輸入粗飼料情勢 (令和2年1月10日発表)

<購買生産指導部 購買推進課>

北米コンテナ船情勢  2020年1月1日から重油に含まれる硫黄に対する環境規制が始まりました。各船社はLow Sulphur Compliance Charge(LSFCC)の導入を開始しています。環境規制に対する各船社におけるコストは一律ではないため、チャージの金額も船社ごとに異なりますが、当チャージ増加分の製品価格転嫁は避けられない状況です。
 日本の主要港では、年末年始にかけコンテナヤードが混雑していました。年末年始の期間中、コンテナの引き取りや返却の混雑を回避するために一部の港ではコンテナヤードの開港時間を延長するなどして対応しました。  
ビートパルプ <米国産>
 2020年産のビート大根の作付面積の中で収穫できなかった面積は約125,000エーカーと推定されています。この減少分をビートパルプに換算すると約122,500MTが失われたことになります。
 ミシガン州では圃場での凍結によって廃棄した数量は少なく、大半のビートは適正に保管されながら、今後の作業に向けて順調に進捗しています。今年の裁断作業は昨年に比べて約2ヶ月半早くなることが予想されており、ほとんどの工場で2月中旬から下旬にかけて裁断作業を完了する予定です。
 ノースダコダ州東南部では、悪天候の影響により作付面積の約7%で収穫を断念しています。このためビートの収穫量は当初予測を約26%下回る見通しです。裁断作業は、昨年よりも2か月以上早い3月下旬に予定されています。  
 ミネソタ州中南部では、収穫されたビート大根は保管中の温度上昇によるダメージを避けなければならないという課題がありますが、慎重な管理により今のところ品質を良好に保っています。裁断作業は4月の第1週に予定されています。  
アルファルファ ワシントン州
 主産地であるコロンビアベースンでは、生産者によっては先々の相場を見極めるために若干の在庫を持っているようです。現地では、米国内及び中東からの需要、また追加関税が撤廃された中国からの需要の回帰により産地相場は上昇しています。このため、多くのサプライヤーで年明けからの提示価格について強気の姿勢が見えます。端境期に向け、産地在庫がさらに減少すると相場そのものや2020年産の新穀価格にまで影響が及ぶことも考えられ、今後も注視していく必要があると思われます。
  オレゴン州
 オレゴン州では、産地情勢に大きな変化はありません。高成分の上級品に対しての需要は引き続き強く、産地価格は高値のまま堅調に推移しています。年明けからの価格には他産地と同様にいわゆる金利倉敷料が加算されています。
   カリフォルニア州
 南部インペリアルバレーでは、2019年産の最終盤となる収穫を行っている圃場があります。しかしながら、現地では断続的な降雨があったため、それを避け刈り遅れとなった圃場が多く、ほとんどが低級品となり良品の発生は限定的となりました。
 産地価格は低級品においても、米国内の肥育向けの需要が堅調なことから高値で張り付いています。中国は現時点、潤沢にアルファルファの在庫を持っているものの、追加関税撤廃後、徐々に輸入量は増加しているようです。中国からの需要は高成分の良品も増えており、これらは高値で取引されています。
 

 USDA(米国農務省)発表の乾牧草輸出統計によると、追加関税撤廃後、中国向けのアルファルファの輸出量は9月に9万トン台へ回復、10月は12.8万トンと、前月比およそ3万トンの増加となっています。12.8万トンは、単月の中国向けとしては過去最高の数量となります。


               米国産アルファルファ 国別輸出実績(2019年1月-10月 単位:トン)

米国産
チモシー
 産地在庫は、上級品については多くが成約済みですが、一部のサプライヤーでは中級品以下の在庫を抱えています。このため、一部価格を調整し在庫を捌く動きを見せるサプライヤーもいるようです。
カナダ産
チモシー
 カナダ産チモシーの生産地では本格的な冬を迎えており、圃場は雪で覆われているため、19年産の収穫は終了しています。19年産は地域によって作柄は異なりました。  アルバータ州南部のレスブリッジ地区の1番刈は収穫期の天候に恵まれたことから中-上級品が中心となりましたが、中部のクレモナ地区と北部ピースリバー地区では収穫期の降雨の影響で上級品の発生は限定的となっています。
  
スーダングラス  2019年産の生産は終了しています。  
 産地相場は日本からの安定的な需要を背景に総じて堅調に推移していますが、低級品については、産地周辺で肥育牛の飼養頭数が増加していること、また、昨年の台風の影響で自給飼料の生産に影響が出ている日本および韓国から低級品の需要が強まっているため、産地在庫は限定的で相場も強含みです。
 日本の植物検疫統計を見ると2019年のスーダンの輸入量は11月時点ですでに2018年の年間輸入量を超えています。

            日本のスーダングラス 植物検疫数量2015年から2019年11月まで(単位:トン)

クレイングラス (クレインは全酪連の登録商標です)
 昨年12月15日時点の主産地インペリアルバレーにおける作付面積は22,205エーカーと前年同期比110%で推移しています。2019年産は作付面積、生産量ともに増えましたが、日本及び韓国からの堅調な引き合いにより出荷は順調で、産地在庫は低級品が多く、日本向け中心に使用される良品はほぼ成約済みとなっています。このため、産地相場は引き続き堅調に推移しています。
ストロー類 (フェスキュー・ライグラス) 
 2019年産のオレゴン州のストローの収穫は終了しています。今年はほとんどのストローが降雨の被害を受けました。加えて昨年の台風の影響で、自給飼料への被害があった日本、韓国の双方からの需要が堅調なため産地の価格は上昇しています。
 今後、自給飼料の代替えになるような豪州産のストローなどの品質や価格によっては、この相場も緩む可能性はありますが、産地在庫のひっ迫感は続くと思われます。
豪州産
オーツヘイ 
 2019年産の豪州産オーツヘイの生産は終了し、ストロー類の収穫作業が終盤を迎えています。豪州全体を通して国内需要は非常に強く、オーツヘイとストローのブレンド品の出荷も増えています。

<西豪州>
 西豪州では生育期の降水量が少なく、単収が例年よりも伸び悩み、収穫量は減少しました。収穫量は少ないものの上級品の発生が中心で、中級品~低級品に関しては発生量が少なく供給力は限定的です。収穫量が少なかったことから、国内からの需要も例年以上に強く、生産農家は中級品~低級品を高値で国内に向け販売しています。この影響で各サプライヤーは輸出向けの追加購入が困難な状況となっています。
 またウィートストローに関しても、生育期に降水量が少なかったため、特に西豪州中部ではストローの収量は例年に比べ30%と大幅に減少しています。このため、収量が多かった南部では買付競争が激化しているようです。

<南豪州>
 オーツヘイの収量は例年をやや下回る状況となっています。作柄については、収穫期全般を通して天候に恵まれたことから、上級品の発生が中心となっており、中低級品の発生は限定的となっています。
 ウィートストローは国内向けの販売価格が非常に高く、多くの農家はストローを輸出向けにベールする動機が薄いため、輸出サプライヤーは集荷に苦戦を強いられているようです。


<東豪州>
 全体を通して予測よりも生育期の降雨があったため、当初の予想よりも収量を得ることができています。他の地域と同様に上級品の発生が中心となっており、中低級品の発生は限定的となっています。当地域は酪農生産地に近いこともあり、国内需要の高まりを受けて産地価格は上昇しています。
 ウィートストローは南豪州同様、産地価格が上がっており輸出向けの買付が難しくなりつつあります。
 豪州東部での大規模な山火事は、オーツヘイなどの生産地とは異なる地域で発生しているため、生産や保管などへの直接的な影響はありませんが、国内需要動向に影響を及ぼしています。特に、ニューサウスウエールズ州及びクイーンズランド州南部では、山火事の影響により今後の国内飼料が不足する可能性も示唆され始めており、直近の需要が高まり始めています。
 
豪州においても、LSFCC(低硫黄燃料チャージ)導入のためのコストは船会社によって異なります。1月出航分からチャージを導入している船会社もありますが、多くは2月出航分から導入の予定です。これに伴い2月出航分から各サプライヤーもチャージ分を価格に転嫁するものと考えられます。