輸入粗飼料情勢 (平成29年11月10日発表)

<購買部 購買推進課>


北米コンテナ船情勢  昨年から、邦船3社を含む各船社による業務提携や合併が進んでいます。このようなサービスの合理化や寡占化が進むことで、今後需給のコントロールや海上運賃などの交渉がしやすい環境になっていくと考えられます。
 10月から、農産物の輸出や年末に向けての輸出入が増え、PNW(太平洋北部西岸)地域を中心に空コンテナが不足し始めています。また、今年は北米東海岸における輸出入も増えており、北米内陸部では東海岸から空コンテナが回ってこないなどの問題が発生しています。各船社からは、11月もしくは12月のGRI(海上運賃一斉値上げ)実施の通知が来ており、引き続き注視が必要な状況です
ビートパルプ <米国産>
 新穀の製糖作業は例年よりやや早い8月17日から9月中旬にかけて全米各地で順次スタートしています。収穫面積は前年に比べ微減ですが、総じて単収は良好な状況なためペレットの生産量は例年並みかそれ以上になる見込みです。
 中国からの米国産への引き合いは引き続き非常に強く、既に相当量の契約が進んでいるようです。今のところ、コンテナによるデリバリーが中心ですが、今後物量の増加とともにバラ積み船による輸送も視野に入ってくると思われます。中国だけではなく米国内需要も非常に堅調なことに加え、バラ積み船の海上運賃も上昇していることから米国産ビートパルプの価格は旧穀と比べ高値で推移していくと考えられます。
アルファルファ ワシントン州
 主産地コロンビアベースンでは17年産の生産は終了しました。今年の1番刈の降雨被害の割合は50~60%程度と例年並みで良品が多数発生することが期待されましたが、春期の冷涼な気候の影響で総じて茎は細めでした。また、夜露が不十分で強風の影響を受けたものは葉離れや葉崩れが見られ、ドライな品質のものが多く発生しました。2番刈については天候にも恵まれ、また、例年ほど気温が上がらなかったことから、成分が高く色目の良いものが多く生産されました。3番刈、4番刈は、ワシントン州北部で発生した山火事の煙の影響でウィンドローの時間が長くなったため、色が抜け(ブリーチ)が多く見られ、中級品以下の発生が中心となりました。
 周辺の酪農家からの需要はカリフォルニア州に近い他産地と比較すると穏やかで、価格についても他産地と比較すると上げ幅は小さく推移しています。
オレゴン州  南部クラマスフォールズでは全ての収穫が終了しています。17年産の3番刈および4番刈は収穫期の不安定な天候や山火事による煙の影響で夜露が十分に降りなかったため、ドライな品質のものが多く発生しています。今年の収穫スケジュールは、1番刈時の降雨の影響で2番刈終了時点の収穫進捗は例年よりも遅れていましたが、3番刈以降の天候は比較的安定しており収穫スケジュールは早まり、例年よりも多くの生産農家が4番刈の収穫を行ったようです。
 輸出向けに限らず、米国内の酪農家からも高品質アルファルファに対して需要が旺盛なことから、収穫が進むにつれて産地価格は上昇し、特に成分が高い4番刈は3番刈を上回る価格で取引が行われています。 中部クリスマスバレーでは3番刈まで収穫が終了し、17年産の生産は終了しました。3番刈の品質は収穫期の悪天候および山火事による煙の影響で葉量、葉付きがあまり良くない、ブリーチが多く入った中~低級品の発生が中心となっています。
 3番刈の作況を知ったサプライヤーや米国内向けのバイヤーが3番刈の代替として良品2番刈を多く買付けたこともあり、産地価格は高値のまま堅調に推移しています。

     左 : クラマス産3番刈(10月撮影)  /  右 : クリスマス産3番刈(10月撮影)
カリフォルニア州  カリフォルニア州北部は産地によって状況は異なるものの7番刈りの収穫が進んでおります。カリフォルニア州北部では引き続きアルファルファ、綿、トウモロコシから永年作物であるナッツ類への転作が進んでいるようです。
 米国内酪農家からの上級品に対する引き合いは引き続き強い状況にあります。米国乳価が下げ止まっていることに加え、トウモロコシの価格が引き続き競争力のある価格で推移しているため、アルファルファ購買力を下支えしているようです。
 南部インペリアルバレーでは7番刈の収穫が終了し、8番刈の収穫準備が進んでいます。当地では徐々に気温が下がってきたことで成分、葉付きも改善し、7番刈からは再び上級品の発生も増えてきています。
 中国からの需要は産地価格の上昇と中国乳価の下落により引き続き低調なものの、サウジアラビアを中心とした中東需要は上級品を含め全般的に旺盛です。また、現在種子価格が高騰していることから、乾草としての収穫ではなく種子生産を行う圃場の面積が例年の2倍近くとなっています。このため例年よりもアルファルファ乾草の在庫に不足感が出ており、産地価格は先月から一段と強含みで推移しています。
 一方、この先種子の在庫は過剰気味になることが予想され、18年産はアルファルファ「へイ」の生産量は回復する可能性があります。
米国産チモシー  主産地のワシントン州では17年産のチモシーの生産は終了しました。
 1番刈については、6月上旬に断続的な降雨があったものの、被害は限定的で、大半の圃場は天候の回復を待って収穫作業を開始したため、酪農向けの上級品~中級品を中心に発生し、低級品は限定的となっています。2番刈については、ワシントン州北部で発生した山火事による煙の影響で通常よりも圃場でのウィンドローの時間が長くなり、それによって茶葉、ブリーチの割合が高くなり、中~低級品の発生が中心となっています。
 チモシーの需要は日本および韓国から引き続き旺盛であり、産地価格は堅調に推移しています。日本の米国産チモシーの輸入数量はこの第2四半期合計で、冬期燻蒸前の駆け込み入船もあるとはいえ、前年同期比109%となっており日本国内ではすでに過剰在庫になっている地域もあるようです。
カナダ産チモシー  アルバータ州南部レスブリッジ地区および中部クレモナ地区の両地区において17年産の生産は終了しています。17年産のカナダ産チモシーは収穫期の天候に恵まれたことから、上級品の発生が半数以上を占めており、中~低級品の発生量が限定的となっています。全体の生産量は単収が少ない圃場も多く例年並みのようです。
 作柄が良好なことに加え、米国産チモシーと比較して価格の値上がり幅も小さいことから、韓国および日本からの引き合いは非常に強く、産地在庫はほぼ完売の状況となっています。
 カナダ産チモシーの輸入量は第2四半期合計で、約24,000トン と前年同期比132%となっています。米国産チモシーとの価格差から、需要が旺盛であることが伺えますが米国産同様、過剰な入船が懸念されます。
スーダングラス  インペリアルバレーにおけるスーダングラスの生産はほぼ終了しています。今年は早播きの作付面積が昨年より多く、収穫も例年よりやや早く開始されました。今年の早播きスーダンの茎は柔らかく細めで揃っていましたが、湿気が少ない時期に収穫されため色抜け品の発生は少なくなりました。また、小麦の収穫後に播種した圃場や2番刈の時期には一部で降雨もあり、雨当たり品や刈り取りの遅れなどにより中級品、低級品も発生しています。
 産地の在庫は一部の低級品を除き生産農家側も含めてほぼ契約済みとなっているようです。また、現在のところ総じて日本向けの荷動きは上級品から低級品まで良好なようです。
 北カリフォルニアでもほぼ今年の生産は終了しました。生産農家にとって昨年より価格が良かったこと、水不足の懸念がなくなったことから今年の作付面積は昨年より大幅増え、通常のレベルに戻った印象です。しかしながら、収穫時の湿度が低かったため、色抜け品や従来の北カル産らしい茎が柔らかいものの発生は例年より少なかったようです。






             インペリアルバレー スーダングラス作付面積推移(10月15日時点)
クレイングラス (クレインは全酪連の登録商標です)
 今年度の生産はほぼ終了しています。17年産は主産地インペリアルバレーの作付面積が減少した中でのスタートとなりました。この結果、収穫期の天候には恵まれましたが、最終的な生産量は昨年比で25%程度減少したと言われています。   一方、夏場からは産地価格の上昇により生産農家の生産意欲も戻りはじめ、作付面積は増加の傾向にあり18年産の生産量は回復するものと期待されています。
 今年の品質は1番刈から2番刈中盤までは天候に恵まれ良品が多く発生しました。2番刈の後半から3番刈にかけては堅調な需要を背景に、一部の生産農家が単収を増やそうとしたことや、天候が一時不安定になったことから品質もややバラつきが見られます。4番刈から5番刈にかけては、例年より良品が多く発生しているようです。
 日本および韓国からの需要が変わらず旺盛ですが、産地在庫はほぼ契約済みとなっており追加の買付は例年よりも難しい状況です。旺盛な需要により産地価格は引き続き強含みで推移しています。



        インペリアルバレー クレイングラス作付面積推移(10月15日時点)

ストロー類 (フェスキュー・ライグラス) 
 主産地オレゴン州ウィラメットバレーではペレニアルライグラス、フェスキューともに17年産の生産は終了しています。
 産地の作付面積は15%前後減少している上、16年産の繰り越し在庫もなく新穀への需要も堅調なことから、多くの生産農家が在庫を抱え売り惜しみをしている状況です。このような状況を受け、産地相場は日々上昇を続けています。
 ストローの輸入量が多い韓国の自給飼料は今のところ良好なようで昨年の自給不作により拡大した輸入枠は2018年において一部削減される可能性が強くなっています。この影響で、韓国の輸入粗飼料の需要も変化し、ストローの産地相場にも何等かの動きがあることも考えられ、今後の動向には注視が必要と言えます。  
豪州産オーツヘイ   西豪州では刈り取りは終了しています。今年は生育期の降雨不足による生育不良により草丈がやや短く茎は細めの圃場が多く、生産量は例年の80%程度となっています。加えて刈り取り後の乾燥期間中には各地で降雨があり、半数以上が雨当たり品もしくは刈遅れ品となっています。降雨を免れた圃場では見た目も分析も良好なものが生産されているようです。  南豪州、東豪州は収穫が最終盤を迎えています。これらの地域も生育期は旱魃気味であったため収量は例年以下ではありますが、西豪州よりも単収はよく、また刈り取り後の天候にも恵まれたため、上級品が多く出来ています。地域やサプライヤーによっては90%以上が上級品と言われています。特に東豪州では総じて分析値が良い傾向にあるようです。
  旧穀の在庫は減ってきていますが、総じて例年よりも多いため、新穀の出荷は例年よりも遅くスタートすると見られています。価格については西豪州の上級品が予想よりも多くなかったこと、北米産が昨年よりも高値で推移しているため、やや強含みで推移しそうな状況です。  

(豪州10月の降水量:豪州気象当局データより)

                                                                   以 上