輸入粗飼料情勢 (令和元年5月8日発表)

<購買生産指導部 購買推進課>

北米コンテナ船情勢  4月は港湾労使交渉の影響で、日本国内において平日では22年ぶりに港湾ストライキが実施されました。このため、大型連休前のコンテナのデリバリーに大きな影響が出ました。心配されていた大型連休中の港湾ストライキは回避になりましたが、労使交渉はまだ妥結しておらず5月以降も引き続き動向に注意が必要です。
 また連休後は引き取れなかった貨物や、連休中に寄港した本船の貨物がCYに滞留することが予測されます。連休後の引き取りもしばらくは混雑が予想されます。
ビートパルプ <米国産>
1月下旬から2月にかけて中西部を襲った歴史的ともいわれる大寒波は製糖工場の稼働に大きな影響を与え、製糖/ペレット生産に遅れが生じました。天候による生産の 遅れはありましたが、低温続きであったため原料大根の劣化も見られず、例年よりも良好な保管環境のまま生産を終了することができそうです。
 寒波と大雪により中西部の一部では洪水が発生し、トウモロコシの作付に一部遅れが生じていますが、ビートの作付にも影響が出ています。日本向けの主力であるミネソタ州およびノースダコタ州では例年4月中旬から作付が始まりますが、依然として作業は進んでいません。一方、品種改良により、収量及び天候への対応は進化しており、また作付作業そのもののスピードも速くなっていることから、大きく悲観すべき段階とは言い切れず、今後の進捗を見守る必要があります。
 米国内の乳価は引き続き酪農家が十分な利益を確保できるレベルではなく、飼養頭数の減少も予想されるものの、アルファルファの在庫不足など、総じて繊維源の供給力が十分ではない状況のなか、米国内のビートパルプペレットの相場は堅調に推移しているようです。  
アルファルファ ワシントン州
 2018年産のアルファルファの現地余剰在庫は無く、サプライヤーの在庫もすべて成約済となっています。中国向けは米国産の輸入関税の影響で、米国以外の国のアルファルファを輸入していましたが、これらの在庫も不足に陥ってきたことに加え、中国国内の在庫も底をつき始めていることから、米国へ需要が回帰しているようです。
  中東からの需要も引き続き強く、さらに米国内の酪農家からの需要も底堅いことから産地価格は堅調に推移し続けています。国内外からの堅調な需要と旧穀の在庫不足から生産農家は強気の姿勢を見せており、新穀の作柄次第では大きく相場が上昇する可能性があります。
 新穀の作付面積は前年並みで大きな変化はありません。今年2月にワシントン州では多くの降雪があり、4月上旬までコロンビアベースンの圃場にも雪が残っていました。この影響でアルファルファの生育に約2週間の遅れが出ています。順調に作業が進めば、1番刈が本格化するのは5月下旬ごろ、新穀出荷は7月初めごろのスタートと予想されています。
   
         アルファルファ圃場 (撮影日 4/23 ワシントン州マッタワ近郊)



  アルファルファ圃場 (撮影日 4/22 コロンビアベースン南部)

 
   オレゴン州
 クラマスフォールズでは、現在のところ昨年のような旱魃は無く、作付面積は例年並みです。1番刈のスケジュールは去年と同様、6月上旬ころから刈り取りが開始される見込みです。
 クリスマスバレーでは現在のところスケジュール通りに生育が進んでおり、順調にいけば6月中旬から刈り取り開始となる見込みです。
 産地ではワシントン州近郊の酪農家や肥育農家からの引き合いも強くなっており、旧穀の在庫も冬期間に成約が進み余剰はほとんどない状況です。
   カリフォルニア州
 現在2番刈の収穫が進行中で、1番刈と同様に高成分の良品が発生しているようです。価格については、米国に回帰した中国需要、サウジアラビアからの旺盛な需要により昨年同期よりも高値で取引が開始されています。米国内も旧穀の在庫は無く、酪農家からの需要は高まっていますが新穀の価格帯に追随できず、より安価な輸出不適合品のアルファルファに需要が集まっています。さらには、アルファルファの給与量を減らす対応している酪農家もいるようです。
 また、このところアルファルファの種子価格は低調に推移しており、今後の種子相場によっては、夏場に種子を収穫するよりもヘイの生産を選択することも考えられ、ヘイの生産量が増える可能性があります。
米国産
チモシー
 旧穀で発生量が少なかった上級品(馬用や酪農用最上級品)の在庫はありませんが、中間から低級品については、一部のサプライヤーで余剰があるようです。
 2018年産の産地相場は高値で推移したことから、生産農家の作付意欲は増しており、新穀の作付面積は若干増加しているようで、現在のところ生育状況は良好です。
 産地相場は引き続き堅調であり、相場が弱まる要因はありませんが、新穀の作柄次第では旧穀在庫が限定的な上級品と一部余剰のある中級品以下との価格差が広がる可能性もあり注意が必要です。

    
            US産チモシー圃場 (撮影日4/24  ワシントン州エレンズバーグ付近)
カナダ産
チモシー
 19年産の作付面積は、麦類等の他作物の相場が低迷していることから、主産地であるアルバータ州レスブリッジ地区およびクレモナ地区のどちらも作付面積は5~10%程度増加する見通しとなっています。
 産地相場については日本および韓国からの需要が安定していることから、大きな変動なく堅調に推移しております。中国向けにもカナダ産チモシーは輸出されていますが、現状価格が高いことから数量は限定的なようです。
スーダングラス  今冬から春先にかけての天候の影響で、早播きスーダンの作付は昨年より2~3週間程作業が遅れていましたが、5月1日時点の作付面積は前年同期比87%の約34,100エーカーまで進捗しています。
 早播きスーダンと競合するデュラム小麦の作付状況は、4月15日時点で前年同期比36% (約7,900エーカー) と産地相場の低迷を受けて引き続き低調に推移していますが、この減少分の多くは、アルファルファ、クレイングラス、バミューダなどの他草種に移行しており、新穀のスーダンのピーク時の作付面積は昨年並みになるものと予想されています。
 新穀の収穫開始は、今後の天候・気候次第となりますが、例年よりやや遅れ6月に入ってから本格化する見込みです。
 日本からのスーダングラスに対する需要は上級品から低級品までグレードを問わず堅調に推移しています。産地の余剰在庫は少なく、旧穀の繰越在庫がほとんどない中で新穀シーズンへと突入していく見込みです。
 また、主産地インペリアルバレー周辺では肥育牛の飼養頭数が増加しており、低級品スーダンの引き合いが強い状況にあります。早播きスーダンの作付面積がやや減少していることに加え、低級品への需要が強いことから、新穀以降の相場は上級品から低級品まで底堅く推移するものと予想されます 。



                   インペリアルバレー 小麦作付面積推移(単位:エーカー)



               インペリアルバレー スーダングラス作付面積推移(単位:エーカー)

クレイングラス (クレインは全酪連の登録商標です)
 
 4月15日時点の作付面積は前年同月比122%となっています。既報の通り、好調な産地相場を背景に、クレイングラスの作付面積は昨年同期比で大きく増加しており、19年産は増産が期待されるところです。
 産地では3月下旬から、新穀の収穫に向け順次圃場への水入れ作業が開始されました。順調に生育すれば、新穀の収穫作業は4月下旬~5月上旬頃から開始される見通しです。一部の圃場では1番刈前の掃除刈りが開始されていますが、今冬は降雨が多かったことから、雑草の混入が多いようです。
  産地相場については、日本および韓国からの需要は旺盛な状況が続いており、高値のまま安定して推移しています。18年産の余剰在庫はほとんどなく、旧穀の繰越在庫がない状況で新穀に突入することになります。
 日本および韓国からの引き合いは引き続き強く、サプライヤー側にもすでに新穀のオーダーが多数入っている状況のため、新穀の収穫開始とともに買付が殺到し、産地相場が一段と上昇することが懸念されます。一方で、産地の作付面積自体は大幅に増えていることから、需給バランスは収穫の進捗とともに徐々に均衡してくることが予想され、産地相場も徐々に落ち着いてくるのではないか、と予想するサプライヤーもおり、新穀の収穫進捗とともに産地相場の動向には注視が必要です。
ストロー類 (フェスキュー・ライグラス) 
 現在米国にあるバイオマスプラントにおいて、バイオガスを生成させる過程でライグラスストローを使用するプロジェクトがあり、にわかに米国内で需要が高まっているようです。このプロジェクトが進捗した場合、消費量が増え、4%ほど作付面積が増えているにも関わらず輸出向けのライグラスストローに影響する可能性が否定できないと言われています。フェスキューストローは日本及び韓国から一定の需要はあるのもの現状供給力に大きな問題はないようです。
 バミューダストローは種子の価格が好調なことから、作付面積が増えています。 今後種子の収穫が進むにつれてストローの発生が増え、価格は落ち着くものと予想されています。
豪州産
オーツヘイ 
 日本、中国および台湾からの需要は引き続き堅調に推移しています。韓国は年明け以降、当年の輸入割当枠が更新されたことから、積極的にオーツヘイの輸入を進めましたが、その結果、国内では在庫過多になりつつあります。中国向けは高値を敬遠し大きな数量は動いていないものの一定の需要は続いています。  
 日本の輸入量は堅調に推移しているものの、高値が浸透し始め徐々に荷動きは鈍くなっています。  産地では例年、オーツヘイの播種は例年4月末から5月上旬に行われますが、西豪州では十分な土壌水分を担保するほどの降雨がなく播種作業はやや遅れている状況です。穀物価格が総じて軟化しており、オーツヘイの相場も高値で推移していることから、生産農家はカノーラや他の穀物からオーツヘイの生産に移行する動きが増えると見込まれており、作付面積は昨年に比べ増加傾向にあると見られています。  東豪州では4月は乾燥した期間が多かったようですが、播種作業は進行中です。西豪州同様、オーツヘイの相場高騰と穀物相場の状況からオーツヘイの作付はやや増えるものと見込まれています。 また現在、産地では19年産の作付に向けた準備が進んでおり、各サプライヤーは生産農家との買付数量契約を進めているところです。豪州国内の畜産農家からの需要は引き続き旺盛な状況にあり、産地価格については軟化することなく、18年産の開始時と同等のレベルで推移しています。


2019年5~7月の降水量予想 (75%の確率で達せられる見込み雨量、オーストラリア気象局HPより引用)