輸入粗飼料情勢 (令和3年1月13日発表)

<購買生産指導部 購買推進課>

北米コンテナ船情勢  20年に世界各国に感染が広がったコロナウィルスの影響はコンテナ物流にも影響を及ぼしています。感染拡大直後の3月から世界的消費の鈍化による海上運賃下落を危惧した各船社は本船運航を減便し需給の調整を行いました。感染規模がひと段落した夏場ころからアジア諸国から北米向けの輸出量は回復しました。  貨物量は年末のクリスマス商戦向け商品及び、米国の低金利を背景とした好調な新規住宅及びリフォームに使う建材、コロナ対策の衛生関連商品が急増しています。20年11月のアジア発の米国のコンテナ輸入量は単月で過去最高となる177万TEUを記録しています。


           単位:TEU               出典:日本海事センター企画研究部


 この貨物の増大でアジア発北米向け本船の船腹は逼迫しており、特に中国から米国向けの海上運賃は運航を調整していた昨夏から上昇し始め、現在では前年の倍以上の水準に達しており歴史的高値となっています。一方急激に北米への貨物量が増大したことで、米国内で空コンテナが滞留し11月以降、中国、アジアを中心に世界的なコンテナ不足となっています。このため各船社アジア向けに空コンテナを手配する動きは顕著となっており、直近の北米発アジア向け本船では、輸出貨物向けの船腹を減少させ、その分空コンテナ回漕に割り当てを増加させ本船を運航する動きが出ています。北米から日本への海上運賃が低調ななか、日本到着後、空コンテナとなり輸出用として船社が活用できるようになるまで1ヶ月以上かかることを考えると、北米から中国向けに空コンテナを回漕した方が到着後すぐに輸出用として活用できるため、各船社空コンテナを中国をはじめとしたアジア諸国に回漕することを優先しています。



                単位:ドル/コンテナ             出典:海事センター企画研究部


このことから北米から日本向けの海上運賃も上昇傾向にあり、船社によっては12月に続き1月も日本向けで$50-$200/コンテナのGRI(海上運賃一斉値上げ)を実施しており、今後も値上げの可能性が高く輸入乾牧草のコストを押し上げています。
北米コンテナ
ターミナル情勢
  上述の通り北米においては輸入貨物が増加していることから、窓口である各港ターミナルにおいて混雑が生じています。船腹の予約が厳しいうえ、各港の混雑も貨物遅延の原因となっています。特に米国における貿易の要であるロサンゼルス港、ロングビーチ港の混雑状況は深刻さを増しています。これは増加する輸入貨物量に対してターミナルの荷役作業員及び、コンテナの保管スペースが不足しており、貨物の輸入量が各ターミナルの収容許容量を超えています。この結果、通常以上に本船荷役に時間を要しており予定していたスケジュールで本船が寄港できずに沖合での滞船が増加しています。年明けにはロサンゼルス港近郊では33船が沖合に滞船しており、その数は年末の24船から増加しています。またロサンゼルスから日本に向けて出港する本船は平均5-8日の滞船となっており、当初予定していたスケジュールよりも1週間以上日本への到着が遅れることが恒常化しています。  
 シアトル・タコマ及びカナダのバンクーバーといったPNW出港の牧草においても船積みの混乱が生じています。例年冬季は空コンテナが不足し、荒天の影響を受けやすい地域ですが、現在他の地域と同様空コンテナが優先され出荷されており、船腹の予約が取り辛い状況が続いています。またバンクーバー港では荒天による強風の影響でターミナルの稼働率が落ち込んでおり、スケジュール通りに本船が寄港できずに遅れが生じています。通常PNWの貨物はタコマ港⇒バンクーバー⇒日本へと寄港するため、バンクーバー港での出港の遅れは米国産アルファルファ、チモシー、ストローなどの船積みの遅れにもつながっています。
 豪州コンテナ船情勢  船積み状況は改善が見られず引き続きスケジュールの遅れが出ています。中国及びその他アジア向けへの空コンテナ回漕が優先されており、21年1-3月は豪州発の本船船腹は逼迫した状況が続くと見込まれており、現時点で輸出向け本船の船腹は2月末まで満船の状態です。
 また豪州から日本向けの積替港であるシンガポール港やマレーシアのポートケラン港、韓国の釜山港の混雑状況はこの1か月で悪化しています。これは現在中国発北米及び、欧州向けの直行便の船腹で満船が続いているため、他のアジア諸国は中国経由の船腹予約ができないためシンガポール港やポートケラン港、釜山港経由での輸出入に切り替えていることが要因と考えられています。
  この混雑により、豪州からこれら経由地への入港が遅れ、積載が予定されていた日本向けのフィーダー船への積替えに間に合わず、日本への到着スケジュールが大幅に遅れています。
ビートパルプ <米国産>
 コロナウィルスの感染が拡大している影響で労働力不足となっています。製糖作業が続いているビート工場労働者はもとより、輸送においても労働者不足は深刻な状況となっており、今後原料搬入や製品の出荷といったサプライチェーンへの影響が懸念されています。
 産地では天候は良く、暖冬気味で平均気温が高い日が続いており、保管されているビート原料のダメージが心配されています。
アルファルファ 1月7日に米国農務省(USDA)から発表されました輸出統計によると、中国向けのアルファルファ輸出量は20年1月-11月で100万トンを超えています。これは米国から追加関税が課される前の17年以来3年分ぶりとなります。引き続き中国向けの出荷は高成分品を中心に出荷されています。


米国産アルファルファ国別輸出実績(2020 年1 月-11 月 単位:トン)

                                                     出典:USDA

ワシントン州
 主産地であるコロンビアベースンでは、高成分な上級品を中心に相場は堅調に推移しています。 産地では12月末に降雪がありシアトル―エレンズバーグ間を結ぶ幹線道路(I-90)で一時通行止めが発生しました。幸い短期間での通行止めであったため、シアトル港へのコンテナ輸送の影響は軽微でしたが、今後も天候には注視が必要です。
   カリフォルニア州
 カリフォルニア州南部インペリアルバレーでは、20年産の最後の収穫で一部高成分な上級品が収穫できたことから、在庫が不足していた同州北部の内需向けに取引されました。
米国産
チモシー
 20年産の1番刈は主産地であるワシントン州コロンビアベースンとキティタスバレーで収穫期の天候不良により、上級品の発生は限定的となりました。産地在庫も中級品以下が中心で上級品は限定的です。
スーダングラス  豪州産オーツヘイの不作を受け需要は強くなっていますが、20年産は上級品の発生が少なかったことや、低級品においても、産地の干ばつの影響で自給飼料が不足している肥育牛生産者からの引き合いが旺盛なため、産地在庫は限定的となっています 
クレイングラス (クレインは全酪連の登録商標です)
 日本、韓国中心に堅調な引き合いがあり、上級品の現地在庫は限定的となっています。高温多湿な天候が続いた夏場から秋口以降に収穫された茎が固く、湿度により発生したブリーチが混じった低級品の供給余力はありますが、これらは韓国を中心に出荷されています。 
ストロー類 (フェスキュー・ライグラス) 
 20年産は収穫期の天候に恵まれたため、ペレニアル種、アニュアル種のライグラスストロー、フェスキューストローともに良品が発生していますが、需要の強いペレニアル種ライグラスストローは輸出業者を中心に旺盛な買い付けが行われており、産地相場は堅調です。
カナダ産チモシー   20年産は上級品の発生量が限定的であったため、産地では大半が成約済みとなっており、追加買付は難しい状況です。一方発生量の多かった低級品については供給余力がある状況です。
豪州産
オーツヘイ
 20年産の作況は西豪州で上級品が生産できたものの、南豪州、東豪州では断続的な降雨の影響で中低級品中心の作況となりました。 一方、需要は日本をはじめ好調な乳価と自給飼料が不作であった中国を中心に引き合いが強く、輸出業者によっては受注数量が増加しており、すでに製造スケジュールが6月まで埋まっています。