輸入粗飼料情勢 (平成31年1月10日発表)

<購買生産指導部 購買推進課>

北米コンテナ船情勢  各船社、2019年から既存の海上運賃に加え、新たにチャージ・費用を設定する動きが見られます。地球温暖化への対策として2020年に船舶の燃料における硫黄の含量について規制が強化されるためです。この規制によって環境に優しい低硫黄重油燃料やLNG(液化天然ガス)への移行、もしくは従来の燃料で規制に対応するための設備投資などが必要となり、2019年から荷主に向けて追加費用を適用する動きが具体化してくる見込みです。多くの船社は、燃料の変更によって規制に対応する予定となっており、新燃料の需要増による値上がりを見越した新たなチャージ・費用の導入と言えます。
ビートパルプ <米国産>
 新穀の収穫作業は、収穫期の悪天候の影響もあり、前年に比べ約1カ月遅れの11月末に終了しました。収量は軒並み当初の見込みを下回っており、また例年よりも早い寒波の到来により、一部地域では圃場の凍結により収穫を断念したことなどが影響し大幅な減産となりました。
 現在のところ、収穫されたビート大根の保管状況は良好ですが、今年はエルニーニョ現象が予想されており、生産地の冬季間における気温の上昇をもたらす可能性があり、保管中のダメージなどが懸念されます。
 また、米国産アルファルファと同様に、サウジアラビアからの引き合いが徐々に強くなっている模様です。アルファルファの輸入量から見てとれるように、その需要は大きく、中国と並びビートパルプ輸入国として台頭してくる可能性があります。米中貿易問題でその引き合いは沈静化しているものの、引き続き中国の潜在需要は高く、これにサウジアラビアが加わると、世界的なビートパルプの需給バランスや商流に大きな影響を与えることは避けられないものと考えられます。
アルファルファ 過去数年で日本向けアルファルファの産地は多様化してきています。下の図表は米国西海岸北部(PNW)と南部(PSW)の主要港から日本向けに出荷されたアルファルファの数量と割合を示したものです。近年ではPSWからの輸入量が増えていることがわかります。2010年代前半まで、米国産アルファと言えばPNW(ワシントン州・オレゴン州)が主とされていましたが、ここ数年で海上運賃の競争力が高いPSW出し(主としてカリフォルニア州、一部ユタ州・ネバダ州)の割合が増えています。


            2005年から2017年 日本向けアルファルファ出荷実績推移



          2011年~2018年 日本向けアルファルファ 産地・出航港別割合 
             注)2018年は11月の輸入量にて算出

関税問題に揺れる中国向けは、輸入量全体が爆発的に増え始めた2012年ころから、 生産量が多く海上運賃が安いPSWからの数量に依存し需要を満たしてきました。近年では、高成分品を求めPNWからの数字も伸びていることが統計からも見てとれます。




中国や中東など世界的にアルファルファへの需要が急伸している環境下、日本や韓国など過去の主要輸入国は、より安定的かつ価格競争力がある供給ソースが求められることになると考えられます。


ワシントン州
 輸出向けおよび米国内酪農家からの高成分品に対する需要は引き続き旺盛で、産地在庫はほぼ完売となっています。内外からの強い引き合いは、19年産の新穀まで続く見込みで、産地相場は高値張り付きのまま推移すると考えられます。主産地コロンビアベースンの19年産の作付面積は18年産とほぼ変わらないと予想されています。
  当地は本格的な冬に入っており、コロンビアベースンを横断する道路が雪によって通行止めになり輸送にしばしば遅延が発生しています。シアトル/タコマ港でも荒天により本船のスケジュールが乱れており、デリバリー面ではしばらくの間注意が必要と言えます。
 
   オレゴン州
 南部クラマスフォールズ、中部クリスマスバレーの両地区とも前月から産地情勢に大きな変化はありません。高成分の上級品に対する米国内酪農家からの引き合いは引き続き強く、産地価格は高値のまま堅調に推移しています。
   カリフォルニア州
 南部インペリアルバレーでは18年産の収穫は終了しています。
 中国からの需要は関税の影響により、一時的に落ちついていましたが、関税が課される以前に輸入された中国国内の在庫もなくなりつつあります。米国産への関税が発令されて以降、中国ではEU産の輸入量も増えましたが、米国産に比べ高額な海上運賃に加え、EU圏内の産地相場の高騰を招いたことで価格競争力を失っています。結果として、需要は徐々に米国産へ回帰していく可能性がありますが、一方で米国内の各産地に余剰在庫は無く、需要を満たす数量が容易に揃う状況とは言えません。
米国産
チモシー
 18年産の米国産チモシーはグレードを問わずほぼ成約済となっており、特に発生量が少なかった上級品は完売となっています。このため、今後の追加買付は難しい状況と言えます。日本および韓国からの引き合いは引き続き堅調で、豪州産オーツヘイの不作の影響から米国産チモシーへの引き合いも増加することが予想されるため、産地相場は弱含む要素に乏しく、新穀までは現状のまま高値で推移するものと予想されています。
カナダ産
チモシー
 18年産のカナダ産チモシーは主産地アルバータ州における旱魃の影響により例年よりも発生量が少なく、また、日本および韓国からの引き合いも強いことから産地在庫は一部の低級品を除いてほぼ成約済となっています。産地相場については、上述の理由に加えて、旱魃の影響でカナダ国内の自給粗飼料も不足していることからチモシーへの需要が高まっており、産地相場は大幅に上昇したまま米国産と同様に現在も高値で推移しています。
スーダングラス  主産地インペリアルバレーにおける余剰在庫は限定的となっています。茎細の上級品についてはすべて成約済となっており、中~低級品で一部在庫が残っている状況です。しかしながら、豪州産オーツヘイの生産量減少と価格の高騰を受け、安価なイネ科牧草としてスーダングラスの中~低級品への需要が高まっており、また、米国内の肥育牛農家からの需要も堅調であることから産地相場は強含みに推移しています。
 いわゆる「早播きスーダン」と競合するデュラム小麦の相場は、引き続き低調と言われています。このため、生産農家の小麦に対する作付意欲は低く、昨年に続き作付面積は減少する可能性が高いと予想されています。一方、18年産のスーダンの価格も生産農家にとって満足できるものではなかったことから、小麦相場の低調を起因としたスーダンの作付面積の大幅な増加は現時点では考えにくい状況です。
クレイングラス (クレインは全酪連の登録商標です)
 12月15日時点の作付面積は前年同月比+119%となっています。好調な産地相場を背景に、作付面積は前年に比べ大きく増加しており、19年産は生産量の増加が期待されます。日本および韓国からの需要は引き続き旺盛な状態が続いており、特に自給粗飼料の生産状況が良くなかった韓国からの需要はさらに高まっています。このため産地相場は引き続き堅調に推移しています。
 産地在庫はほぼ完売となっており、良品の追加買付は難しい状況です。昨年に続き、極めて低い在庫率のまま新穀を迎えるため、収穫のスタートとともに強烈な引き合いが入ることで相場が過熱する恐れがあり注意が必要です。



   インペリアルバレー クレイングラス作付面積(2018年12月15日時点)単位:エーカー

ストロー類 (フェスキュー・ライグラス) 
 ストロー類については、自給粗飼料が不足している韓国および中国産稲わらの供給懸念が続いている日本からの需要が引き続き堅調となっています。結果として、2018年9月~11月の3ヶ月間のライグラスストローおよびフェスクストローの日本の輸入数量は前年同期比でそれぞれ103%、118%と増加しています。

           2014年1月から2018年11月までの植物検疫実績(単位:トン)

 産地では生産農家がさらなる相場上昇を期待し、在庫を抱えている状況で産地相場は今後一段と上昇していく可能性があります。
 また、ストロー類の主要な積み出し港であるポートランド港では、空コンテナが不足し続けており、船積みの遅れも散見されています。このように、今期のストロー類は産地価格に加え輸送面でも懸念を抱えている状況です。
豪州産
オーツヘイ 
 2018年産の豪州産オーツヘイの生産は終了し、ストロー類の収穫作業が終盤を迎えています。

西豪州
 産地全域で収穫期間中に降雨があり、地域によって降雨被害の程度に差はあるものの、オーツヘイの7割程度が降雨被害を受ける結果となりました。一方で、天候の回復を待って収穫された圃場については総じて刈り遅れ品質となっています。このため、当地においては上級品の発生は限定的であり、中~低級品の発生が中心となっています。



東豪州および南豪州
 
 東豪州では極度の旱魃の影響から収量は例年の50%以下となっており、クイーンズランド州およびニューサウスウェールズ州の豪州国内の酪農家および肥育農家からの需要も旺盛であることから、各サプライヤーとも集荷面で苦戦しており例年よりも輸出向けの供給力は低下しています。両産地とも、中~低級品は主に豪州国内向けに動いていることから、輸出向けのグレードは上級品が中心となっています。
 産地の供給力不足に加えて、日本および韓国からの需要は引き続き堅調であり、豪州国内からの引き合いも強まっていることから産地相場は発生量が限定的となっている上級品を中心にさらに上昇しています。中国向けは高値を嫌って直近の荷動きはやや鈍っているようですが、年明けから旧正月に向け新たな引き合いが盛んに入り出しているようです。
 高値にもかかわらず旺盛な需要は維持されているため、各サプライヤーの工場は軒並みフル稼働となっており、急なオーダーや変更が利きにくい状況となっており、計画的かつ早めの発注が必要な状況です。
 また、旧穀から大幅な値上げとなったため、他草種への移行も含め今後の日本国内の需要動向には注視が必要と言えます。