輸入粗飼料情勢 (平成30年12月10日発表)

<購買生産指導部 購買推進課>

北米コンテナ船情勢  11月から12月にかけて、一部船社でGRI(海上運賃一斉値上げ)やE-BAF(緊急燃料費割増し料)が実施されました。1月からの同様な動きに向けた通知も出され始めていますが、今のところ大きな値上げが決行されることはなさそうです。
 米国西海岸ロサンゼルス/ロングビーチ港において、これまで昼間の通行のみを課金の対象となっていた「ピアパス」は、11月19日搬入分から夜間を含めた全日が対象となりました。前月号でもお伝えした通り、これらの課金は産地側で吸収できる性質のものではないため、輸入品価格へ転嫁されることとなります。
ビートパルプ <米国産>
 新穀の収穫作業はほぼ終了しています。10月に入り、予想以上に降雨が多かったため一部の圃場では作業が遅れ、また例年よりも寒波の到来が早かった影響もあり、昨年に比べ1か月余り収穫のスケジュールは遅れています。既に圃場が凍結し収穫を断念せざるを得ず、当初見込みを大きく下回る収量となった地域も出ています。このため、ビートパルプペレットの生産量も大きく下方修正せざるを得ない状況となっており、大幅な減産が見込まれます。
アルファルファ 米国産アルファルファの輸出動向
 日本向けは夏季の酷暑や生乳生産量の減少といったマイナス要因はあるものの、輸出量は大きく変わっていません。貿易摩擦下にある中国向けは、関税の増加により輸出量は減少しています。一方、UAEやサウジアラビアなどの中東向けの輸出量は増加傾向にあります。中東勢は欧州からも輸入していますが、高関税を嫌った中国向け需要の一部が欧州に向けられ、欧州産の相場上昇を引き起こしていることで、中東向け需要が米国産に回帰している構図となっています。特にサウジアラビアは国策として水資源を農産物に使用させない動きをとっており、輸入飼料自体の需要が増えていることも要因として挙げられます。 このように、中国の米国産への関税強化は一時的に米国産アルファへの需要減と相場への打ち水になると考えられていたものの、世界的な需給バランスという観点から見ると米国産アルファルファの相場は引き続き堅調と言えます。


            米国産アルファルファ 国別輸出実績(2018年1月-10月)

ワシントン州
 産地情勢に大きな変化はありませんが、軟調気味であった産地価格は底を打って上昇基調に反転しています。11月に入り中国向けの出荷は徐々に復調しており、関税の上昇前に輸入された在庫が一掃されつつあることが要因と考えられます。このため、直近の産地相場は9-10月よりももう一段上昇しつつあるようです。
 
   オレゴン州
 産地情勢に大きな変化はありませんが、米国内外からの高成分のアルファルファに対しての需要は引き続き強い状況です。現地の天候は降雪や降雨が多くなってきており、産地からの原料草の配送に苦慮している模様です。
   カリフォルニア州
  北部では一部の早い圃場では6番刈に進んだ地域もありますが、ほとんどの圃場では今年の生産は終了しています。
 南部インペリアルバレーでも、今年の生産はほぼ終了しています。余剰在庫は少なく、国内外からの需要も堅調なため、直近の産地相場は一段と強含みで推移しています。多くのサプライヤーは、19年産以降も作付面積の大幅な増加はなく、国内外の需要は引き続き堅調との見方から、先々の相場も現行レベルで推移すると予想しています。
米国産
チモシー
 18年産1番刈は上級品を中心にほぼ完売となっています。やや余剰感があった2番刈の中級品以下についても、豪州産オーツの生産量の減少から引き合いは増え始めると予想されます。発生量が少ない上級品への引き合いは引き続き堅調で、価格は上昇傾向にあり、中級品以下との価格差が広がっています。
カナダ産
チモシー
 南部レスブリッジ地区の18年産1番刈は収穫期の天候が安定したため、上級品の発生が80%前後で中級品以下が限定的となっています。単収は生育期に乾燥傾向であったことから例年よりも少ない2.5トン/エーカーほどとなっています。一方、2番刈は冷涼な天候により収穫が遅れ、やや刈り遅れ傾向であったため単収は例年に比べ大幅に増えたものの、中級品以下の発生が中心となりました。
 中部クレモナ地区の18年産は生育期の降水量不足と収穫初期の不安定な天候によって、上級品の発生は限られ、収量は例年の半分程度となっています。旧穀の繰り越し在庫も極めて少なかったことから、国内からの上級品への引き合いは非常に強く、相場を牽引し、堅調な輸出向け需要がさらに拍車をかけたことで産地価格は大幅に上昇しました。
 両産地とも大幅な価格上昇にも関わらず、産地在庫は一部の低級品を除きほぼ完売となっています。
スーダングラス  主産地インペリアルバレーでは、生産農家が保有している余剰在庫は限定的で、各サプライヤーが抱える在庫のみとなっています。茎細の上級品についてはすべて成約済となっており、中~低級品で若干の売り物が残っているようです。しかしながら、豪州産オーツヘイの生産量減少と価格の高騰を受け、安価なイネ科牧草として中~低級品への需要が急増しており、スーダンの産地相場は強含みに推移しています。  カリフォルニア州北部から中部では、アーモンド等のナッツ類への転作が進んでいるため作付面積は減少傾向にあります。18年産の作柄については、収穫期の天候に恵まれたことから上級品の発生が中心となっています。
クレイングラス (クレインは全酪連の登録商標です)
 11月15日付の作付面積は前年同月比119%となっています。好調な産地相場を背景に作付面積は回復傾向にあり、19年産は18年産以上の生産量が期待されます。18年産の産地在庫はほぼ完売となっており、良品の追加買付は極めて難しくなっています。一方、日本及び韓国からの需要は引き続き堅調で、直近の産地相場はさらに強含みで推移しています。背景には自給飼料不足の韓国の引き合いや豪州産オーツの生産減があり、僅かに残る良品以外の在庫も高値で買付けられており極めて堅調な相場を形成しています。




インペリアルバレー クレイングラス作付面積(2018年11月15日時点)単位:エーカー

ストロー類 (フェスキュー・ライグラス) 
 18年産のライグラスストローの作付面積は昨年に比べ70%ほどと言われており、生育期の降水量不足から単収も例年よりも減少しました。このため、生産量は大きく減じています。旧穀の繰り越し在庫もなく、韓国の自給飼料不足や日本向け中国産稲わらの供給懸念により、需要は非常に強く産地相場は日々上昇しています。一方、フェスキューストローの作付面積は増えており、ライグラスストローに比べると供給力は高いと思われます。
 また、ストロー類の積み出し港であるポートランド港では、空コンテナの不足が深刻化しており、船積みの遅延などの懸念が高まっています。
豪州産
オーツヘイ 
西豪州
  西豪州では生育期に十分な降雨があったことから、生育は順調で全体の生産量は例年並みとなっています。しかしながら、9月下旬から10月上旬の収穫開始直後から断続的に降雨があり、西豪州の産地全域で降雨被害が発生しています。地域によって降雨被害の程度に差はあるものの、約75%が何らかの降雨被害を受けたと言われています。一方で、天候の回復を待って収穫された圃場については総じて刈り遅れ品質となっており、当地からの上級品の発生は非常に限定的で、中~低級品の発生が中心となっています。成分値は例年よりも低めの傾向で、圃場での乾燥期間が例年よりも長かったことから、緑目は弱く、やや色抜けしている印象が強く、茶葉はグレード毎で違いはあるものの例年並みに混入している印象です。


  右:西豪州産 ロープレミアム品 (11月下旬撮影)             左:西豪州産 低級品 (11月下旬撮影)


南豪州
 南豪州では、当初の予想よりも旱魃及び収穫期の降雨の影響がひどく、単収は例年の50~80%程度、作柄としては上級品から低級品まで満遍なく発生する結果となりました。見た目、成分値ともの総じて例年並みとなっています。
 当地は豪州国内でも旱魃状況が酷いニューサウスウェールズ州、クイーンズランド州に近く、豪州国内からの需要が非常に強く、特に中~低級品が高値で取引されています。生産量の減少と国内からの強い引き合いにより、各サプライヤーは中~低級品の集荷に苦慮しています。旧穀の在庫も国内需要に吸収されているため、当地からの供給量は例年よりも減少する見込みとなっています。


南豪州産 上級品 (11月下旬撮影)