日時点)単位:エーカー
ストロー類 (フェスキュー・ライグラス) 
 主産地ウィラメットバレーでは18年産ストロー類の生産は終了しています。収穫期の天候に恵まれたことから品質面では大きな問題は発生していません。
 今年の韓国の自給粗飼料は昨年ほど良好ではない模様で、ストロー類を含めたイネ科牧草全般の引き合いが強まってきているようです。また、豪州における旱魃の影響で豪州産小麦わら、大麦わらの供給見通しも不透明なことから、米国産ストロー類への需要は高まるものと予想されます。産地相場については、今のところ大きな変動は見られませんが需要増が見込まれる中、今後注視が必要な状況です。  
豪州産
オーツヘイ 
 豪州では9月下旬より各産地で順次オーツヘイの収穫作業が始まっています。 西豪州では、生育期に十分量の降雨があったことから生育も順調で、生産量は例年並みかそれ以上と見込まれています。 南豪州では地域によって生育期の降水量に差があり、順調に生育している地域と旱魃傾向の地域が混在しています。このため現状では、南豪州全体として例年の8割程の生産量になるものと見込まれています。 東豪州では旱魃に見舞われています。生育期を通して降水量が少なく、生育が不十分で、一部では全く生育せず枯死する圃場も見られます。このため、東豪州の生産量は例年の半分程度に落ち込むと見込まれています。 豪州国内の自給粗飼料が不足していることからオーツヘイへの引き合いがグレード・品質を問わず強まっており、産地相場は昨年同期比および今春の相場と比較して大幅に上昇しています。豪州国内のオーツヘイの在庫量が少なく、新穀の生産量の減少も予想されることから、新穀の価格についても高騰しています。さらには、先々の値上げ観測から、残り少ない在庫への引き合いが加速し、堅調な相場形成に拍車をかけている状況です。


       左:東豪州 収穫前オーツ圃場 (9月中旬撮影)       右:西豪州 収穫前オーツ圃場 (9月中旬撮影)