輸入粗飼料情勢 (令和元年12月5日発表)

<購買生産指導部 購買推進課>

北米コンテナ船情勢  年末に向け米国西岸北部発の航路では、船社によっては既に先々の船腹の予約が埋まっており、積出港での混雑や遅延の発生が懸念されています。
 シアトル・タコマ港では、クリスマス商戦向けの輸入貨物の増加も見込まれており、港の混雑に拍車がかかることが予想されています。ポートランド港では、空コンテナの不足が依然として解消しておらず、今後増加することが予測されるオレゴン産のストロー需要に対応できるか懸念されています。
 ロサンゼルス・ロングビーチ港は、米中貿易摩擦の影響で取扱量が大きく減っています。このため港湾事業者は金曜日の夜から土曜日にかけて港を閉鎖し、稼働時間の縮小より人件費などの費用の削減を図り、取扱量の減少による損失を最小限に抑える動きを見せています。この稼働時間の短縮により貨物の搬入搬出も減少し、今後混雑や遅延が頻発する恐れがあります。
 また、2020年1月から重油に含まれる硫黄に対する環境規制が始まります。 多くの船社でLow Sulphur Compliance Charge(LSFCC)の導入が延期されていましたが、1月からの規制開始に合わせ、本格的にLSFCCの課金が始まりそうです。この規制へ対応するためのコストは各船社で異なるため、チャージの金額にも幅があると言われていますが、コストの増分は船会社及び牧草サプライヤーが吸収できうるものではなく、製品価格への転嫁は不可避なものとなります 。
ビートパルプ <米国産>
 ミシガン州では収量予測が下方修正されています。11月下旬から1週間ほど悪天候が続き収穫作業を中断せざるを得ず、そのまま収穫シーズンを終了することになります。
 ノースダコタ州及びミネソタ州の北部から中部では、秋の記録的な大雨と冷涼な気候により約117,000エーカーの圃場で収穫を断念しました。これは当初収穫予想量の約33%に該当します。それ以外の圃場でも単収は例年よりも減少しています。 ノースダコタ州東南部では、最終的な収穫量は報告されていませんが、状況は悪く収穫が放棄された圃場は全体の約13%と言われています。また、単収も過去5年間の平均より2.2MT/エーカー低いと予想されています。
 ミネソタ州中南部では、収穫期を通して天候不良に見舞われたことから、他地域と同様に収穫量は減少しました。  このように各地域で収穫量は当初予想よりも減少しており、今後のビートパルプの供給量にも大きく影響してくると考えられます。  
アルファルファ ワシントン州
 主産地であるコロンビアベースンでは、収穫期を通して天候に恵まれず、1番刈では50-70%が雨当たりの被害を受けました。降雨を避けた圃場でも、収穫された多くのものが刈遅れ品質となりました。2番刈以降も不安定な天候は続き、高い湿度と濃い霧の影響で変色(ブリーチ)の発生が多く、高成分・上級品の発生割合はシーズンを通して極めて限定的となりました。
 米国内の乳価は昨年の同時期に比べ約20%上昇しており、米国内酪農家からの需要は底堅く、中東からの需要も強く、加えて輸出向け品質の良品アルファルファが産地全体として不足していることから産地相場は上昇しています。  



  オレゴン州
 オレゴン州では収穫シーズンを通して天候に恵まれ、降雨による被害を受けたものは少なく上級品が多く収穫されました。1番刈では、冷涼な気候であったため茎のサイズが例年に比べ細めに仕上がっているのも見られました。2番刈以降では夜露が発生する日が多かったためブリーチが見られる圃場もありましたが、総じて高成分のものが収穫されました。産地相場は、米国内の他産地の作柄が不調だったこともあり、高品質のアルファルファの需要が国内外から集中しているため引き続き堅調に推移しています。 
   カリフォルニア州
 南部インペリアルバレーでは、一部圃場で今季最終盤となる収穫を行っています。産地では気温が低下しており、11月後半にかけて収穫されたものの一部では高成分のものも発生しています。
 中国向けの追加関税が撤回されて以降、中国からの需要は回帰しており産地相場は高値で推移しています。
米国産
チモシー
 主産地コロンビアベースン及びエレンズバーグの1番刈は天候に恵まれ上級品が多く発生しました。一方、2番刈は天候には恵まれず、多くが雨当たりの被害を受けました。産地の在庫は上級品については多くは成約済みで、中~低級品については一部のサプライヤーが余剰を抱えているようです。
 産地相場は収穫当初から昨年に比べ下がりましたが、生産者の生産意欲を減退させる結果となり、来期に向け作付面積は減少していくと予想されています。
カナダ産
チモシー
 アルバータ州南部レスブリッジ地区では一部の2番刈で未収穫の圃場はありますが、冬期を迎えこのまま収穫せずに19年産を終了する見込みです。  
 レスブリッジ地区の1番刈は、収穫期の天候に恵まれたことから上級品が中心となりました。2番刈は、不安定な天候に見舞われ上級品の発生はごく一部で、多くは中低級品となっています。
  中部クレモナ地区では収穫期の天候が安定せず、比較的天候に恵まれた収穫期序盤に生産されたものは上級品中心、その後は天候の悪化により中低級品が中心となり、結果としてほとんどのグレードが満遍なく発生しました。 
 産地相場は日本および韓国からの需要は安定した状態が続いているため、大きな変動は見られません。国内自給飼料の不足が懸念される韓国からはカナダ産チモシーの低級品への引き合いも強まっているようです。
  
スーダングラス  19年産の輸出向けスーダングラスの生産は終了しました。 今年は収穫直前の気温が例年よりも低かったことから茎のサイズにバラツキが生じ、細茎の上級品の発生は当初の予想よりも少なくなりました。また、今夏は湿度が高くなり始めたのが7月下旬と遅く、その結果、湿気の影響を受けて発生する色抜け品の発生も例年よりも少なくなりました。  
 産地相場は日本からの安定的な需要を背景に総じて堅調に推移していますが、低級品については、産地周辺で肥育牛の飼養頭数が増加していること、また、台風の影響で自給飼料の生産に影響が出ている日本および韓国からの引き合いも強まっていることから相場は上昇しており、すでに産地側でも生産農家在庫はなく、サプライヤー在庫もほとんどない状況で追加買付は難しい状況となっています。
クレイングラス (クレインは全酪連の登録商標です)
 主産地インペリアルバレーでは19年産の生産は終了しています。
  11月15日時点の作付面積は前年同期比110% (22,376エーカー) と好調な産地相場を背景に増加しており、来期も天候が例年並みであれば安定的な供給が期待できそうです。
 19年産は収穫期を通して天候は安定していたため、総じて良品が多く発生した年と言えます。日本および韓国からの需要は引き続き強く、産地相場は堅調なまま推移しています。
ストロー類 (フェスキュー・ライグラス) 
 主産地オレゴン州ウィラメットバレーでは、2019年は天候に恵まれず全体的に降雨の被害が多く非常に厳しい年となりました。ペレニアルライグラスについては、約11%作付面積が減少しました。アニュアルライグラスは約5%作付面積が増加しましたが、オレゴン州にバイオマスプラントが建設されており、その原料としてアニュアルライグラスの新規需要が出来たため、輸出向けの供給力や価格に少なからず影響が出てくると予想されます。フェスクは8.5%作付面積が増加しましたが、今年は多くが雨当たりになりました。
 台風の影響で自給飼料への被害があった日本、韓国の両国からの需要が非常に強く、産地価格は上昇しています。
豪州産
オーツヘイ 
 2019年産オーツヘイの収穫は中~終盤を迎えており、多くの圃場でベーリング作業が進んでいるところです。

<西豪州>
西豪州は全体を通して降水量が少ない年でした。特に西豪州北部では非常に少なく、丈が伸びずに収穫量は当初予想よりも大幅に減少しました。他の地域では、まとまった降雨があった時期もあり、北部の地域よりも状況は良かったものの、例年よりも単収は少なくなりました。 品質については、西豪州全体では色目が緑色で綺麗なものが多い傾向ですが、一部では茶葉が目立つ原料草もあります。上級品の生産量は十分ですが、中級品から低級品の供給力は限定的なようです。西豪州全体では概ね60-70%が上級品、中級品は30%程度、低級品の発生はほぼゼロに近い状況です。


<南豪州>
 南豪州では、生育期を通して例年よりも降水量が少なく、収穫直前の9月までその傾向が続いたため、大きく単収が減少することが懸念されていました。実際の単収は 南豪州内においても降水量の差があり、単収が2-3トン/haと平均を大きく下回る地域にもあれば、6-7トン/haほどまで収穫できた地域もあります。このため、南豪州全体としては西豪州に比べ収穫量は多い状況ですが、品質については茎の太さや色目、茶葉の混入割合など地域によってバラつきが大きくなりそうです。  
 南豪州においても、収穫期全般を通して天候に恵まれたことから、ほとんどが上級品となっており、中低級品の発生は限定的となっています 。


<東豪州>
 地域によって降水量の差はあったものの、単収は5~7トン/haと当初の予想よりも多くなっています。
 品質は良好で、WSCなどの成分も高く色もきれいなものが発生していますが、地域によっては降水量に起因する生育の差があったことから、茎質や茎サイズにバラつきがあるようです。
 東豪州でも発生の中心は70-80%が上級品となっており、中級品が20-30%、雨当たりなどの低級品はほぼ発生していないようです。
 豪州航路についても北米同様、1月から実施される重油に含まれる硫黄に対する環境規制に伴う海上運賃の上昇の影響は免れず、今後の価格に反映されると考えられます。このため、産地価格は総じて昨年に比べ弱含みであることは確かながら、サプライヤーから見た輸出価格はまだ流動的といえます。
  また日本のみならず中国、韓国向けなどからの引き合いも非常に旺盛で、特に発生が少ない中級品以下の産地価格を下支えしている構図もあります  。
                                 
 豪州産
ウィートストロー
 今秋の台風により自給飼料に影響が出た韓国からのストロー需要が非常に強いようです。西豪州では旧穀のストロー在庫が豊富にありましたが、現在需要が非常強いためサプライヤーによっては、追加買い付けをしているようです。また、今年はオーツヘイの中級品、低級品の供給力が乏しいため、代替としてオーツヘイの上級品とストローをブレンドしたものを代替として供給する予定にしているサプライヤーもいます。