輸入粗飼料情勢 (令和元年8月5日発表)

<購買生産指導部 購買推進課>

北米コンテナ船情勢  現在アジアから輸出される貨物の約6割が中国発、米国向けとなっています。しかしながら、今年1月から3月の同航路の輸出貨物量は米中貿易戦争の影響もあり、前年と比較すると約1割減少しています。この状態が続くと、今後米国内での空コンテナの不足が予想されます。さらには、貨物の少ない週は、本船の運行を取りやめる事を検討している船社もあるようです。今後、米国内の空コンテナと航路毎の貨物量によってはオーダー通りの船積みができない可能性が出てくることも懸念されます。 
 また、昨年秋口から実施されているロサンゼルス/ロングビーチ港におけるピアパスチャージは、8月からわずかではありますが再度値上げが実施される見込みです。  
 2020年1月からのSOX(硫黄酸化物)規制に対応した適合油について、一部の船会社では、現行のC重油と比べて値差はプラス200ドル/トンとみており、これが秋口からの海上運賃にどの程度影響するか注目されています。  
ビートパルプ <米国産>
 新穀の生育状況は既報の通り、冬場の歴史的寒波、作付時の冷涼で降雨の多い天候により、多くの地域で初期生育等に何らかの影響を受けているものの、日本向けの主力を担う、ミネソタ州及びノースダコタ州では他地域に比べる現時点の作柄は良好です。夏場の生育時期の天候が回復したことで、生育状況としては、昨年並みの水準に戻っているようです。当地域の収穫は例年並みの8月16日前後からの開始を予定しています。
 その他の地域では、冬場の天候を引きずり、単収の減少や収穫の遅れが予想されているところもあるため、全体の作柄を評価するには尚早と考えられます。
 新穀相場については、主力のミネソタ州及びノースダコタ州で作柄の好転が見られたこともあり、悲観的な観測は減退しているものの、トウモロコシ相場、国内物流経費の増加、日本向け輸出に関して言えば低硫黄燃料使用に伴う海上運賃のアップが今後反映されることとなり、日本着ベースでの値上げは避けられない状況と言えます。  
アルファルファ ワシントン州
 主産地であるコロンビアベースンでは、2番刈がほぼ終了しています。一部の地域・圃場では7月下旬に不安定な天候が続いたため収穫に遅れがでました。2番刈の多くは不安定な天候と、高湿度の影響を受け、高成分のプレミアム品はおよそ20%程度と言われています。早い圃場で8月上旬から南ベースンで3番刈りの収穫が開始されます。多くの圃場では8月中旬以降から3番刈が始まる予定ですが、例年よりも2週間余り遅れたスケジュールとなっており、続く4番刈では高湿度の時期での収穫が避けられず、輸出向けに適する品質が収穫できないことが懸念されます。
 産地相場は、1番刈に高成分の上級品が少なかったため、2番刈への需要は高まっており、1番刈と同程度かそれ以上の価格で取引されているようです。

ワシントン産アルファ2番刈(7月末撮影)             ワシントン産アルファ3番刈圃場(7月末撮影) 
 
   オレゴン州
 オレゴン州南部クラマスフォールズでは、7月上旬までに1番刈が終了し、2番刈の収穫が進んでいます。1番刈の作柄は、収穫当初から天候に恵まれ、降雨の影響を受けたものは例年に比べて少なく良品が収穫されています。収穫直前に気温が急激に下がりアルファルファの生育が止まったため、多くの圃場で例年に比べ収量が低い傾向にあります。このため、昨年と比べ茎は細めで葉量は比較的多い傾向にあります。
 オレゴン州中部クリスマスバレーでも、1番刈は終了しており、2番刈が始まっています。1番刈では、約20%が降雨の影響を受けており、約30%は降雨を避けたことによる刈り遅れ、残りの約50%が通常品となっています。この地域は米国内酪農家と、輸出業者双方からの引き合いも強く、特に高成分品の良品については、高値で取引されています。


19年産オレゴン産アルファ1番刈(7月上旬撮影)

   カリフォルニア州
 南部インペリアルバレーでは、5番刈が進行中です。早い圃場では6番刈りが始まっています。現在日中の最高気温は110F(43℃)ほどになっており、サマーヘイと呼ばれる低成分のアルファルファが中心に生産されています。引き続きサウジアラビアからの需要は堅調に推移しており、さらには米中貿易摩擦の影響で弱まっていた中国の需要も、中国国内在庫も減少しているため、需要は徐々に戻ってきているようです。
   ネバダ州・ユタ州
 ネバダ州の1番刈は終了しており、現在は2番刈の収穫中です。1番刈の作柄については、約30%が降雨の被害を受けており、約30%が刈遅れ、約30%が通常品、となっています。カリフォルニア州やアイダホ州の米国酪農家や、中国、中東向けの輸出業者からの引き合いが強く、綺麗な見た目で高成分の上級品は、高値で売れており、現地価格は堅調に推移しています。
 ユタ州では5月に記録的な多雨でしたが、6月上旬から1番刈を開始し、殆どの圃場では降雨の影響を受けることなく収穫することができました。2番刈は現在収穫のピークを迎えているところです。1番刈の作柄は、雨当たり品は無く例年に比べて茎は太目に仕上がっています。また降雨を避けて収穫された一部では若干刈り遅れ品質になっている圃場もあり、やや成分が低いものも散見されます。


(19年産ネバダ産1番刈:7月上旬撮影) (19年ユタ産1番刈:7月上旬撮影)

米国産
チモシー
 主産地のコロンビアベースン及びエレンズバーグでは1番刈を終えており、2番刈の収穫作業が開始されています。1番刈の作柄は昨年に比べ良好で、茶葉の混入の少ない綺麗な上級品が多く収穫されています。一方、中級品は例年並みの品質のようです。産地相場は上級品から低級品まで昨年同時期に比べ弱含みで推移しています。
カナダ産
チモシー
 アルバータ州南部レスブリッジ地区では7月上旬から1番刈の収穫作業が始まっており、終盤を迎えています。収穫期に一部降雨被害にあった圃場もあるようですが、例年並かそれ以上に良品が発生している模様です。アルバータ州中部クレモナ地区でも、7月下旬よりチモシーの収穫作業が始まっています。
 需要については、カナダ国内、輸出向けともに堅調に推移しており、18年産の在庫は契約分在庫を除くと余剰在庫はほぼ無い状況です。米国産チモシーの相場の軟化を受け、19年産のカナダ産チモシーは昨年よりも安価になることが期待されますが、カナダ国内からの引き合いも強いことから、今後の相場動向を注意深く見ていく必要があります。
スーダングラス  19年産のスーダンの1番刈は終盤を迎えており、早播きスーダンの2番刈の収穫作業が順次始まっているところです。7月15日時点の作付面積は前年同期比96%となっており前年よりもやや低く推移しています。  
 現時点までの作柄としては、5月下旬~7月中旬までは乾燥傾向で、例年よりも気温も低く推移したことから色目が緑系のスタンダードカラーのものの発生が中心となっています。一方、いわゆる色抜け・ライトカラーと呼ばれるものの発生は今のところ限定的となっています。7月下旬になってようやく気温も例年並みとなり、湿度も上昇してきたことから、色抜け品も徐々に発生してくるものと期待されていますが、例年に比べ発生量が減少すると予測する声も出ています。
 このように、これまでのところ緑目のスタンダードカラーの発生が中心となっており、茎サイズについては生育期の寒暖差の影響からややバラツキが見られ、細茎で揃った上級品の発生は例年よりも少ないようで、中級品の発生が中心となっています。 
 産地では、収穫期前半は一部サプライヤーで旧穀在庫を抱えていたこと、日本側からの積極的な需要もなかったことから、買付進捗は遅く様子見を続けていましたが、7月以降は徐々に買付も活発化してきました。このため、新穀相場が見えてきたのは例年よりも遅い7月中旬以降となりました。現時点の相場は、米国産チモシーに引っ張られる形で、グレード問わず、昨年比弱含みでのスタートとなっています。産地相場が昨年比低迷していることから、生産者によっては2番刈の生産を行わず、圃場を起こしてしまっているところもあるようです。

       19年産スーダン色抜け上級品       19年産スーダン中級品


              インペリアルバレー スーダングラス作付面積推移 7月15日時点(単位:エーカー)
クレイングラス (クレインは全酪連の登録商標です)
 産地インペリアルバレーでは2番刈の収穫作業が終了し、早い圃場ではすでに3番刈の収穫作業も中盤を迎えています。これまでのところ天候も良く、気温も例年より低く推移しており、湿度も例年ほど高くないことから、2番刈および3番刈でも早期に収穫されたものは色目も良く品質面は上々の仕上がりとなっています。 日本および韓国からの需要は旺盛な状況が続いており、良品の産地相場については引き続き堅調に推移しています。直近では産地の気温も上昇し、徐々に良品以外のクレイングラスも発生してきていますが、韓国からの需要はより良品のものへ移行してきており、良品以外の相場についてはやや軟化の傾向が見られます。  
ストロー類 (フェスキュー・ライグラス) 
 アニュアルライグラスストロー及びフェスクストローは6月後半から順次収穫が開始されてきましたが、これまでに3~4回の降雨があり、大きな被害が出ているようです。ペレニアルライグラスストローは収穫が始まったばかりのため、降雨による被害は少ないもののバイオマスプラント向けの需要や、他のストロー類の降雨被害による需要の集中により、産地価格は連れ高になることが予想されています。
豪州産
オーツヘイ 
 2019年産オーツの生育状況は、各産地 (西豪州、東豪州および南豪州) とも適度に降雨もあり、現時点では順調な進捗のようです。しかしながら、降水量はまだ例年を下回っている状況にあり、この先の予報も各産地降雨は予想されているものの、例年よりも降水量は少ない見込みであることから引き続き産地の生育状況を注視していく必要があります。 産地相場については、昨年の旱魃の影響から、引き続き豪州国内からの引き合いが強く、特に旱魃が酷く、酪農生産地帯でもある東豪州において需要が旺盛な状況が続いています。このため産地相場は高止まりしており、昨秋の新穀開始時期よりも高値で取引されている場面もあるようです。一方で、輸出向けについては、産地側の在庫量が低下してきていることと、北米産イネ科牧草、ストロー相場の軟化を受けて、相対的にオーツヘイの価格が高値になってしまっていることから、主要輸入国である日本および韓国では需要が減退しています。両国向けの輸出数量も順調であった春先までと比べると大きく減少しています。総じて昨年よりも産地価格が軟化している北米産イネ科牧草の新穀出荷もすでに始まっていることから、今後のオーツヘイの日本国内の需要、豪州輸出価格の動向には注意が必要と言えます。


2019年豪州産オーツヘイ類輸出先別数量実績(単位:トン)