輸入粗飼料情勢 (平成29年3月8日発表)

<購買部 購買推進課>


北米コンテナ船情勢  海上運賃一斉値上げ(GRI)については、先月と同様、3月1日付けでの値上げは大半が直前で回避になりましたが、一部実施を強行する船社も出てきています。各船社の経営状況は欧州航路の不採算が解消されてきているものの、未だ赤字の航路が多く、値上げの圧力は続いていきそうです。すでに4月1日付のGRIの通知を出している船社もあり、引き続き各船社の動向が注目されます。
 また、4月から再編される海運アライアンスの影響による、日本向けの航路・寄港地の変更も注意にも必要です。特にPNW出しについては、アジア向けの航路を減らし、日本向けの寄港地も変更する見込みのアライアンスがあります。このため4月以降から、一時的に貨物と船腹のバランスが崩れ、スペースや空コンテナが不足する事態も予想されます。
ビートパルプ <米国産>
 先月記載した通り、ペレットの生産量の下方修正は続いています。現段階では前年比で10%以上の減少が見込まれています。このため米国産の供給余力は弱まっており、今後の日本市場への影響も懸念され始めています。
 新穀の作付けは、例年の天候であればミシガン州やアイダホ州の早い地域で3月末、日本向け主産地のミネソタ州やノースダコタ州では4月中旬から始まる見込みです。現時点では、作付けの増減に大きな影響を及ぼす要因も見当たらず、昨年並みの作付面積になると見込まれています。
アルファルファ  カリフォルニア州南部インペリアルバレーでは2月上旬から新穀の収穫が始まっていますが、この時期に収穫された多くの玉は、水分が高い傾向にあることから輸出向けには適さないため、ほとんどが米国内向けになると思われます。
 インペリアルバレーの2月15日時点の作付面積は、前年対比98%の138,397エーカーとなっています。わずかに減少していますが、他の作物と比較すると作付面積は維持できており、背景には中国、中東から引き続き強い引き合いがあります。 さらには、中東の資本が続々と産地に投資をしており、圃場の取得や倉庫の建設など、 過去にはない動きが始まっています。これらの動きは、今後、直接的であれ間接的であれ日本向け市場へ影響を及ぼすと思われ、中東勢の産地での存在感は今まで以上に増してくると考えられます。

 ワシントン州ではこの冬、度々大雪に見舞われ、産地から港までの主要道路の通行止めや、本船スケジュールの遅延が断続的に発生しており、アルファルファやチモシーなどの物流の混乱が続いています。現在は気温も上がり大雪の懸念は薄まりましたが、雪が解け始めたため地盤が緩み、牧草のような重量が多い貨物のトラックに対して交通規制が敷かれるなど、新たな問題も起こり始めているようです。また、雪解けによる大量の水が倉庫に浸水し、在庫品にダメージが発生しているところもあるようで、端境期に向け、成約済みの数量に欠減が発生する可能性も出てきました。

      
   左 : ワシントン州南部 道路崩壊の状況    /    右 : 雪解け水の浸水を受けるスタック

 米国内酪農家においては、乳価の回復と穀物価格の安定もあり、乳飼比は徐々に下がっており、アルファルファの購買意欲は昨年よりも総じて上がってきているようです。輸出向け需要も堅調であることから、特に上級品の引き合いはより安定すると考えられ、今後は上級品と低級品の価格差がより広がる環境になっていくと考えられます。
米国産チモシー  2016年産の現地在庫はほぼ完売(成約済)となっています。産地価格については、年明け以降、値上げが続いており中級品以下もその対象になってきています。
 新穀の作付けについては、昨年の1番刈収穫後、ジャガイモや豆類など他の作物に転作した畑が秋の天候不順により収穫が遅れたため、秋播きのチモシーの播種が遅れ気味の圃場が多くあるようです。一方、作付面積自体は主産地ワシントン州だけではなくアイダホ州でも増加している模様です。17年産の産地相場は、作付は増えているものの16年産在庫の不足感が非常に強いこともあり、作柄次第とはいえ16年産に比べ上昇するとの予想が大勢を占めています。
 また、この冬の大雪の影響で16年産の産地在庫へのダメージが懸念されており、端境期には予想以上の不足感が出てくる可能性もあります。
カナダ産チモシー  カナダ産についても、2016年の現地在庫はほぼ完売(成約済)となっています。 主産地レスブリッジでは1番刈、2番刈ともに肉牛向けを中心とした堅調な国内需要や中国向け需要に支えられ、在庫はほぼ完売のようです。また、チモシーと競合する小麦等、穀物の価格が低調なため生産農家にとって、チモシーは相対的に利益が望める作物になっており、2017年産の作付は増えるとの見方が出ています。
 一方、クレモナ地区では比較的小規模な農家が多く、後継者問題など相場や天候・環境とは異なる課題を抱えているようです。このためクレモナ地区の作付面積はやや減少するとの見方もあります。
スーダングラス  主産地インペリアルバレーでは、デュラム小麦の相場が低迷しているため、早播きのスーダンの作付は増加する環境にありますが、現時点での作付面積の動向については、各サプライヤーで見解が分かれているところです。
 16年産の繰り越し在庫はほぼ無い状況で、上級品は需要に対してやや不足の状態で17年産を迎えるため、新穀スタート時の産地相場は16年産に比べ上昇すると予想されています。上げ幅については、作付面積に大きく左右されると考えられており、大幅に作付が下がれば上昇幅は大きく、昨年並みの作付面積であれば小幅な上げになると思われます。このため、早播き含め今後の作付面積は例年以上に注目されるところです。
クレイングラス (クレインは全酪連の登録商標です)
 年明け後の韓国からの需要は、自給飼料不足により引き続き活発で、16年産の繰り越し在庫は非常に少ない状況です。また、昨年からの産地相場の低迷の影響で作付面積は2月の時点で前年比14%の減少となっています。韓国の堅調な需要が継続しているうえ、繰り越し在庫も少なく、作付面積も減少していることから、17年産の産地価格の上昇は避けられないとの見方が強くなっています。
ストロー類 (フェスキュー・ライグラス)
  米国農務省が2月に発表したオレゴン州のアニュアルライグラスの17年産の作付面積は、ほぼ前年並み、ペレニアルライグラスは14パーセント減少との予想になっています。収穫期の天候次第ですが、16年産の未契約の在庫は限られている状況下での作付面積の減少予想が今後の産地相場に及ぼす影響が懸念されます。
 現時点では、引き続き韓国の国産ワラ不足による需要増、過去の相場低迷からの挽回を目論む生産農家の動きにより、産地相場は大幅に上昇しています。現行相場で玉が動き続けると17年産もその流れから高値スタートの可能性あり、今後の在庫状況も含めて注意が必要です。サプライヤーによっては端境期までの在庫の確保がままならないところもあり、今後の供給は非常にタイトになってくることが予想されます。
豪州産オーツヘイ  西豪州では1月に激しい降雨があり、一部で大きな被害をもたらしています。特に収穫直後であったウィートストローは、各サプライヤーや生産農家の倉庫が、今年収穫量の多かったオーツヘイで埋まっており、一部のウィートストローが倉庫搬入前に雨を受けてしまったようです。このため、当初の見込みよりもウィートストローの良品は限定的となり、不足傾向の米国産ストローの代替としての期待も出来ない状況になっています。
 西豪州へのオーツヘイの需要は引き続き旺盛ですが、各サプライヤーの工場の稼働も上限を迎えている上、各船社の船腹も余裕がない状況です。よって、今後も西豪州からの出荷スケジュールは不安定な状況が続くと思われます。
 中国向けの輸出は引き続き旺盛となっています。中国は昨年、一昨年と良品が多かった年に輸入を本格させましたが、16年産は中級品や低級品も出荷されています。当初はこれらの品質を受け入れてくるか懸念がありましたが、順調に出荷されているようです。

 日本の植物検疫統計によると、2017年1月の豪州産オーツヘイの輸入実績は36,501トンと前月比101.7%、前年同月比113.6%となっております。特に九州の各港は前年同月比105〜159%と高い伸び率を見せており、米国産チモシーなど禾本科牧草でタイト感がある中、豪州産オーツヘイへの需要が堅調であることを示しています。